藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

二割の人気の真相。

ご当地ショップの商品券が各所で長蛇の列になっているのには驚いたけれど、中身は「二割お得」だということらしい。
一万円で一万二千円分使える商品券の発売らしいのだが、そのあまりの反響にびっくりである。

二割のお得がこれだけの反響を呼ぶのなら、二割のデフレがこれだけの消費を生むということになるのだろうか。

消費が鈍っていると言うけれど、二割のお得感があればこれほど関心を集めるのは興味深い。
物は商品券だけれど、町中の商品やサービスが二割下がればこれだけ消費が活性化するのなら、インフレターゲットではなく「二割デフレターゲット」なのではないだろうか。
お金の価値が下がり物価が上がるのではなく、物やサービスの価値が二割下がればこれほどの需要が喚起できるのなら、十分具体化できるような気がする。

ただし、一万円のサービスを八千円にすると原価率が上がって大変だ。
一方五万円の宿泊料を四万円にするのは可能かもしれない。と思ったら違うことに気付いた。

今の「二割デフレ人気」はそれも「低額商品の二割デフレ」なのではないだろうか。
だとしたら一筋縄ではいかない。
安いものにはさらにデフレを、高額商品は買わない、というのであれば今の不景気は深刻である。

いよいよデフレの本質が本格化しているのかもしれない。

プレミアム商品券「完売御礼」 自治体発行、各地で行列岩崎生之助、坂本進
2015年7月18日15時31分
東京都多摩市では商品券の一般販売開始とほぼ同時に行列が約2千人に達し、「完売」が伝えられた。列に並ぼうとした人は「もう売り切れなの?」と驚いた様子だった=5日午前10時4分、多摩市の京王聖蹟桜ケ丘ショッピングセンター

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 国の交付金をもとに発行する「プレミアム付き商品券」が人気だ。あちこちで「完売御礼」が続き、地元経済が元気になるとの期待も高まる。ただ、これまでの同じような政策では、経済効果は限定的だった。地方の景気をよくしたい政府の目玉政策の効き目は?
 今月5日、東京都多摩市のショッピングセンターに約2千人の行列ができた。お目当ては臨時窓口で売り出されたプレミアム付き商品券。午前10時の発売とほぼ同時に「完売」の看板が掲げられ、「もう売り切れ?」と驚きが広がった。
 商品券つづり1組を1万円で買うと、地元のスーパーや飲食店など約500店で1万2千円分の買い物ができる。差額の「プレミアム」のお得感から、2万組が完売した。担当者は「ここまで好評とは思わなかった。商店からも『お客さんが増えた』といい反響が届いている」と声を弾ませる。
 茨城県つくば市役所でも6月、市民約2千人が商品券を求めて列をつくった。窓口で対応しきれなくなった市はいったん販売を打ち切った。市幹部は「予想外の反響で市民に迷惑をかけたが、経済効果は期待できる」と自信を見せる。
 5月に商品券を売り出した岐阜県中津川市。国の交付金約1億4千万円を使い切る約5万6千組を発行したが、当初の申し込みは約3割。商品券を使える店のリストアップが遅れ、市民の関心をひけなかったのが「敗因」だ。
 今月上旬、残りの約4万組を再び売り出したところ1週間で完売した。担当者は「何とかクリアできた」と胸をなで下ろした。
 東京都西東京市は2009年から商品券を発行している。外部も含めた11年度の事務事業評価で、「市内の商工業の競争力強化にはつながらない」として「廃止」を通告されたが、商店街の強い働きかけもあり、その後も毎年1500万〜2千万円の予算を組んできた。今年は国の財源で9月に発行するが、市は「来年度以降も続けるかどうかは分からない」と慎重だ。
■専門家「ばらまきと言われても仕方ない」
 4月に商品券の販売を始めた東京都品川区。主婦の坂野百合子さん(85)は家族も含めて12万円分を購入し、食費などの生活費として約3カ月で使い切った。家電や家具など大きな買い物はなし。「特にぜいたくしようと思わなかった」
 1万8千円分の商品券を購入した女性(75)は迷った末、約7千円分を眼鏡の購入にあてた。「また商品券が出れば何か新しいものを買いたい」と言う。
 中央区の商店街にある履物店では、約2万円分の商品券が使われた。学校指定の上履きなど必需品を買っていく客が多いという。店の女性(72)は「券はないよりはマシだけど、消費が増えている実感はない」。
 商品券発行を含む、地方の消費刺激や生活支援にあてられる今回の交付金事業は総額約2500億円。ただ、生活必需品の買いだめに使われることも多く、みずほ総合研究所の風間春香・主任エコノミストは独自のデータから「経済効果は約25%の640億円程度にとどまる」とみる。
 子育て世帯などに商品券を配った地域振興券(1999年)や、1人1万2千〜2万円を支給した定額給付金(2009年)の効果は、事業費の30%強だった。ただ、自然に与えられるこれらの政策と異なり、今回は消費意欲の高い人が商品券を購入する仕組みのため、「試算以上の効果があらわれる可能性もある」と言う。
 一方、昭和女子大八代尚宏特命教授(経済政策)は商品券が商店街への補助金の性格が濃く、「ばらまきと言われても仕方ない。交付金自治体それぞれの事情に合わせて自由に使えるようにした方が効果的」と指摘する。
 八代氏が成功例に挙げるのが高松丸亀町商店街高松市)だ。商店街が中心となって立案した再開発計画の事業費の半分近くを国や自治体が支援。集客力のあるテナントを誘致するなどして、売り上げが3倍に増えたという。「持続した地域の活性化には構造改革が必要。そのための規制緩和や資金を公的に支援するべきだ」(岩崎生之助、坂本進)
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 《プレミアム付き商品券》 自治体や商工会議所が地域振興のために発行する商品券で、1万円で1万1千〜2千円分にする例が多い。地方創生や景気へのてこ入れのため、国が2014年度補正予算に盛りこんだ経済対策の一環。交付金額は自治体の人口や財政力指数などに応じて配分され、全自治体の97%が発行する。