藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

国家観の成熟。

安保法案可決から一夜明け、色んな反応が出て来つつある。
これからは「採決後」をどうしていくかということが焦点になるのだけれど、
その採決の強引さに憤る人たち、
無効を主張する野党連、
憲法違反を問わんとする法律家、
そして何より「法案そのものに関心を抱いた一般国民が格段に増えた」ということは肌で感じる。

かく言う自分も、判官びいきではないが、かの強引な採決のプロセスを見ていた一昨日には「ただ憤り」を感じた一人である。
けれど、少し時間を置いて考えてみると「どちらが本筋か」ということについては二面性を感じざるを得なかった。
周囲の反応も驚くほどで、みなそれぞれに法案の功罪については持論を持っているという印象が強い。
一昔前の「右か左か」というような感じではなく、独自に政治観を持っているという感じがするのである。

日本人による「日本論」は度々話題になるけれど、何かいよいよ「脱戦後」について本当に国民が考え出していて、そんな契機が今の国会に表れているのかもしれない。

戦中を知る人が殆どいなくなり、
そのことについて危機感を感じる今の世代の意識が高まり、
そしていよいよ「自分たちはどこに行くのか」ということをまじまじと考え始めているような気がする。

「体制悪し、大衆弱し」といったこれまでの「分かり易いスローガン」を離れて、いよいよ日本人が自分たちを考え始めているのだとすれば、これからが「オリジナルの日本のスタート」ということなのかもしれない。

一つの事件を契機に、いろんな角度で考え、自分なりの意見を立ててみて周囲と比較する。

日本のオリジナリティはこれからが楽しみなのではないだろうか。

安保法賛否・デモの報道…新聞各紙、二極化する論調
戦後日本の大きな転換点となった安全保障関連法の成立や抗議デモを、国内の新聞・テレビはどう報じたのか。

* タイムライン安保審議

 朝日、毎日、読売、産経、東京の在京5紙は19日付1面(最終版)に、法案成立への賛否を示す論文を掲載した。
 朝日新聞は「民意軽視の政治問い続ける」との長典俊・ゼネラルエディターの論文を掲載。「憲法に抵触する疑いが強い法制だ。成立してもなおその是非を問い続ける」とした。
 毎日新聞は小松浩・論説委員長が「国家の過ちに謙虚であれ」の見出しで、「国民の支持のない自衛隊の海外派兵はあってはならない」と指摘。東京新聞は深田実・論説主幹が「不戦の意志貫こう」とし、憲法9条の条文を添え、「法律が成立しても国民多数が望まぬなら不用にできる」と訴えた。
 一方、読売新聞は田中隆之・政治部長が「戦禍を防ぐ新法制」として、「強大化する中国と向き合い、必要最小限の抑止力を維持できるようになる」と評価。産経新聞も「視点」で、「中国の脅威 抑止力強化」の見出しで成立を評価し、「自国存立のために集団的自衛権を行使できるようにするのは当然だ」とした。
 各地の反対デモの取り上げ方も、5紙で分かれた。
 最大規模となった8月30日の国会周辺での反対デモ。朝日、毎日は翌31日付朝刊で1面2番手の扱いを含め3ページにわたり掲載。朝日の長ゼネラルエディターは「カウンターデモクラシーの萌芽(ほうが)の動きとして注目すべき事象と判断した。しかし、「反対」だけに焦点をあてるのではなく、人々を街頭へと突き動かしたものはなにか、を考えるという視点から記事の構成を考え、紙面扱いを判断した」とした。
 東京は31日付朝刊1面トップをはじめ、6ページにわたり全国のデモを紹介。参院特別委の中央公聴会を報じた9月16日付朝刊では、学生団体「SEALDs(シールズ)」の中心メンバー奥田愛基さんの発言を全文掲載した。3紙は積極的に各地の反対デモを取り上げた。
 一方、読売は8月31日付朝刊社会面で、29日にあった賛成デモと併せて反対デモを紹介。9月17日付朝刊社会面で「デモ国会周辺緊迫 寝そべり 通行妨害」の見出しで、デモの主催者発表と警察集計の参加人数の開きを指摘し、60年安保闘争のデモに参加した大学名誉教授の「当時は安保改定が何なのかよく分からないままデモに加わったが、のちに必要だと理解できた」との談話を添えた。
 読売新聞グループ本社広報部は「記事掲載の経緯や判断は従来お答えしていませんが、安保関連法案をめぐる抗議行動など様々な動きは、紙面で適切に報じています」としている。
 産経は8月31日付朝刊社会面で「SEALDs(シールズ)」の分析記事を掲載。公安関係者の見方や共産党の機関紙・赤旗が大々的に掲載した経緯に触れ、「実態は不明な部分もある」と書いた。産経新聞広報部は「個別の記事や特定の記事に関することはお答えできません」としている。
 各紙の論調やデモの扱いの違いについて、慶応大の大石裕教授(ジャーナリズム論)は、新聞が果たす役割が論説や解説へ移っている点に着目する。「スマホに最新のニュース一覧が並ぶ時代に新聞も様変わりを求められ、論調の違いが最大の個性になった。記事の切り口や扱いは社の論調に影響されやすく、メディア環境の変化が二極化に拍車をかけた」と話す。
■テレビ各社、扱う時間に差
 テレビも安保国会とデモの様子を連日伝えたが、扱う時間には差もあった。
 最終盤の5日間(14〜18日)、NHKと在京民放計6局の夜のニュースを比較した。NHKの「ニュースウオッチ9」、テレビ朝日の「報道ステーション」、TBSの「NEWS23」、フジテレビの「あしたのニュース」は放送時間(CM含む)の4割前後を割いた。一方、日本テレビの「NEWS ZERO」は1割強、テレビ東京の「WBS」は1割未満だった。
 17日の参院特別委の採決の混乱には、各局から批判のコメントが相次いだ。報ステ古舘伊知郎キャスターが「私は強行採決だと思います」とコメント。「NEWS23」の岸井成格アンカーは「国の形を左右する重要法案とは思えないような、ぶざまな形の強行採決でした」。「ZERO」の村尾信尚キャスターも「この法案、まだまだ議論が足りません」、「ウオッチ9」の河野憲治キャスターも「言論の府とは思えない光景。与野党とも他の対応はなかったのか」と語った。
 NHKは7月15日の衆院特別委を採決の瞬間しか中継せず、視聴者から批判を浴びた。9月17日の参院特別委はニュースを拡大し、19日午前0時過ぎからの参院本会議も、予定を変更して採決まで中継した。上智大の音好宏教授(メディア論)は「制約の多い国会中継の枠ではなくニュースという形で報じたのではないか」と話した。