藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

先進のモデルケース。日本の味。

湯沢温泉の宿泊施設が、タダでも引き取り手がないという。
無償譲渡とはいえ、いざ営業をするとなるとメンテナンスも必要だし、従業員も雇わねばならない。
集客には広告費もかかるだろう。
食材の仕入れとか送迎の設備とか、考えればもう"「箱」があれば何か利益を生む時代"というのではなくなっていることを強く感じる。
あれは高度成長期の「行く先があれば有難い」という売り手市場時代の話だったのだ。
今は「わざわざどうしてそんな所まで」という完全に買い手市場のトレンドに移ってしまった。

もう数ある国内リゾートや海外の中で、値段にせよ、観光や食事やもてなしなどのソフトウェアにせよ、少々の努力やレベルではお客が来てくれない。
少子化の時代はこういう厳しい現実を示し始めている。

こうした「維持費倒れ物件」は、80年代以降の「箱もの行政」が作り出した地方のあらゆるところで顕在化するだろうし、またそれがこれからの時代への過渡期の「過去の決算」なのだろうと思う。
「一億総中流」のコンセプトで連休に旅行したり、海外にハネムーンに行く、という「形式崇拝」がいよいよなくなる時期にきているのである。

自分はここからが日本の本当の「成熟期」で、これからいろんな多様性のある生活スタイルが出てきて、またそれは今の欧米にもない、とても日本の"侘び寂び"のある、「枯れた、でもとても味のあるもの」になるのではないだろうか。

欧州の、古くからある港町、のような風情のジャパネスク。
いよいよ日本が注目されるような気もするのである。

秋田の温泉宿、タダであげます…まだ応募ゼロ
秋田県湯沢市は、東日本大震災の影響などで昨年12月に営業停止した市の温泉宿泊施設「秋田いこいの村」(湯沢市高松)と、一帯の土地の無償譲渡先を探している。
 建物は鉄筋コンクリート5階で130人が宿泊できる。しかし、3月から募集を始め、今月30日の締め切りが迫ったが、25日現在で応募はゼロ。市の担当者は「施設の老朽化や、雪深い地域で維持費がかさむことが敬遠される理由ではないか」とみている。
 市によると、施設は1977年、当時の雇用促進事業団が勤労者向けの福祉施設として建設した。事業規模が縮小されるなか、湯沢市が観光による地域振興を目的に、2004年、事業団が改組した雇用・能力開発機構(2011年解散)から買い取った。
 元従業員らが運営会社をつくり、市から施設を借りて営業していたが、08年の岩手・宮城内陸地震東日本大震災で客足が激減し、運営会社が12年末、負債総額約8000万円を抱えて事業を停止した。
(2013年4月26日17時29分 読売新聞)