藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

変わらぬ風習。

大使館の関係者名義 で借りた部屋で、カジノが開帳されていたという。
という話を聞いて、江戸時代の藩屋敷の「中間部屋の賭博場」を連想した人は多いに違いない。
江戸時代の中期以降、各藩の屋敷は、今でいえば「よその国」のようなもので、ある種の治外法権である。
殿様、つまり国王は参勤交代やらでほとんどいないし、また上京しても別屋敷へはまず来ない。
そうすると、現代なら書記官ならぬ、中間管理職の立場にいるものが、あいた屋敷を貸してテラ銭を稼ぐ・・・というお定まりのコースである。

同じことは、懲りもせず現代でも繰り返されているようだが、それにしても人はバクチがどうしてこれほど好きなのだろうか。
その持つ"一攫千金"のゲーム性が人を狂わすのか。
大金持ちが、小さな刺激を求めて興じるお遊び、というのならともかく、身代を投げ出しての賭け事、というのは麻薬のような刺激にヤラれてしまっているのだろうと思う。

ゲームの理屈云々ではなく、心の余裕を失い、ただ興奮を求めている姿は、他人の目から見れば立派な狂気である。
かなり賭け事に弱い自分のような人はともかく、賭けに強いタイプの人は注意が必要だろう。

大使館カジノの闇 1等書記官名義、実態はバカラ部屋

「大使館カジノ」があった雑居ビルのフロアは片付けられていた=22日午後、東京・赤坂

「大使館カジノ」として使われていた雑居ビル。会場となっていた5階のポストは粘着テープでふさがれていた=22日午後、東京・赤坂(画像の一部を修整しています)
 「大使館カジノ」をうたう闇カジノが都心の雑居ビルにある。そんな情報を耳にしたのが発端だった。
 昨年8月。東京・赤坂の繁華街の外れにある雑居ビルを訪ねた。
 エレベーターの扉が5階で開くと、重々しい鉄製のドアの上に、赤を基調としたある国の国旗が掲げられていた。
 ドアは中から施錠されている。情報をくれた常連客の男性が携帯電話で内部に連絡し、一緒に入ることができた。
 30畳ほどの室内は、シャンデリアの下に大きなバカラ台とルーレットが2台ずつ。30代前後のスーツ姿の日本人男性3人が、蝶(ちょう)ネクタイのディーラーを囲んでバカラ賭博に興じていた。
 素早い手つきでディーラーがカードをめくるたび、「ほら見ろ」といった歓声と深いため息が混じり合う。赤と青のチップが目の前をめまぐるしく動く。
 「赤は1枚1万円、青は千円です」。店の責任者はそう説明した。
 客の一人に話しかけると、何度も来たことのある常連だという。「ここは大使館のお墨付きで治外法権。安心して遊べるよ」と男性はささやいた。
 警視庁に取材すると、店はすでに内偵捜査の対象になっていた。店のある5階は丸ごと、欧州のある国の大使館の1等書記官名義で、「居住用」の名目で数年前から借りられているという。カジノは2011年秋ごろから営業していたこともわかった。
 10月以降、外務省と大使館への取材を進めた。大使館側からは質問を英文のメールで寄越すよう言われ、メールのやり取りが続いた。同じ名前の書記官は確かに在籍したが、昨年の初めには本国へ帰国したという回答だった。
 外務省によると、書記官は在任中、居住先として別の住所を同省に届けていた。
 警視庁の内偵捜査が進んでいた昨年11月ごろ、カジノは突然営業をやめ、フロアの賃貸借契約も解除された。書記官がカジノの営業に関与していたのか、それとも第三者が書記官の名をかたったのか。結局、「大使館カジノ」の実態は解明されないまま、捜査は幕引きした。
 メールのやり取りで大使館は、書記官と闇カジノの関係を問う私たちの取材には根拠がないとの態度を取り続けた。2月には「こちらからのメールについて一切の引用を禁ずる」と記した「最終回答」が届いた。
 22日昼過ぎ。ビルを訪ねた。カジノのあった5階にはエレベーターが止まらないようになっていた。別の階の会社で働く女性は、エントランスの郵便受けに以前、5階が「大使館」と書かれていたのを覚えていた。「大使館の別室か何かがあるんだと思っていた」
 近くのビルからカジノがあったフロアをのぞき込むと、カーテンが取り外された室内は薄暗く、がらんとしていた。
■「逮捕できない」外交特権の壁
 外交官を対象とした捜査では、「外交特権」がしばしば壁となってきた。
 自国を出て職務にあたる大使や外交官については、「外交関係に関するウィーン条約」で外交特権が定められている。身体や居住先、通信、文書などは不可侵とされ、捜査機関が逮捕したり、家宅捜索したりすることはできない。
 2010年に駐日コートジボワール大使館の元外交官が、都心に借りたビルの一室を賭博店に貸して報酬を得ていたとして、賭博開帳図利幇助(ほうじょ)容疑で警視庁に逮捕された事件があったが、摘発に結びつく例は極めてまれだ。
 この時は、外務省が06年に「ペルソナ・ノン・グラータ」(好ましからざる人物)として大使館に通告する直前に元外交官が帰国。捜査は暗礁に乗り上げたが、その後、再来日した際に逮捕に至った。
 警視庁幹部は「『大使館カジノ』といわれる闇カジノの取り締まりは、一歩間違えば国際問題になりかねない。捜査は一筋縄ではいかない」と話す。
 「大使館カジノ」について外務省は「疑いがあれば確認し、事実なら是正させ、厳正に対処する」との立場だ。警視庁幹部も「摘発へ向け情報収集を続ける」としている。