もうごく近いうちに「高齢者の見守り」とか「日常の健康管理」は人間の手を離れてセンサーが代わってくれるようになるらしい。
巷で言われる「無くなる業務」は急激に増えている。
そのうち、"自分の日常の全て"は全部センサーによって「見える化」されるだろう。
ビッグデータの分析を待つまでもなく「健康か不健康か」とか「老化の度合い」とか「充実の度合い」なんてものまでありありとわかる時代がすぐそこに来ているようだ。
「今日は笑顔が少なかったですね」とか。
「今月は30回怒りましたね」とか。
運動量とか摂取カロリーとか以外の「自分の生態」がはっきりとする時代になるのだろう。
そればかりか、「このままでは経営が行き詰まりますよ」とか「そろそろ病気になりますよ」とか「人生の方向をそろそろ決めた方がいいですよ」というようなことも、多分「あっち」から見ればわかってくるだろう。
占いや適当なアドバイスなどと違って「大方の傾向を統計的に」示される時代が近く訪れそうだ。
「水瓶座の人は…」とか「B型の女性は…」などではなく「あなたのような人は、5x歳で脂肪肝になり…歯周病になる率は80%で…」という現実が示される。
「毎日が健康診断」の時代は甘えが許されない日々になりそうだ。
生保、健康管理アプリ競う 認知症予防や食事に助言
生命保険を選ぶ時、保険料や保障内容を見比べるのは当然だが、ここにもう一つ新基準が加わりそうだ。スマートフォン(スマホ)の便利なアプリを駆使し、消費者の生活習慣を点検したうえで、万が一のリスクを軽くできないか。生保各社は保険商品と組み合わせながら、独自の健康管理アプリの開発・提供を競っている。日々の健康管理でも手軽さや利便性を競う時代がやって来た。
「見守り」3人まで
「(母親の)美恵子さんが今日は歩いていないようです」。都内で働く男性会社員は、離れて暮らす母親に関するスマホの通知にびっくりした。慌てて実家に電話をかけると、母親がスマホの電源を切ったままにしていたと分かり、ほっと胸をなでおろした。
T&Dホールディングス傘下の太陽生命保険が昨秋始めた「認知症予防アプリ」。被保険者だけでなく、最大で家族3人までを対象にした「見守り機能」が売りだ。
まず登録した人が一日どれだけ歩いたか、どれぐらいの速さで歩いたかを測定する。続いて速度が一定値を下回ると、「認知症のリスクが高まっている」として、家族に通知する。18時間以上記録がつかなければ、これも家族に知らせる。男性会社員のケースだ。
営業企画部の村川謙治さんは「保険は何かがあった時にお客様に支払う。けれど、その『何か』が起きる前に、予防する観点からサービスが提供できないかと考えた」と話す。もともとは特定の保険商品に付随したサービスだったが、利用者から好評だったこともあって、同社の保険契約者なら誰でもダウンロードできるようにした。
日本生命保険は、マピオンが開発したウオーキングアプリ「アルクト」に協賛している。アプリの利用状況に応じ、日生の契約者向けの独自ポイントである「マイル」がたまる仕組みを構築中。マイルは来年度中にも、歩数計や健康機器などと交換できるようにする。
保険の契約者でなくても利用できるサービスも多い。身近な健康アプリが浸透すれば、いずれ契約獲得にもつながるとみているためだ。
老後の顔を表示
第一生命保険は、カメラ機能を使って誰でも利用できるアプリ「健康第一」の提供を始めた。自分の顔をスマホで「自撮り」すると、たちまち人工知能(AI)の解析を経て「老化した自分の顔」を表示。一見、ショッキングな機能が話題だ。
同社は子会社を通じ、独自の健康年齢で保険料を算出する保険商品を提供する。「健康になりたい、若くいたい思いを応援したい」(生涯設計教育部マーケティング開発課の由水孝治次長)。アプリではBMI(体格指数)に応じた健康シミュレーションもできる。
秋には機能拡充を予定しており、食事を撮影するとカロリーや栄養価を算出したり、読み取った健康診断の結果から健康管理をアドバイスしたりするよう改良を加える。損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険は女性をターゲットに、「リンククロス」シリーズでダイエット支援や散歩コースの伝授など3種類のアプリを提供している。
長寿化や死亡率の低下に伴い生保各社は、保険料や保障内容はもちろん、家族を巻き込んだ形で生活支援や病気の予防を前面に出したサービスに軸足を移す。家庭にとって各種アプリの仕上がり具合も保険選びの材料になるはずだ。
(佐藤初姫)