藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

他人にも考えてもらうこと。

学生さんにな「君は何がやりたいの?」と聞いて明確に答えられる人は少ない。
(で答えられる人にはこの記事は意味がないのでここで読み飛ばしてください)

とは言いつつ。
教師だって親だって友人だって、会社だって「その人のやりたいこと」を応援したいと思っている。実は。
そう思わない人の方が少数だろう。

だから人付き合いの発言では「自分の嫌いなこと」とか「嫌な体験」はできるだけ避けたほうがよし。
つまり「こんなことできないかなー」とか「こんな仕事ってどう思う?」とか「困りごとがあるんだけど何とかしたい」という姿勢がいいだろう。

嫌なヤツの話に同調するのは割合しんどいものだが、前向きな相談だったら誰しも「何とかできないものか」と考えを巡らすものだ。
思わぬいいアドバイスがもらえることも多い。
他人の心は「自分の憂さ晴らしのため」に使うのではなく、一緒に考えてもらえるようにコミュニケーションしたいものである。

人を変えるには まず自分
「本当にやりたいことは、個人の成長を応援すること」。熱い思いを胸に、瀬田川史典さんが社会起業大学の事業統括に就任したのは、3年半ほど前のことだ。仕事内容は、受講生の募集から大学での講義に至るまで多岐にわたる。「事業統括」とは聞こえはいいが要は「何でも屋」である。かつて務めていた人材育成企業で法人向け企画営業の経験はあるものの、それ以外はほぼ素人。難易度の高い無謀な挑戦にも思えた。


1992年住友銀行(現三井住友銀行)入社。新銀行東京イオン銀行設立に参画後、キャリア支援のリソウルを設立。2010年に社会起業大学を設立。公益資本主義推進協議会副会長。
社会起業大学には、自分より経験豊富な社会人もたくさん通っている。講師として期待に応えられるのか不安はあったが、中小企業診断士の資格を持っていたため、しっかりと準備をして、論理的に説明できれば何とかなると思っていた。しかし、実際は思惑通りにはいかなかった。受講生の納得度、満足度が上がってこなかったのだ。
社会起業家を目指している受講生たちの中には、家庭環境や学校、そして職場において、普通の人は経験しないであろう苦労をしてきた人も多い。「やはり自分では通用しないのか」と思い悩んだが、よく考えてみたら、自分だってそれなりの苦労をしてきた。
就職活動で必死に頑張る同僚たちをみて、なぜか活動の意欲を失い就職浪人となった。何とか入社した人材育成企業は、経営が厳しくなり、不本意にも早期退職することに。次に入った会社もリーマン・ショックの影響で人員が減っていき、状況もわからないまま業務の引き継ぎを強いられるなど、散々な人生を歩んできたことを思い出した。
「きょうは自分の言葉で話してみよう」。カリキュラムに自分の体験を盛り込んでよりリアルに話をするように心掛けた。すると、受講生の反応が今までとは明らかに違ってきた。話している内容が伝わっている感覚も得られた。それ以降、講義への反応・評価が明らかに良くなっていった。自分が変わることで周りを変えることができることを実感した。
その他の仕事、最新のデジタルマーケティングの手法を活用しての反響営業や無料体験授業の実施、そして入学相談対応など、すべてを自らが中心となって進める必要がある。週に2回、多い時には6回開催する無料体験授業は年間で500人以上が参加するが、回数を重ねるごとに、参加者が増えてきていることに手応えを感じている。個々人が、自分らしく社会に貢献する生き方・働き方を真剣に模索する時代がいよいよ到来したのだ。社会起業家の育成は公益資本主義の普及に不可欠である。
瀬田川さんの何よりのやりがいは、受講生の一人ひとりのやりたいことやワクワクすることに丁寧に寄り添って応援することで、おのおのが本来の自分を取り戻し、生き生きと変わっていく様子を目の当たりにできること。その喜びは何物にも代えがたい。