藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

バブルでもなく。

先の90年代バブルの最後は、不動産投資に規制がかかって万事休すとなった。
市場が崩壊する寸前の、まさに熱に浮かされたようなムードを思い出す。
誰もが「変だな」と思いながらも「こんなものだろう」とも思っていた変な空気だった。

さてマイナス金利を初体験している今の様子は、以前のそれとも少し違う感じがする。
昔のバブルほど投機熱が上がらず、でも「お金の価値だけは下がってきている」ような感じだ。
一般人全体的に賢くなったのか、いやどこか冷めた感じがする。

人口がいよいよ減り始め、政治家がいたずらに旗を振るのにも疲れ、案外国民が賢くなり始めているような気もするのだがどうだろうか。
結局戦後から今まで70年、ずっと国頼みで何となくここまで来たけれど、いよいよ本気で「それだけ」に頼っていくのも難しそうだ。

もう国の制度や社会保障だけを当てにする時代でもない。
そういえば当然のようだが、これまでは国への信頼や依存度が高過ぎた、という反省もある。

マイナス金利は自分のことは自分で考えよう、という契機になっていくのではないだろうか。
戦後初めて、自分で考えよう。

銀行、預金押しつけ合いに現実味 マイナス金利が直撃
2月の残高増加率13年ぶり高水準
2016/3/8 14:36
日本経済新聞 電子版
 日銀のマイナス金利政策導入を受け、金融界で不安視されていた銀行同士の預金の押しつけ合いが現実味を帯びてきた。

 全国銀行協会が7日発表した預金・貸出金速報によると、都市銀行三菱東京UFJ、三井住友、みずほ、りそな、埼玉りそな)の2月末の実質預金残高は前年同月比5.9%増の309兆8069億円と、2002年11月以来、実に13年ぶりの高い伸びを記録。日銀が8日発表した預金・貸出動向でも日銀と全銀協で定義の違いはあるが、2月の都銀の預金残高が4.0%増と高水準だった。

 都銀の預金が急増した理由をたどると、日銀のマイナス金利政策にあることは間違いなさそうだ。短期金融市場では金融機関同士でお金を融通し合う翌日物取引の金利がマイナスになり、運用は事実上難しい。保険会社などの機関投資家や地域金融機関は顧客から集めたお金を辛うじて金利がプラスの水準を保つ都銀の預金に流し込んでいるわけだ。大手銀行からも「預金は時系列でみて2月に顕著に増えた。原因はやはりマイナス金利だろう」「地方銀行機関投資家からの預金が増えた」との声が上がる。

 国内の銀行は貸出金よりも預金の方が圧倒的に多い「預金超過」の状態。その金額は2月末時点で約200兆円に上る。運用しきれない預金が集まれば利息の負担が当然増えるわけで、銀行にしてみれば過剰な預金の受け入れは拒みたいというのが本音。市場関係者からは「ある大手銀が預金の受け入れを拒んでいるらしい」といった疑心暗鬼にも似た噂が飛び交う。

 マイナス金利政策による「金利消滅」と、それに付随して起きる預金への大量の資金集中。大手銀行の関係者からは「金融機関から預かる預金にだけでも手数料を付けたい」との恨み節も聞かれる。マイナス金利政策が招いた銀行の苦悩はまだまだ消えそうにない。

(小川和広)