藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

覇権の費用。

アメリカが国防費用を削減するという。
その額、向こう10年で35兆円規模。

議会からは、国防予算のさらなる削減が要求されているといい、大統領は国防総省に対し「米国と同盟国の安全保障を維持しながら、米軍の効率的運用を図るよう国防戦略の抜本的見直しを指示していた」という。

アメリカが、建国以来これまで「外交国に対してどのようなビヘイビアをしてきたか」ということについては、様々なメディアや評論家、イスラムなど対立する存在が喧(かまびす)しく批判してきた。
けれど、それはともかく。

アメリカが本当に「国防費」を削り出したら、これは国策の「一大転換」だと言っていい。

これまでにその「自由主義を標榜し、払ってきた"覇権の代償"」とも言える「テンションを維持する費用」を払わないと決めたのであれば、その国は「これまでの覇権」にこだわる国では無くなるかもしれない。

良くも悪くもアメリカは"そういう世界一の国家"の象徴だったが、それがこれからは「先進国や経済発展を意図する国々の間」への「自国の戦略転換」を呼び起こす可能性があると思う。

リーダーの費用。

ことあるごとに、悪役とか「独裁者」などと言われようとも、これまでリーダの果たしてきた役割はある。
クラスの番長であったことの功罪は、「陰と陽」の両方あるだろう。
だが、リーダーが、「番長であるための活動」を本当に止めてしまったらどうか。

クラスは「これまで保ってきた求心力」すら失い、治世の乱れを起こす可能性がある。

ことに番長アメリカ、はこれまで「先進国クラス」のみならず、発展途上とか、反経済主義のクラスも束ねて来た。
つまり学校全体のリーダーが、引退を期し始めたのではないか、と思うのである。
万一そうであれば、それは「ここ100年でも初めての事態」だと言っていい。

良くも悪くも、もう番長のヘゲモニーは期待できないとすれば、日本はどのように振舞わねばならないか。

いよいよ本当の「坂の上の雲」について、自分たちが考えねばならないということではないだろうか。


「二正面戦略」→アジア重視…米が戦略見直し
【ワシントン=黒瀬悦成】米国のオバマ大統領とパネッタ国防長官は5日、国防総省で記者会見し、国防費削減に伴う国防戦略の見直し結果を発表する。
米紙によると、地上戦力の縮小により、「二正面戦略」の展開能力を維持しないと明示する一方、中国の脅威などをにらんで、アジア重視の戦力配置を打ち出す見通しだ。

 財政赤字の膨張を受け、大統領は昨年夏、向こう10年間で総額4500億ドル(約34兆5000億円)規模の国防費を削減する方針を表明。議会からは一層の削減要求が出ており、大統領は国防総省に対し、「二正面戦略」→アジア重視…米が戦略見直していた。

 ニューヨーク・タイムズ紙などによると、大統領は「二正面戦略」放棄の代わりに、一つの大規模紛争に対処し勝利する一方、「第二の敵」が戦争を起こさないように封じ込めを図るという新方針を表明する。イラク戦争終結アフガニスタン駐留米軍の撤収などを受けて、今後、陸軍と海兵隊の人員が大幅削減されるのに伴う措置だ。

(2012年1月5日19時20分 読売新聞)