藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

決定版を疑うこと。インスタント社会に染まるな。

週刊誌やネット。
煽情的なタイトルが踊る。
「なぜ日本人は血液型が好きなのか?」とか
「あなたの預金を守る7ヶ条」とか。


雑誌やwebの記事見出しに多い。
思わず手に取るのだ、なぜだろうか、と自問する。
・・・
そうだ。

インスタントなのだ。

簡単に、ごくごく簡単に問題点が指摘され、またその解決ができるのだろう、と錯覚させる。
思えば街中はそんなタイトルで溢れている。

「これさえ知っておれば失敗しない」

まったくの出鱈目ではないだろうが、世の中の出来事にそんな「十分条件的なもの」は存在しない。
またそんなことは百も承知だが、どうしてもタイトルに釣られるのである。
自分の頭が"右か左か"に傾こうと偏向しているのだろう。
それはその方がラクである。
ごちゃごちゃと「間の色んなこと」を考えなくて済むではないか。


けれど、実はそんな"間のいろんなこと"にこそ、そこにまで至る「深い事実」があるのだと思う。
従って「○○するための7つの方法」というのは、そんな心理の裏を突こうとする、企画側の意図の表れである。
さらに「△△しないための8カ条」というのも同様、読者心理を煽ろうとするものである。

「初対面の人の心をつかむ…」とか
「プレゼンで感動を呼ぶ…」とか
「あなたを好きにさせる…」とか、ついには
「Noと言わせない交渉術」とか。

そんな「これさえすれば」というタイトルとは裏腹に、その本当に意図するところは、実は深遠であり、また"人間的な修養"を必要とするものばかりである。
つまりは「タイトルはキャッチーだけれども、そこから"何か大事な原則的なこと"を汲みとることができれば」そんな情報も無駄ではない。
要は読み手の力量の問題だろうか。

居酒屋で、マネジメントの要諦を声高に語る御仁の片手には"もしも女子高生がドラッカーを読んだら"が特集されたビジネス誌
これでは、あまりに話に深みを欠く。

情報化社会を「浅薄なもの」と切り捨てる向きもあるが、さらなる"急流"となるこの世界と「どう立ち向かうか」というスタンスの方が、より多くの栄養を身につけられるのではないだろうか。
決して、一冊の本が"人を動かす"のではないだろう。