藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

デザイナーベビー。

親が望む「特性を備えた子」を意図的に作る遺伝子の操作許されるか。

科学が進歩し、医学へ応用されて進歩するたびに「倫理上の判断」は問題になってきた。
臓器移植や出生前の様々な医療技術などは現在でも議論の的である。

遺伝子解析もこうしたホットな分野で、まあ当たり前ではあるが、我われ人間は「ついに姿を現した遺伝子」に興味津津、もう知りたくて、試したくて仕方ないのである。

遺伝子を髪や体液などから少量得られれば、その生物の情報が大量に得られる。
結婚相手が病気になるか、とか自分がガンになるか、とか、あるいは精神的に病みやすいか、とかあるいは寿命はいつまでか?という恐ろしいことも分かってしまう時代である。

記事にある「青い目で足が速く、乳がんになるリスクが低い子ども」を設計したり、さらに研究が進めば知能や性格まで識別し、思い通りの遺伝子の設計が可能になる日が来るのかもしれない。

そうすると、体格の良い、皮膚の白い?、スマートで温和な性格の人ばかりが溢れる未来になる、と想像すると、なにかロボット社会のようでぞっとしない。

まだ百年やそこらはかかると思うが、いずれ「生命とはなにか」ということに、人類の科学が真正面から向き合う時代が来るような予感はある。
太陽系を高速航行して飛び回る未来よりは、よほど現実的であり、また挑戦してゆくべきテーマではないかと思う。
自分としては、遺伝子のプログラムが全て解析され、それが(今の地球上の素材で)再現できる条件が揃った時に「生命を作る」ということが実現するような気がしている。
夢のまた夢だろうか。

遺伝子解析で赤ちゃん設計? 外見や能力予測、米で特許
デザイナーベビーに関する特許
 【岡崎明子、ワシントン=行方史郎】青い目で足が速く、乳がんになるリスクが低い子どもが欲しい――。親が望む特徴をもつ赤ちゃんを作る「デザイナーベビー」につながる遺伝子解析技術が考案され、米国で特許が認められた。自分と、精子卵子の提供候補者ごとに遺伝情報を解析して、望み通りの子どもが生まれる確度を予測するシステムだ。科学者からも「倫理的に大きな問題」と批判が出ている。
 特許化されたのは、米国の個人向け遺伝子解析会社の大手「23アンドミー」(本社・米国カリフォルニア)の手法で、米特許商標庁が9月24日付で認めた。
 同社はIT大手グーグルの共同設立者らが出資。2007年から、唾液(だえき)に含まれるDNAの遺伝子配列のわずかな違い(SNP)を分析して、アルツハイマー病や糖尿病など約120の病気のリスクのほか、目の色や筋肉のタイプなど計250項目を判定する事業を展開している。価格は99ドル(約1万円)で、利用者は50カ国以上、日本人を含め40万人を超えている。
 今回、特許が認められたのは、これまでに得られた病気のリスクなど独自のデータや情報を利用する手法だ。具体的には、不妊クリニックや商業的バンクに保存されている精子卵子の提供者と、利用者の遺伝情報をかけ合わせて解析する。利用者は「大腸がんリスクが低い」「青い目」など、望む子どもの特徴を示せば、提供者ごとに、子どもにそれぞれの特徴がどの程度表れるのか確率がはじき出される。利用者の希望を満たす度合いに基づき採点、点数の高い提供者を知ることができる。希望できる特徴には、身長や性格、寿命、酒の強さ、運動能力、病気の発症リスクなどがある。
 ただ、同社は、朝日新聞の取材に、現時点で特許のコンセプトを実用化する意図も計画もないとしている。
 今の遺伝子解析研究の状況では、子どもに出る特徴の確率の信頼度、精度は項目により、大きなばらつきがある。まだ想定通りの結果は出ないが、近い将来、遺伝子解析が進んで精度が高まれば、デザイナーベビーは現実になる、とみる科学者は少なくない。
 今回の特許について、英科学誌ネイチャーの関連誌は「子どもの特徴を『買い物リスト』に入れることは、倫理的に大きな問題をはらむ」などの2ページの批判投稿を掲載した。
■「歯止めなく広がるのは危険」
 〈北里大の高田史男教授(臨床遺伝学)の話〉 身長や知能など親の「パーフェクトベビー願望」をかなえる検査が、ビジネスの世界で歯止めなく広がるのは危険だ。生活習慣病やがんなどのリスクは確定的なものではなく、多数の遺伝と環境因子が関わるという理解が必要だ。日本も国として、こうしたビジネスが野放しに広がらないような枠組み作りが必要だろう。
     ◇
 〈デザイナーベビー〉受精卵の段階で遺伝子を操作するなどして、外見や知力、体力など、親の希望をかなえた形で生まれる赤ちゃん。欧米の映画や本に登場し、一般にも知られるようになった。卵子精子を体外で受精させる体外受精が1978年に可能になったことで現実味を帯びた。日本でも、特定の病気を持っていないか、受精卵の遺伝子を調べる着床前診断はすでに行われている。さらに遺伝子解析が進めば、服をデザインするように「赤ちゃんのデザイン」も可能になると考えられている。ただ、生命を商品のように扱う考え方には、倫理的な批判が強い。