藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

疑わないこと。

NSAの盗聴報道について。
策士策に溺れる、という。
結局策を弄し、相手を陥れんとする者が結局施策の複雑さやミスによって失敗する。
人同士の関係がそうだ。

相手を疑い、猜疑し、それがもとで結局自らが滅ぶ、というのシェイクスピアに代表される人間心理の代表的なものである。

つまり人は疑い、嫉妬するものだから「それ」をいかに律するかということが大事なのだと思う。

自分たちの日常でも同じだ。
男女関係なんてその類の人情話は星の数ほど物語になっている。
信頼できるはずの仲間を「もしや」と疑い、探る。
いつしか猜疑心はむくむくと成長し、周囲を疑うことが自己目的化し、遂には仲間を失うというストーリーは数あるローマや中国の史伝にいくらもある。

現代では策士策に溺れる、は「情報は情報に溺れる」ということだろうか。
それでは情報戦に勝てません、という言い分も分かるけれど情報そのものが目的になってしまっては本懐は遂げられないのではないかとも思う。

いろんな意味での「相手」の情報を得ることは貴重なのに違いないが、それに目を奪われて本来の意思を伝えることが損なわれては本末転倒である。
盗聴も含めた情報の収集によって、自分は何をしたいのかという志が確立していなくては、情報ありきで情報に振り回され、局地戦に没入してしまうのではないかと思う。

政治を司る人に必要なのは情報よりは志なのだ、と今の時代に改めて思うのである。

方法論やテクニックに惑わされてはいけない。

米の日本盗聴、個人宅も対象か 優先度つけ分類
内部告発サイト「ウィキリークス」が、米情報機関・国家安全保障局(NSA)の盗聴対象に日本も含まれていたと公表した。機密とされる文書には、温暖化防止策や通商交渉における日本の方針がつづられ、米国が自国の国益にかかわる日本側の動きを探る様子が垣間見える。
 ウィキリークスは、NSAのデータから日本国内の盗聴対象を抽出したとする電話番号のリストを公表した。ターゲットは内閣府経済産業省などの省庁や日本銀行、大手民間企業にも及んでいる。
 リストは2010〜11年にかけてNSA内で登録された盗聴対象とみられ、計35回線が挙げられている。役所と部局の名前ごとに国番号の「+81」から日本の電話番号が記され、「日本:経済成長」「多国間:国際金融」「日本の指導者の監視」などの関心分野とともに、数字で優先度がふられている。うち1件は、個人名の名字とともに「HOME」と記され、個人宅もターゲットになっていたことがうかがえる。
■温暖化対策・通商巡り文書
 ウィキリークスは今回、NSAが盗聴した情報などに基づいて07〜09年に作成した機密文書とされる五つの文書も公開した。
 温暖化対策に関する文書の一つは、第1次安倍政権で、07年4月の首相訪米を前にした日本の出方を伝える内容だ。当時、京都議定書に続く温室効果ガス削減の枠組みづくりで、各国が主導権争いを繰り広げていた。米国は数値目標の設定に消極的な一方、安倍政権は「2050年までに世界の温室効果ガスを半減させる」という野心的な目標を打ち出して、指導力を発揮しようとした。
 文書によると、外務省は当初、訪米前の時点で未発表だったこの目標について、米側の反対を警戒して事前に知らせない方針だった。しかし、首相公邸でのブリーフィングで一転、日米関係に影響はないとし、事前に知らせたうえで首脳会談で言及することにした。思惑は、米側に筒抜けだったことになる。
 07年5月、当時の安倍晋三首相は、アジア各国首脳の集まる会議で、新しい地球温暖化対策の戦略「美しい星50」を発表し、すべての主要排出国が参加して「50年までに世界の温室効果ガスを半減」の目標を掲げた。
 世界貿易機関WTO)の通商交渉に関する文書は、09年6月に当時の石破茂農水相がカーク米通商代表と会談するのに先立ち、農水省がまとめた発言要領を伝えたとみられる内容だ。09年当時は、WTOの多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)が難航していた。日本はコメなど高関税をかけている農産品について、関税引き下げの例外となる「重要品目」にするよう主張。引き下げを求める米国と対立していた。
 文書は、石破氏が、米国が10年半ばまでに交渉を終わらせる意思があるのかを聞いてくる可能性がある、とした。
■同盟強化のさなか
 「やっぱりか。想像どおりで驚くことではない」
 米政府に盗聴されたと指摘された経済産業省。幹部からは、そんな声が上がった。通商交渉の中身が漏れていた経産省の別の幹部も「盗聴対象として狙われるのは常識。とくに米国は昔から警戒しているが、すべての会話を完璧に防ぐのは難しい」と話す。
 ただ、安倍政権は「日米同盟の深化」を前面に掲げる。安倍晋三首相は4月末の訪米で、「日米同盟の歴史に新たな一ページを開いた」と宣言。参院で審議中の安全保障関連法案も、実質的には自衛隊による米軍支援の幅を広げるものだ。
 関係が深まっているはずの同盟国の情報機関から盗聴されていたのではとの疑惑が突きつけられ、外務省幹部は31日、コメントを求める記者団に「知らない」「聞いていない」と繰り返した。
 いまは盗聴していないのか。この日、記者団に問われた首相周辺は語った。
 「お互いの信頼関係を崩すようなことはないと思っています」。機密情報の収集力ではるかに及ばない米機関の行為には諦めもうかがえる。
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 〈ウィキリークス(WikiLeaks)〉 各国政府機関の機密文書や企業の内部情報を独自に入手し、暴露する独立系ウェブサイト。イラク戦争に関する米軍の機密文書約40万点(2010年10月)や、米軍ヘリによるイラク民間人の射殺動画(同年4月)などを公表、大きな波紋が起きた。一方で、米外交公電約25万件を公表した際は、公電に書かれた情報提供者名を削らず、未編集で発表したことで批判を受けた。
 匿名を保証した情報提供窓口を持ち、世界に1200人以上いるとされるボランティアが情報を分析、編集し、公表する。活動資金の大半を寄付に頼り、これまでに120万以上の文書を保存しているとされる。
 オーストラリア生まれの元ハッカージュリアン・アサンジュ氏が06年に創設。その目的を「内部告発によって世の中を良くする」といい、情報を暴露する手法が「真の民主主義を生み出す最も強力な方法である」とウェブサイト上で主張している。
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 〈米国家安全保障局(NSA)〉 国防総省の情報機関として1952年に創設され、通信情報の収集や分析を担う。2013年に米中央情報局(CIA)のスノーデン元職員の告発で、インターネット上の個人情報を極秘に集めていたことが明らかになった。メルケル独首相らの携帯電話を盗聴していた疑惑も発覚し、オバマ政権は、安全保障上やむを得ない事情がない限り、緊密な友好国や同盟国の指導者への盗聴はしないと対応を改めた。また、関連法規も修正され、不特定多数を対象にした電話通信記録の大量収集を禁じ、手続きの透明化が図られている。