藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

教訓を生かせるか。

日経の「円建てNYダウ平均」という面白い分析。
米市場を基に、円建てて日本の株価を比較する、というのは一見筋が通っているようでs"??"という気もする。

つくづくマクロ経済のモデルは「どこが起点で、どの計から見るか」によって結論はまったく正反対になるものだ。
だから逆説的だけど「結果」を予想すると真反対の現象にしばしば出くわす。
だからと言って方向を予想しないとなると…どうにも悩ましい。

先進国の経済がもうそれほどは伸びないだろう、という気はするが新興国を訪問してみるとまだまだ発展の余地はありそうだし、21世紀全体でみればもう少し緩い右肩上がりが世界的には続くような気がする。
自分は社会人に成り立てて渦中にいた、とは言えないが90年代バブルの時に一番驚いたのは、サラリーマンとか職人さんとか一見、投機とはまったく縁のなさそうな人たちがこぞって株とか外債などを購入していたことだった。

目先の儲け話を聞かないのはもったいない気もするけれど、過去の記憶で唯一の教訓はそんなことでしかない。
どうも今起きていることも「特別な初めてのお話」ではないような気がする。
あと二十年も経った時にどんな見方がされているのか、を想像して今を生きよう。

日本株を左右、「円建てNYダウ平均」の魔法
編集委員 滝田洋一
2016/2/14 5:30
日本経済新聞 電子版
 米議会証言で飛び出したのは、株式市場を安心させる「イエレン・プット」ではなく、ドル売りを誘う「ドル・プット」だった。米利下げさえ織り込むような米国債利回りの低下で、ドル安が進む。円と日本株の海の色は変わった。

 「米国の金融要因による減速懸念」という、イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の言い回し。三菱東京UFJ銀行の鈴木敏之シニアマーケットエコノミストはそこに注目する。「3月利上げ断念は無論、その先の利下げも可能になる」というのだ。

 米国債市場は走り、10年債の利回りは一時、1.5%台まで突っ込んだ。日米金利差によるドル高シナリオは崩れ、1ドル=110円台まで円高・ドル安が加速する場面もあった。


 円と金、主要国の国債。国際金融不安が募るなか、リスク回避を急ぐ投資マネーは、これらの資産に駆け込む。日本株は大きく下押すが、その行方をピタリと指し示している「分身」がある。

 「円建てのニューヨーク・ダウ平均」である。そこには、(1)米企業業績を映すダウ平均と(2)日本企業の輸出採算を左右する円相場、という2つの要素が反映されている。

 2011年末を100としたグラフをみれば、日経平均株価と円建てダウ平均はピタリと重なり合う。日経平均も円建てダウ平均も昨年末にかけていったん持ち直したものの、夏までの高値を更新できなかった。そして今年に入り急落している。


 年初来の株価指数の下げは、米国より日本の方が大きい。日経平均とドル建てダウ平均の「絶対値」をみると、昨年は「日本>米国」だったのに、今や「日本<米国」である。円安の追い風が止まり、円高の逆風となったことで、日本企業の業績の不透明感が募っている。

 しかもその円高を映す形で、円建てダウ平均が小さくなっている。円建てダウ平均を基に、日経平均の水準を推計するとどうなるか。

 11年末以降、日経平均と円建てダウ平均が連動している点に注目すれば、下記のような算式で日経平均を求めることができる。算式では、11年末以降の円建てダウ平均の変化率を、11年末の日経平均にかける。式を変形すれば、「現時点の円建てダウ平均×0.009」が日経平均の推計値となる。

「円建てダウ平均」を用いた日経平均の推計値
=11年末の日経平均×11年末以降の円建てNYダウの変化率
=11年末の日経平均×現時点の円建てNYダウ÷11年末の円建てNYダウ
=8455.35円×現時点の円建てNYダウ÷939653円
=現時点の円建てNYダウ×0.009
(注)円建てNYダウNYダウ×ドル・円相場。推計は日経平均と円建てNYダウがフルに連動すると仮定

 11日のダウ平均の終値は1万5660ドルで、米国での円相場の終値は1ドル=112円台だから、円建てダウ平均は176万円強。これに0.009をかけると、日経平均の推計値は1万5800円強となる。

 12日の東京市場日経平均は1万5000円をも割り込んだので、推計値を900円近く下回っている。ろうばい気味に日本株が売られたともいえる。12日のダウ平均1万5973ドル、米国での円相場113円台を基にすると、日経平均の推計値は1万6000円を上回る。従って、週初にはある程度の反発があっておかしくない。

 とはいえ、米国株安のもとで一層の円高が進むと、円建てダウ平均は減価し、日経平均の推計値も押し下げられる。仮にダウ平均が1万5000ドル、円が110円となった場合の円建てダウ平均165万円から、日経平均の推計値を求めると1万4800円強。12日の実際の終値とほぼ同水準である。

 この調子で、ダウ平均が1万5000ドル、円相場が105円となった場合の円建てダウ平均から、日経平均を推計することもできる。あまり心弾む数字ではない。政府・日銀が円相場の110円突破を懸念するのもうなずける。

 もちろん、日米株価の連動性は局面によって変化し、直近では日本株が「割り負け」しがちだ。ただ、米国時間の取引では「日経平均先物と円建てダウ平均の値動きが時間差なく重なる」とT&Dアセットマネジメントの神谷尚志チーフエコノミスト。「人工知能(AI)を使って取引している投資家がいるはずだ」と神谷氏。

 目下の焦点は米経済と米国株が土俵際で踏みとどまれるかどうか。先週末の米国市場はその希望を残したが、成り行きは予断を許さない。円相場との動向も絡み、円建てダウ平均に目を凝らすべき局面が続きそうだ。