藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

今だから必要な行政。

ストーカー規制法が施行されたのが2000年。「つきまとい」などが初めて法的に規制されたのも記憶に新しい。
ということは、つまりそれまでは「そういうもの」は存在しなかったか、あるいは存在していてもわざわざ法律の対象範囲には入れなかったものである。
ストーカーと「熱心な恋愛」は何が違うのかは明確な線引きは今もない。
こうした「現在の社会が生む」タイプの犯罪には社会を上げた慎重な対応が必要である。
なぜなら「これまでにはなかったことに法律を当てはめる」という行為なのだから。

この度は警察庁は「加害者のカウンセリングにも乗り出す」というから、努力の姿勢は評価されるべきで、何とか「犯罪に至らぬまでのケア」に向けた努力だろう。
あくまで取り締まりや犯罪対応や予防の「現場」にいる警察だからこそやれるこうしたリアルなサービスは、日頃の警察批判とは別に評価されるべきものではないだろうか。

批判するのはた易いけれど、一件でも被害を防ぎ予防できたらその功績は大きなものだと思う。
「現場を預かる者としての苦労」はあると思うが、ぜひこうした周辺サービスが拡大してゆくことを望みたい。
こうした周辺の厚さこそが、「社会の付加価値」というようなソフトウェアに進化してゆくのではないだろうか。

ストーカー、捜査に限界も 加害者をカウンセリングへ
ストーカー行為が殺人など重大な犯罪に発展するケースが後を絶たない。警察は、相談や捜査の態勢整備や加害者対策を本格化させている。

 東京都三鷹市で昨年10月、女子高校生が元交際相手の男につきまとわれた末に殺害された事件では、直前に被害者が警察署に相談していたのに防げなかった。警察庁は、加害者を積極的に逮捕する方針や、相談部門と捜査部門が一体となって対応するなどの対策を都道府県警に指示した。

 警察庁によると、昨年1〜10月に加害者を逮捕したのは1376件で、前年同期比3・2%増。対策を打ち出した後の11〜12月は340件で、20・6%増えたという。警察本部で一元的に対応し、相談を受ける生活安全部と捜査する刑事部を総合する態勢は20日現在26都府県で整備され、残りも新年度には整うという。

 警察幹部は「相談の初期段階から本部が関わることで重大な被害の防止につなげていく」と説明。一方で、「逮捕しても、示談になったり刑が軽かったりして、加害者が短期間で社会に戻る例が多い」と話す。

 被害を食い止めるには、捜査を通じた対応だけでは限界があるとして、警察庁は加害者のカウンセリングにも乗りだす。警視庁などが警告を出すなどした加害者に意向を確認。希望者には、ストーカーの被害者支援や加害者のケアにあたっている精神科医のカウンセリングを月1回程度受診してもらう。米国など海外での加害者対策の調査などを含め、新年度予算案に約1100万円を計上した。(吉田伸八)

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 ストーカー規制法が作られるきっかけとなった埼玉県桶川市のストーカー事件で長女を殺害された猪野憲一さんは、被害や摘発の増加について、「警察が以前に比べ相談に対して動くようになったことや法改正の影響で、今まで隠れていた被害が掘り起こされている結果だ」と話した。

 また、「警察が態勢整備などの対策を進めていることは評価できる」とした上で、「一線の警察官に『わたしがあなたを助ける』という意識が浸透しなければ、ストーカー犯罪は減っていかない」と指摘した。

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 〈ストーカー規制法の改正〉 1999年に埼玉県桶川市で女子大学生が殺された事件をきっかけに、2000年、ストーカー規制法が施行された。恋愛や好意の感情に絡む待ち伏せや面会要求などを「つきまとい等」と規定、それを繰り返す「ストーカー行為」が罰則の対象になる。長崎県西海市で11年、ストーカー被害を訴えていた女性の実家の母と祖母が男に刺殺された事件などを教訓に、13年に初の改正法が施行された。▽メールを繰り返し送る行為を新たに禁止▽加害者に対する警告や禁止命令の権限を、被害者の住所地だけから、被害者がいる場所や加害者の住所地、ストーカー行為があった場所を管轄する警察や公安委員会に拡大▽警察が警告した時はその内容を、警告しなかった時もその理由を被害者側に通知することを義務づける――が主な内容。