藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

逃げないことを伝えたい。

結局のところ、政治が経済に関与してよい所、つまりそれが経済を成長させる部分、というのはあまり多くない、と思う。

お金を借りたことのある人は知っているだろうが、借金の返済というのはしんどいものである。
月次(月の暮らし)を節約すれば、本来貯金できるものが「そのまま消えてしまう」のである。
借金と貯金は、上と下で"倍"違うのである。
無理な借金は、結局体を痛めてしまい、元も子もなくす。

事業を継続する情熱も大事だが、まだ足腰の元気なうちに、一度リセットして再出発する勇気も大事である。
金融円滑化法の期限切れにおいては、そういう観点の「再起支援」を志向したほうがよほど良いのではないだろうか。

金融機関を金融庁が監視し、独自ルールを守らせようとするから新陳代謝が進まない。
問題の先送りは、結局もっとも貴重な「時間」を腐らせてしまうということに政治家は気付かねばならない。
そんな選択をするのも自分たち有権者の判断なのである。

中小5万社、倒産懸念 借金先延ばしの円滑化法期限迫る
【竹下隆一郎、鯨岡仁】中小企業が銀行への借金返済を先延ばししやすくする「金融円滑化法」が今月末で期限切れになる。2008年の金融危機への緊急対策として中小企業の資金繰りを助けてきたが、経営が改善していない企業も少なくない。銀行の姿勢が変わり、倒産が増えることを心配する声もある。
■「銀行の態度変わるかも」
 広島市で建設会社を経営する60代の男性は不安を抱えて新年度を迎える。「銀行に借金返済の期限を延ばしてもらい、何とか生き延びてきた。『今すぐ耳をそろえて返せ』と言われたら、首をくくるしかない」
 08年秋のリーマン・ショックで売り上げが半分以下に激減した。借金は4億円にふくらんだが、円滑化法の適用を受け、金利だけを払えばよくなった。
 本社ビルと土地などを売って借金を減らし、山あいの古びた事務所に移った。それでも1億5千万円の借金が残る。売り上げは伸びず、返済は難しい。「円滑化法がなくなったら、銀行の態度が変わるんじゃないか」。不安は募る。
 円滑化法は、鳩山政権の亀井静香金融相の肝いりで09年12月に施行された。資金繰りに苦しむ中小企業に再建までの時間を与えるため、中小企業が借金返済の先送りなどを求めたら、金融機関はそれに応じる「努力義務」が課せられた。
 最初は11年3月までの予定だったが、期限は2回延長された。返済猶予などの申し込みは約370万件あり、そのうち9割以上が金融機関に認められ、倒産を抑えることに成功した。
 しかし、今年3月末の期限が切れれば、金融機関の努力義務はなくなる。帝国データバンクが返済猶予などを受けた775社に聞いたところ、過半数が期限切れ後に「金融機関の対応が厳しくなる」と予想した。
 金融庁によると、円滑化法を使ったのは、全国の中小企業の1割にあたる30万〜40万社(何度か申し込んだ企業がある)。このうち5万〜6万社に「倒産のおそれがある」と言われる。
■政府、融資継続訴える
 政府が円滑化法を延長しないのは副作用を心配するからだ。中小企業が借金返済の先送りを繰り返し、経営改善に取り組む意欲を損なうおそれがあるという。中小企業庁幹部は「中小企業の甘えを生んだ面は否めない」と話す。
 ただ、金融機関が急に態度を変えれば倒産が急増し、景気にも悪影響を与える。自民党竹本直一・財務金融部会長は「夏の参院選前には可能な限り倒産を出したくない」と漏らす。
 「円滑化法終了後も、円滑な資金供給に努めて欲しい」。3月12日、東京・湯島で都内の信用金庫など金融機関トップを集め、内閣府の島尻安伊子(あいこ)政務官は語気を強めた。
 金融庁政務官や長官らが3月末までに全都道府県を回る。金融機関に変わらない対応をするよう求めるためだ。こうした「締め付け」に、大手銀行首脳も「社会的使命を果たす」と従順な姿勢をみせる。
 新たな中小企業支援策もつくった。18日にできた地域経済活性化支援機構だ。
 地方銀行などがつくった再生ファンドに出資したり経営再建の専門家を送り込んだりする「間接支援」と、自ら出資や融資をする「直接支援」を進める。
 中小企業が機構に問い合わせれば、財務や事業の内容などをもとに支援に応じるかを決める。支援の基準を満たさない場合でも、再建できるよう助言する。機構は「地域に根ざした企業を支え、雇用を増やしたい」(広報)という。
 中小企業などの経営状況を調べている帝国データバンクの藤森徹情報統括部長は「今後は緊急避難的な支援ではなく、経営体質を変えるような根本的な対策が必要だ」と指摘している。
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 地域経済活性化支援機構や円滑化法後の経営相談の問い合わせは、地元の財務局か、金融庁の窓口(0570・067755〈電話代がかかる〉)へ。
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 〈地域経済活性化支援機構〉 中小企業などの経営再建を支援するため、政府と金融機関が出資しあって18日にできた。金融円滑化法が終わるのを前に、日本航空などを支援した「企業再生支援機構」を中小企業支援に専念する組織へ衣がえした。支援の受付期間は5年間。直接支援するために政府保証つきで金融機関から資金を借り、2013年度は出資・融資のために1兆円の資金枠をもうける予定だ。