藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

業界のけじめ

STAP細胞の発見に伴う一連の報道は、そもそもの問題になった「きっかけ」と「説明」、そしてその後理研という発明者の「所属組織の見解と責任」さらにはこれをとりまく「業界と関係者の反応」そして「報道するマスコミ」と段々と波紋を広げ、また問題の核心もぼやけつつある。
「発明そのものが存在するのか否か」「論文の改ざんは悪意か否か」「理研という所属組織が再現性を含めて検証するのか、できるのか」「世界中の他機関は賛否、協力を含めてどう対処するのか」どれを含めても曖昧なままである。

マスコミも様々な角度から解説を試みているが、どうもこれまでの経過を聞いていると、このまま「いくつもの死角」を持ったまま真実は解明されないのではないだろうか、と残念な憶測を持ってしまう。
このまま発明者の方々が、どこか外国の研究機関ででも丸抱えされ、せめて科学の苗を絶やさねばよいと願うけれど、それにしてもこうした場合には司法の手段も、またアカデミズムの力も当てにならないことに嘆息する。

いくつもこれまでに例のある冤罪事件ほどの曖昧さもない。
研究者の矜持と、また真理の追求をかけてぜひとも真っ当な検証を、国や学会を上げてするべきではないだろうか。
結局一部マスコミの「思わせぶり報道」だけでこの件が埋もれていくのでは、科学が芸能人のゴシップ並にしか扱われない、ということを露呈してしまうばかりである。
感情的な報道ではなく、また政治的な理由にせず科学でこの問題は解き明かしてもらいたいと願っている。

小保方氏の手法で、できず…香港の研究者ら論文
【ワシントン=中島達雄】理化学研究所小保方晴子ユニットリーダーらが発表した手法で、STAPスタップ細胞の作製に取り組んでいた香港中文大の幹細胞研究者、李嘉豪教授の研究チームは8日、「この方法ではSTAP細胞は作製できなかった」とする論文を、英オンライン科学誌に発表した。

李教授のチームは、生後5日のマウスの脾臓ひぞうから採取した血液細胞を酸性溶液に25分間浸した。小保方氏らが1月に英科学誌ネイチャーに発表した論文や、小保方氏らが3月に発表した詳細な作製手法では、1週間ほどでSTAP細胞になるはずだが、さまざまな細胞に分化する多能性を示す遺伝子の働きは確認できなかったとしている。

 李教授は読売新聞の取材に対し、「学生たちが必死に実験に取り組んでくれたが、私のSTAP細胞作製の試みはこの論文で終わり。日本の科学界の幸運を祈る」とコメントした。今回の論文では触れていないが、李教授のチームは、STAP細胞論文の共著者である米ハーバード大のチャールズ・バカンティ教授が3月に発表した別の作製手法も試したが、やはりSTAP細胞は作製できなかったという。

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 STAP細胞の論文問題で、ハーバード大系列のブリガム・アンド・ウィメンズ病院(米マサチューセッツ州ボストン)広報は8日、読売新聞の取材に対し、「我々の研究についてのあらゆる疑問や懸念を、非公開で調査する」と述べ、同病院としても独自に問題を検証する方針を明らかにした。同病院には、論文共著者のバカンティ教授と小島宏司医師が所属している。

2014年05月09日 20時24分 Copyright © The Yomiuri Shimbun