藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

シェアの果て。

*[ウェブ進化論]経営のシェア。
もう自分なんかの知らないうちに、どんどんシェアサービスは広がっている。
街中をUber eatsが走り回っているだけではない。
引越しのドライバーも、トランクルームも、中古販売もどんどん進化している。
何をシェアしようか、と考えるだけでも楽しい。
自分は介護の相談などを受けていて、つくづく「知識の習得」よりも「シェア」が有効だと感じている。
介護保険がどう、病気の治療薬がどう、とバラバラに一人で勉強しているよりも、「介護の経験そのもの」を互いにぶつけたり、相談に乗ってシェアしている方が、圧倒的に解決に至りやすいのだ。
こうした経験のシェアを、それこそ人工知能が部品化し、パターン化すれば非常に介護のノウハウとして活用できる予感がする。
知識ではなく"経験のシェアを促す"AIサービスだ。
 
そうして思ったのは「経営のシェア」です。
経営者同士で交流会を催したり、そこで得られる話は結構貴重で得難いものがあるのだが、どうにも効率は良くない。
経営者は個性も強い人が多いし、またレベルもマインドもまちまちだ。
たまたま気の合う人と出会えればいいが、街中の交流会に出ているだけではロスが多い。
 
「新規事業を考える」「収益率を上げる」「業界の先行きはどうなるか」など。
特に複数のテーマを持って「互いの経験値をシェァする」というシステムはできないものだろうか。
たまたま気のあった経営者仲間と、
たまたま居酒屋に入って、
たまたまそこで得られた知見、
というやつをもう少し効率良くフォローするような、コンピュータと人のコラボができれば。 
一人で、ああでもないこうでもない、と悶々としている思考のガイドができれば、経営者にとっても有難いことではないだろうか。
 
「業界セミナー」では得られない経験のシェアをシステム化できるだろうか。
ちょっと面白いテーマだと思っている。
 
引っ越し難民を救え スタートアップが荷を軽く
2019年3月9日 21:30
新年度を控え、希望通りの日程で転居ができない「引っ越し難民」が今年も生まれそうだ。国土交通省と事業者がそろって日程分散を呼びかけるなど対応を急ぐが、トラック運転手と作業員の不足という構造問題が原因だけに根は深い。柔軟な発想と小回りの利くテクノロジーで少しでも難民の数を減らせないか。スタートアップの出番だ。

運転手をアプリで探す

既に引っ越しシーズンに入った2月下旬の土曜日。横田清夏さんは、東京都新宿区にある早稲田大学近くのアパートで、衣服や雑貨を詰め込んだ段ボール箱が手際よく運び出されるのを見守った。軽バン運転手の高橋英夫さんが20分ほどで荷物を積み込んでいく。
その50分後、軽バンは転居先の目黒区のマンションに到着。玄関先までの荷物の移動にかかった時間は約15分だった。あいさつや会話を含めて約2時間の「高速引っ越し」で、料金は6000円。横田さんはスマートフォンスマホ)のアプリ画面で、5段階の満足度評価で最上位の「とても満足」を付けた。
利用したのはスタートアップ企業のCBcloud(シービークラウド、東京・千代田)が手がけるPickGo(ピックゴー)。個人事業者のトラック運転手と荷主をマッチングするシェアビジネスの一種で、皆川拓也取締役は「引っ越し版の格安航空会社(LCC)を目指す」と話す。
運転手の探索から料金の交渉、決済まですべてスマホで完結するのが特徴だ。依頼者がアプリに出発地と到着地、配送日、運ぶ品物を入力すると、登録する運転手から提示料金やメッセージが届く。依頼者は写真や口コミ情報などを参考に運転手を選択し、チャット機能で料金の交渉や細かな作業内容を相談する。
2017年から引っ越しなど個人向け配送仲介を開始。登録運転手数は1万人を突破し、個人が依頼した配送案件のマッチング率は98%以上になる。東京から大阪といった遠距離配送も可能だ。
2月下旬から4月は例年、引っ越しが集中する。ここ2~3年は人手不足が厳しさを増し、引っ越し業者のピーク期の料金上昇に拍車がかかるとともに、希望の日に業者が見つからない「難民問題」が発生。特に単価の安い単身者の週末の引っ越しは業者から敬遠される傾向にあり、昨年までは見積もりさえ断られるケースもあった。
わずかな荷物、土曜日、低価格という横田さんの希望がかなったのは、通常の引越運送業ではなく貨物軽自動車運送事業の枠組みで対応するためだ。玄関先から玄関先までの移動で、荷物が傷付かないように梱包するといった作業は省かれる。
これは個人事業主である運転手側にもメリットがある。通常の配送業務の合間に生じる隙間時間を有効活用できるためだ。高橋さんの場合、平日は企業向けの定期配送が中心だが、土日は個人の引っ越しを積極的に引き受け、月に30万円ほどを稼ぐという。

