藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

想像の余地をなくすこと。

再審請求や冤罪の話を聞くたびに、この原因がよく言われる「制度上の問題」なのか、それとも事件を後から立証してゆくという構造上の問題なのか、気になっていた。
取り調べ過程の見える化、ともよく言われるが、それが進んだとて「過去からの立証」という点では変わらない。
以前、いくつかの迷宮入り事件の再審の話を聞いたことがあるが、いずれも驚いたのは「あまりに古い生物データ」を今最新の技術で検証している、ということであった。
つまり"白か黒か"の判定に遺伝子分析などのデータ分析結果が非常に大きく影響し、しかもそれが間違っていたとか、不足があった、ということが再審の争点になっているのである。

つまり、捜査側の見える化というのも重要だが、科学的な分析手法の導入と、IT技術の採用によって、状況で判断せざるを得なかった事実がよりはっきりしてくるのではないだろうか。
冤罪を生む先入観をなくすには、センサー技術が進み、公共エリアでの自分たちの行動がほぼすべて「後から立証できる」ような仕組み作りが欠かせないと思うのである。
それでも密室で起きた事柄を正確に突き止めるのは難しいだろうけれど、少なくとも犯人の取り違えとか、自白の強要で白が黒、というようなことは激減するのではないだろうか。

インフラ整備が、何よりも安全な国を作り出すのである。

(もう一度、憲法を読む)冤罪生む先入観なくせ
2014年5月2日17時45分


■再審事件に携わる弁護士・佐藤辰弥さん(62)

 38条は、国家権力の乱用から市民を守る「憲法の象徴」のような条文です。私には捜査機関がこの条文を軽視してきたとしか思えません。

 福井市で28年前に女子中学生を殺害したとして実刑判決を受け、再審を求めている男性(48)の弁護をしています。警察は無実を訴える男性に自白を迫り、裁判所は矛盾する複数の関係者の証言を根拠に有罪を言い渡しました。3月に再審決定が出た「袴田事件」を含め、冤罪(えんざい)事件は後を絶ちません。なぜでしょうか。

 一つは制度の問題です。容疑者や被告が捜査官に話した内容を全て録音・録画し、捜査機関に都合の悪い証拠も全部出させるべきです。もう一つ、大事なことがあります。社会全体で憲法をもっと知り、先入観にとらわれずに逮捕・起訴された人の声に耳を傾ける。一人一人にこうした姿勢を持ち続けてほしいですね。

     ◇

 《38条》 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。

 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。

 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。