藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

不気味な予感。

yomiuri onlineより。
二十年前のバブルの後、行き過ぎたステップローンなどがやり玉に上がり、またその後の金融ビックバンもあって貸出金利は記録的に低くなっていた記憶がある。
今また住宅ローンが過去最低である。
なんと30年ものでも1%台!
十年なら1.2%と確かにすごいレベルである。

以前ならここで「今が借り時。家の買い時です!」と一斉に不動産や金融機関のエールが上がるところだが、この度はどうだろうか。

少し違うような気がする。
自分たちの世代までは、その上の世代から「不動産神話」のようなものを受け継いでいた。
多分高度成長期の価値観の「最後の継承世代」だったのだと思う。

けれどそれも変わってきた。
核家族だけではなく、
独身、
夫婦のみ、
夫婦ではなくパートナーと暮らすカップル、
そうした多様な生活をする人たちにとって、固定的な住処が必ずしも重要な選択肢ではなくなってきているのである。

二十世紀には、特に日本では何より自宅の購入は「蓄財」と同義語だった。
まず土地を買っておけば下がることはない、と。
ところが殆どの日本の土地は、値上がりしなくなった。
マンションも同様。

東京や大阪の近郊の旧ベッドタウンを今見てみると、実に棄損が激しい。
高齢化も追い討ちをかけているが、もう今はああした都心近の近郊地域に、夢の一戸建てを買う、という感じではなくなっていると思う。

財産形成と、自宅の購入ということが同義だった時代から離れ、これからはこの二つは分けて考える必要がある。
何となく「そろそろマンションでも買おうか」という選択肢はこれからは正しくないかもしれない。
それよりも、四十代以降の年齢になって、「どのようなスタイルで生活したいか」ということを普段から考えて練っておく必要があるだろう。

それに合わせて、都心か地方か、
戸建てかマンションか、それとも貸家か、
家族か夫婦か単身か、
日本かそれとも海外か。

そんな心の準備をしてみたいと思う。

住宅ローン低金利競争…増税前駆け込み狙う
過去最低水準
住宅ローン金利が過去最低の水準に下がっている。日本銀行の実質ゼロ金利政策で、市場金利が歴史的な低水準で推移する中、民間金融機関は、金利を引き下げて2014年春の消費税率の引き上げを前にした住宅購入の駆け込み需要を取り込む狙いだ。
 三井住友信託銀行は今月、一定期間を固定金利で貸し出す住宅ローンを0・1〜0・35%引き下げた。最も優遇された条件の場合、10年物は過去最低水準の1・2%となり、30年物では1・9%と、大手行では初めて2%を下回った。インターネット銀行の住信SBIネット銀行は、当初の優遇期間終了後の適用金利についても、引き下げ幅を拡大した。急激な金利上昇を抑え、若い世代が借りやすいようにした。
 地方銀行も、10年物は1%台半ばの水準で、低金利競争は民間の金融機関全体に広がっている。
 金利以外のサービスでも各行はしのぎを削る。りそな銀行は今年4月、大阪市内に「年中無休」で、午後7時まで住宅ローンの設計相談などに応じる窓口を設置。今後、首都圏などにも窓口を広げる予定で、新規顧客の開拓に余念がない。
 低金利は、利用者にはローン負担の軽減につながる一方、銀行にとっては、収益性の落ち込みにつながる。
 住宅金融支援機構が全国の金融機関に実施した住宅ローンに関するアンケートでも、「金利競争による利ざやの縮小」や「景気低迷による延滞の増加」などを懸念する声が多くを占めた。
 日銀の調査によると、住宅ローンは借り入れ後10年を過ぎたあたりから債務不履行(デフォルト)の割合が高まる傾向があるという。地銀が住宅ローンに力を入れ始めたのは02〜05年ごろで、これから影響が出始めてもおかしくはない。
 日銀の早川英男理事は「今後、債務不履行が増える可能性があり、各行は十分な利ざやを取らなければならない」と、過度な低金利競争に陥らないよう警鐘を鳴らしている。(工藤彩香)
(2012年10月29日 読売新聞)