購入した人が不用品を取りに来る

運送会社が見つからない場合に備えて、荷物を減らすのを手助けするスタートアップも登場している。東京都内に住む矢代紗也佳さんは2月下旬、出産のため実家のある愛媛県に引っ越した。持ち物はスーツケース1個だけ。手ぶらを可能にしたのは不用品の売買サイト「ジモティー」だ。
当初は引っ越し会社に見積もりを依頼したところ、25万~30万円を提示され驚いた。そこでジモティーを通じて食器棚や冷蔵庫など35~36品目を出品。すべての品に買い手がつき、1万5000円~2万円の収入を得た。衣類などは段ボールに詰め郵送。費用は6万~7万円で済んだという。
ジモティーの最大の特徴は、購入者が直接引き取りに来る方式だ。メルカリのようなフリマアプリの場合、家具や白物家電のような大きな品物では配送料が高くなり、買い手が見つかりにくい。サービス名が表すように地元の人(ジモティー)が利用の中心だからこそ取引が成立している。
退去から入居までの時期のズレも、スタートアップのサービスを活用すれば対応できる。フリーランスの保育士の弘中香奈江さんは18年10月から伊豆諸島の保育園に出張して働くことになった。住んでいた東京都港区のアパートは9月末に契約更新を迎えたため、次の転居先が決まるまでに荷物の保管場所を探さなければならなかった。
利用したのがモノオク(東京・渋谷)。空いているスペースを有効活用したい企業・個人と利用者をスマホでつなぐサービスで、取引が成立した時に20%の手数料を払う。弘中さんは3カ月1万5千円で渋谷のオフィスに荷物置き場を確保。出張勤務を終えた12月末、預けていた荷物を転居先の大田区のアパートに配送した。引っ越し費用は2万3千円に収まった。

いらない服だけネット出品

荷物預かりに加えて、手軽さを売りにするスタートアップもある。サマリー(東京・渋谷)が寺田倉庫(東京・品川)と組み運営する「サマリーポケット」では、利用者の作業は衣服や雑貨を専用の段ボールに詰めて宅配業者に渡すだけだ。
スマホで荷物をスタッフが一点ずつ写真撮影するため、預けているものをアプリ上で一覧できる。必要なタイミングで必要なものを引き出せるだけでなく、不用品はネットオークションへ代行して出品してくれる。
都内のIT企業で働く丹下恵里さん(27)は引っ越しを機に18年9月ごろからサマリーポケットを利用。「洋服の収納場所に困っていたのでとても助かった」と喜ぶ。
全日本トラック協会が大手4社からの聞き取りを基に作成した引っ越しの予約状況によると、3月1日~4月7日は混雑している状況が続き、特に3月22~24日、29~31日は「非常に混雑している」という。長期的にみても綱渡りが続きそう。ボストンコンサルティンググループによると、日本の物流トラックの運転手は27年に需要の25%に相当する24万人分が不足する見通しだ。
一方で若年層を中心にシェアリングエコノミーが浸透し「余計なモノは持たず、スマートな暮らしをしたい」と考える人は増えている。スタートアップのサービス充実と、それを賢く使う利用者の増加が、引っ越し難民解消へ導く1つの道となりそうだ。
(企業報道部 鈴木健二朗、駿河翼)
日経産業新聞 2019年3月7日付]