藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

最高のものをフリーに。

吉本隆明の全359時間に及ぶ講演映像がフリーソフトになるという。
自分もいくつか講演録を購入したことがあり、驚きである。
普通に360枚に及ぶDVDを購入すれば、一枚千円だとしても36万円。
しかもこれだけのコンテンツをハードディスクに落として持ち歩く、というのも難しい。

毎日一時間づつ聞いて丸一年。

ハーバードや東大の授業が解放されたりしているけれど、まだまだ「個人のまとまった業績」が著作権のあるうちに解放されるというのは類のないことである。

こうした発想や実現の「核」そのものが吉本さんの思想なのだろう。
吉本さんの著作は、自分にはどれも難解で、思春期世代に向けた「十五歳の寺子屋」とか「詩の力」なんかは大好きで何度も読んだけれど、この音源がアップされたら、ぜひとも有難く何度も聞いてみたいと思っている。

少しくらい会費を払っていいとも思うのだが、ぜひ有志の基金のような形でも取ってもらえれば、また「その次」につながる動きになるのではないだろうか。
毎朝毎夕、スマホで吉本さんの講演を聞く毎日を想像する。
あ、メモ帳も必須になるけれど楽しみ楽しみ。

・「ほぼ日」が10周年を迎えたとき、
 ひとつの記念事業のような意味合いで、
 これまでの吉本隆明さんの講演をまとめた
 CDのセットを発売しました。
 日本全国のどんな小さな会場にも足を運んで、
 真剣に誠実に、「苦手」なはずの講演を繰り返した
 吉本さんの長い間の労苦が、
 これですべて報われたとは思いませんが、
 その声とともに残った講演の記録が、
 多くの人たちのところに届けられたというのは、
 いまという時代のおもしろいところだと思います。
 だって、親鸞やら夏目漱石やら太宰治やらの声は、
 ぼくらがどうがんばっても聴けませんからね。

 で、忘れていませんでした、ということがあります。
 『吉本隆明五十度の講演』に収録されている講演を含め
 180回分すべての講演音源を、
 フリーアーカイブ化していこうと言ったことです。
 これは、吉本さんご本人にも相談して決めたことで、
 かなりめずらしくも痛快な企みでした。
 21,521分(359時間・15日間)の講演は、
 いつか、どこでも誰でも聴けるものとして配られる。
 そういう計画を発表しながら、
 かなり高額の商品として『吉本隆明五十度の講演』を
 販売させていただいていたんですよね。
 何年先になるかわからない、とはいうものの、
 買ってくれた方々のおかげで、
 フリーソフト化が実現するというわけで、
 いますでにお持ちの方、ご協力を心から感謝します。
 その発表から、6年、吉本さんは鬼籍に入りましたが、
 著作権を継承した吉本多子さんから、
 「もう、あれをやりましょうよ」と声がかかりました。
 2008年の約束は、実現できる日を迎えました。
 
 吉本隆明さんの講演音源は、もうすぐフリーになります。
 詳しいことはこれから詰めていきますが、
 スタートは早めに、そして今年中にすべてと思ってます。
 いま、さまざまな準備をもうはじめています。
 「世界一長いオーディオブック」として
 「ギネス世界記録 TM」にも認定された50の講演集は、
 さらに130の講演を加えて、無料でリリースされます。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
「できることをしよう」のできることは、意外とあります。