藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

新・どぶ板の時代。

日経より。
「さらばどぶ板営業」。
営業としては「ええっ!」という感じだ。
ところが記事を読んでみて気づく。

実は「やるなら効率的などぶ板を」ということだ。

ともかく絨毯爆撃、とかローラー作戦、などと言って「しらみ潰し」に回るのを営業の美徳としていたけれど、そうではないという話。
トークの技術」とか「相手の情報」とか「タイミング」とか。
営業マンが「自分の感性」を第一にしていた時代は、確かに終わりを迎えそうだ。

どうせ「どぶ板」なら、どんな相手先に、どんな内容で挑むのか。
さらばどぶ板、は実は「確かなどぶ板」なのだと思う。
やはり営業はどぶ板。
これからも挑戦だ。

さらば「どぶ板」、営業テックでスマートに

スタートアップが日本の営業スタイルを変えようとしている。相手に響く話し方を指南したり、成約が近そうな訪問先への経路を示したりするサービスを提供。人手不足のなか、対面の良さを残しつつも法人営業の効率が上がることで支持を集める。一軒一軒をしらみつぶしに回る「どぶ板営業」は過去のものになるかもしれない。

■電話の内容を瞬時に分析
ビズリーチの電話営業部隊ではRevCommの解析ソフトで成約件数が6割向上した(東京・渋谷)
「しゃべりすぎたみたい」「こんなに話を遮ったのか」――。人材サービスのビズリーチ(東京・渋谷)の本社オフィス。電話営業の担当者たちは顧客と話し終えるたび、目の前のパソコンが示すデータを見ながら自分の話し方を振り返る。
同社は2〜3年ほど前に求人広告などを出す企業への電話営業を取り入れた。新規の顧客に訪問の約束を取り付け、外勤の営業が商談に向かう。会ったことのない相手と話す電話営業の味方が、RevComm(レブコム、東京・渋谷)のクラウドサービス「MiiTel(ミーテル)」だ。
会話を人工知能(AI)で分析。自分が黙ったり相手の話にかぶったりした回数、商品名などのキーワードの使用回数、自分の声の周波数や1秒間に話した文字数(話す速さ)まで示す。成約につながった成績のいい人と比べて理想的な話し方に近づけられる。
電話営業は全営業の1割に当たる約50人。以前は訪問の約束を取り付けることに集中して顧客の事情にまで話が及ばないこともあった。「スムーズな会話を通じて相手の関心事が引き出せ、商談に必要な資料やプランを準備できるようになった」とビズリーチの茂野明彦ビジネス開発部部長。

RevCommの会田武史CEO
今年2月にミーテルを試験導入すると、商談の成約件数が約6割増えたという。未経験者も電話営業に採用しやすくなり、入社2年目の女性は訪問の約束を取り付けられる電話の割合が4カ月で2倍になった。
レブコムは三菱商事出身の会田武史最高経営責任者(CEO)が「前職での海外勤務などで日本型営業の効率の悪さを感じた」と2017年に設立。アクセンチュアなどの大手企業から3人の技術者を幹部に採用した。
会話分析システムは大手コールセンターが自社用に開発する例があるが、クラウドで多様な業種が使える。料金は利用者1人当たり月4980円から。今年8月に正式にサービスを始め、数十社が導入した。

ベルフェイスの中島一明社長
顧客が電話で4桁の数字を伝え、営業担当がその数字をベルフェイスのサイトに入力するとシステムが使える。顧客は「スカイプ」のような専用ソフトを取り込んだり登録したりする必要がない。営業用の資料を画面に表示でき、顔の縦横比を自動調整して見た目を良くする機能も備える。料金は3回線同時接続の場合で月7万2千円から。
人材紹介のパーソルキャリアで転職サイトを運営するミイダスカンパニーは16年12月に外回り営業をベルフェイスに切り替えた。移動時間などの削減で1人の営業で2.2件だった1日平均の商談が同9件になり、成約件数も比例して増えた。武井充営業部長は「働く場所を選ばないので育児中の人や在宅勤務をしたい人らを営業に採用できている」と話す。
「狭い地域に事業所が集中している日本だからこそ生きる」。外勤営業の効率化支援で成長するのが、02年設立のUPWARD(アップワード、東京・中央、金木竜介CEO)だ。顧客の情報を地図に落とし込むアプリを提供。225社が導入している。

UPWARDの金木竜介CEO
訪問回数や対面した相手の役職などから営業の進捗状況を色分けし、場所や進捗に応じて効率のいい訪問経路を提案する。営業の結果は声でも入力でき、スマートフォンタブレットを片手に外回り中に使いやすい。
15年3月に導入したダイハツ工業介護施設向け車両販売では1年で販売台数が5倍以上に。「最初は真っ白だった地図が塗り替わっていく視覚効果が営業担当のやる気につながっている」(同社)という。
営業支援で成長する日本のスタートアップは顧客管理システム(CRM)のデータを使い、営業担当の活動効率を上げている。CRMで代表的な存在が米セールスフォース・ドットコム。世界で約15万社が導入し、日本でも多くの企業が導入する。
同社は企業が手軽に利用できるクラウドで提供し、柔軟に改良できることでCRMの世界最大手となった。レブコムやアップワードもセールスフォースのシステムと連携している。
その分野で伸びているのが15年設立のマツリカ(東京・品川)。CRMを軸に案件の進捗管理などに機能を絞り、料金を利用者1人当たり月5000円からに抑えた。

マツリカ共同最高経営責任者(CEO)の黒佐英司氏
中小企業やスタートアップを取り込み、導入企業は約700社と1年で7倍になった。機能を絞ったとはいえ、人工知能(AI)を使って進行中の案件に状況が似ている過去の履歴を呼び出せ、その際の営業用資料などを参考にできる。
セールスフォースのサービスはCRMマーケティング支援の大きく2つ。SALES ROBOTICS(セールスロボティクス、東京・中央)は04年にWEIC(ウェイク)として設立。400万社にのぼる企業のデータを分析し、商品に応じた最適な顧客リストを作り企業に提供している。AI関連の技術の進展がセールスフォースの牙城に食い込もうとするスタートアップを生んでいる。
単なる電話やメールでは顧客の心はつかめない。相手の世代や業種によっては直接的なコミュニケーションも必要だ。営業現場の事情や要請に細かく応えたスタートアップが日本の営業の生産性向上に貢献していく。
(企業報道部 京塚環)
日経産業新聞 2018年11月15日付]