藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

階層のない会社。ホラクラシー組織。

自分も会社を作ってみて。
組織論や評価制度の「世の常識」を聞いて、未だに分からないことがある。

外にできない理由を見つけようとする人はアトラエでは働きにくい、と森田さんは考える。指示を待つタイプや貢献しようという意欲が低い人を振り落としていく。

なるほどだ。
クリエイティヴに組織を動かすためには重要な仕組みだ。
またこうした組織の「成立条件の第一は情報共有」だともいう。
納得だ。
「情報のバイアスで力関係を作ろう」というのは戦国時代の武将に似ている(と自分は思う)。
旧式だ。
それでも課題はある。

ラクラシーの弱点とされるのが公平な評価制度だ。同社が行き着いたのは「360度評価」と独自のアルゴリズム(計算手法)の活用。上司が存在しないため社員は自分の働きを理解していると思うメンバー5人を評価者として自由に選ぶ。
指標となるのは、チームや会社にどう貢献したのか。その評価に応じて給与も決まる。自分で人選しているのだから不満も出にくいのだという。5人の評価も重みが異なる。周囲から評価が高い人からの評価は重く、逆に評価が低い人からの評価は軽くするアルゴリズムを組み入れて公平性を保つ工夫をする。

それこそ戦国時代から。
「組織の中の個人の評価」は難しい。
だって評価の基準が複数あるからだ。
「業績を上げた」「部下を大事にした」「新しいネタを持ってきた」「コストを削減した」「顧客の評価が上がった」。
いくらでも評価の軸はある。

けれど「できない理由より、できるための策を考えること」は成長するには絶対必要だ。

「できない理由があるから」できない、のではなく、「できない理由はなんとかする」と考えたい。

上司も部下もなし「ホラクラシー」組織 躍動 アトラエ 社員の熱意引き出す
社長の下には役員・管理職がいて、その他多くがヒラ社員――。日本に限らずヒエラルキー型の組織は企業の一般的な姿だ。ところが6月、上司や部下も命令も階層もない企業が東証1部に登場した。「ホラクラシー」などと呼ばれ、指示を受けず自分で考え自分で動く自律型スタイルだ。そんな「性善説」経営で本当にビジネスが回っているのか。


アトラエでは全社員が参加する会議や社内チャットで情報の共有を徹底している(3日に開いた「朝会」の様子)
「朝会を始めまーす」。9月3日朝。人材紹介や求人サイト運営を手がける

アトラエの都内にあるオフィス。司会役の社員が呼びかけると50人弱の社員が集まった。
「営業の動きを少し変えてみます」「経費精算など忘れていませんか」。事業別に分けた4つのチームが連絡事項を報告していく。毎週月曜日に全社員が参加する通称「朝会(あさかい)」だ。他にもチームごとの会議を頻繁に開き、情報共有を徹底する。全社員が当事者意識を持つようにするのが狙いだ。
アトラエは今年6月に東証マザーズから1部に昇格したばかり。2018年9月期の売上高は前期比23%増の22億4900万円、営業利益は同19%増の6億6500万円を見込む。人手不足で人材紹介業の市場は好況とはいえ、同業他社もひしめく中、8期連続の増収増益だ。
会社法で必要な取締役などに加え、CEO(最高経営責任者)、CFO最高財務責任者)は置くが、それ以外の肩書は基本的にない。出世・昇進という概念もなく、CEOの新居佳英(44)さんは「意思決定の権限を現場に下ろした方が適切で早い。そのために情報はすべて共有しておく必要がある」と話す。
アトラエのような組織運営は「ホラクラシー」などと呼ばれる。経営・組織論が専門の埼玉大学大学院の宇田川元一准教授は「成立条件の第一は情報共有」と話す。階層のある会社では社員らの持つ情報に格差があるがアトラエにはない。
同社が運営する主力サービスの成果報酬型求人サイト「Green」の第2四半期の新規登録企業数が前年実績を下回った。この情報は全社員に会議などで共有された。「人材を推薦するレコメンドの精度を上げないと」「お客様企業の管理画面をもっと使いやすく」。現場の改善案はそのまま実行され、翌第3四半期の新規登録は前年比2.2%増と改善した。
細かい情報までが末端の社員に伝われば、「情報が漏れる可能性が高まり、動揺も広がる」(ある人材企業の担当者)と考える企業が多い。アトラエは危機感などを全社員が共有してフラットにアイデアが吸い上がる効果を重視したといえる。
ラクラシーの弱点とされるのが公平な評価制度だ。同社が行き着いたのは「360度評価」と独自のアルゴリズム(計算手法)の活用。上司が存在しないため社員は自分の働きを理解していると思うメンバー5人を評価者として自由に選ぶ。
指標となるのは、チームや会社にどう貢献したのか。その評価に応じて給与も決まる。自分で人選しているのだから不満も出にくいのだという。5人の評価も重みが異なる。周囲から評価が高い人からの評価は重く、逆に評価が低い人からの評価は軽くするアルゴリズムを組み入れて公平性を保つ工夫をする。
新卒であれ、中途であれ、入社面接は5回に及ぶ。3次面接を担当するのはGreenの責任者を務める森田孝一さん(32)。新卒で入社して11年目の古株だ。
「意思決定をする上司と私の間にいる社員の仕事が遅くて……」。ある日、中途採用の面接を受けにきた男性は、勤めている会社の不満をとうとうと語った。森田さんはこう突き放した。「間に入る人なんて飛ばせばいいんじゃないですか」
外にできない理由を見つけようとする人はアトラエでは働きにくい、と森田さんは考える。指示を待つタイプや貢献しようという意欲が低い人を振り落としていく。
米調査会社ギャラップが17年に公表した仕事への熱意についての国際比較によると、日本で「仕事に熱意を持って積極的に取り組んでいる」従業員の比率は全体のわずか6%。調査した139カ国の中で132位と最下位級に沈む。他の調査でも日本人の働く意欲の低下を示すデータが多い。ホラクラシーはそんな傾向に歩調を合わせるようにじわり広がっている。
政治の世界で民主主義は世界の主流だが、企業経営ではトップダウンヒエラルキーが当たり前。それが最も効率的だったからだ。だがデジタル革命が世界を覆いこれまでの常識は必ずしも通用しない。宇田川准教授は「『ヒエラルキー型』は決まったことをきちんと遂行するにはいいが、イノベーションは生まれにくい」と指摘する。ホラクラシーは企業の生存の形として提示された一つのあり方かもしれない。
アトラエウェブデザイナー、平根由理さん(27)は「仲間に信頼されていたいという思いが強い」と話し、別のチームの業務を助けることもあるという。賃金や役職など以外に社員のやる気を高める仕組みとして、今後広がる可能性もある。
井上孝之