藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

気づかないうちの学習。

かがくアゴラより。

どちらか選んだ理由を聞くと「何となく」という返事は多い。
無意識に得た記憶が影響しています。
潜在学習には自転車に乗ること、道順や街中の配置を覚えたりすることがあります。

自分たちは日々の表現の中で「どこまでを本当に意識しているのか」どこからが「意識せずして」意思表示されているのだろうか。

そう問われると「ロジックで判断する部分」は必ずあるし「本能的」に決めている部分もある。

自分は女性は「潜在力の達人」だと思っているが、「ここまでは本能、ここからは論理」と識別できれば自分自身を理解するのに助けになりそうだ。

さらに個人差の問題。
空気を読む人も読まない人も、読めない人も、それが「意識的な自分の選択」なのかそれとも「周囲の気配を読めない結果でしかない」のか。

つまり、空気を読んでから「どうするか?」を考えるのと、
そもそも空気が感じられないの、とではプロセスに差がある。

自分が興味を持つことと持たないこと、とか予め考えて能動的に反応するのか、それとも考えずに反応しているのか。
自分としては「全部自分で考えているつもり」でも、反応的に動いていることは案外多そうだ。
技術の進歩も目覚ましいが、脳の解明もいよいよこれからが本丸ではないだろうか。

人間は無意識でも学習する
潜在学習で得た記憶は忘れにくい。教育に応用できる

 人間は無意識に何を学んでいるのか。京都大学情報学研究科特定研究員の樋口洋子さんは心理学の手法を使って、こんなナゾの一端を明らかにした。

 ――無意識で学ぶとはどういうことですか。

 自分では意識していないが、学習して記憶として残ることです。潜在学習と呼ばれます。覚えようという意志がなくても、気づかないうちに記憶しています。

 ――なぜ潜在学習に興味を持ったのですか。

 こうした学習による記憶に、日常生活が左右されているからです。どちらか選んだ理由を聞くと「何となく」という返事は多い。無意識に得た記憶が影響しています。潜在学習には自転車に乗ること、道順や街中の配置を覚えたりすることがあります。脳の研究から海馬が大きな役割を持つこともわかってきました。

 私は「空気が読めない人間だ」とよくいわれます。でも空気が読める理由はうまく説明してくれない。表情や声のトーンなどを無意識のうちに学習しているかもしれません。こうした潜在学習を科学的な実験で明らかにしたいと考えました。

 ――どんな実験に取り組んだのですか。

 心理学で使う「文脈手がかり」という方法を利用しました。環境や周囲の様子などを手助けに、行動がどれだけ速くなるかを探る実験です。再現性が高く、効果が分かりやすいのが利点です。

 具体的にはコンピューター画面で約10人の顔写真を連続して見せ、性別や配置が違う顔写真が出た場合にキーを押してもらいます。約100人の大学生の協力を得て、繰り返すうちにキーを押すのがどれだけ速くなるのかを調べました。

 実験を繰り返すと、ほとんどの学生が速く押せるようになる。でもパターンを覚えているわけではない。無意識に性別や配置に集中し、選ぶ情報の優先順位を付けることでパターンを予測できるようになった。

 ――どんな応用が期待できるのですか。

 最も貢献できるのが教育です。効率的な勉強法や、ゲームのように楽しくやれるような仕組みが見つけられる。また無意識の学習はなかなか忘れにくく記憶として残りやすい。ただ、似たようなものに聞き流す学習や睡眠学習というのがありますが、単に聞くだけではだめで、意識し興味を持つのが大切です。

 ――今後はどういう研究に取り組みますか。

 個人差を探りたい。音楽経験がある人は潜在学習が得意という研究もある。潜在学習の効率を上げる方法を探りたいし、空気が読めるようにもなりたいと思います。

(聞き手は竹下敦宣)