藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

スマート営業

*[ウェブ進化論]見えてきた先。
日経産業より。
いよいよ営業にも来ましたね。
セールスフォースの次。
おきまりのAI判定つきだ。
営業は人の最後の砦、と言われてはいるが、それもいつまでのことだろうか。
自分も営業出身だが「今日はあの件で」という以外にあまり考えたことはなかった。
だからいくらでも改善するところがあるなぁと実感する。
しかし各社のサービスはあくまで道具にすぎず、最後は営業担当者の資質が決め手になることは変わらない。

 自分の会話の内容を採点したり、顧客の笑いを計測したり。

今はまだ"対面"を超えるものではなさそうだが、逆にそれが恐ろしい。
じっくりノウハウがたまったら、この分野でも一気に「人超え」が起きるのではないだろうか。
 
「スゴ腕営業」の技をシェア スタートアップが支援 
 
  2019年10月3日 2:00
 

営業担当者が電話で根気よくアポイントを取り、足しげく訪問して取引を拡大する。そんな「根性営業」の現場をスタートアップ企業の「セールスサポートテック」が変えようとしている。これまで多くの企業は個人の力量に頼って営業成績を伸ばしてきたが、人手不足で状況は厳しい。ある営業マンの日常から、スタートアップが支援するスマートな現場を見てみよう。
 

 僕の名前は営業駆(えいぎょう・かける)。電子部品メーカーに入社して10年目で、仕事は営業一筋だ。うちの会社は大きくはないが、技術力には自信がある。頑張って我が社の製品を、多くのお客様に売り込むぞ。
 今日は新規顧客を開拓しよう。事前に調べておいた電機メーカーに片っ端から電話をかけて、調達部門に回してもらう。以前は電話でのアポ取りが苦手だったけど「お手本」ができてからは成功率が上がった気がするなあ。よし、また1件アポを取れた。この調子だ。

電話のやり取りをAIが採点

音声解析スタートアップのレブコム(東京・渋谷)は人工知能(AI)が営業電話の内容を分析するサービス「ミーテル」を提供している。今年5月から、様々な観点で「良いところ」と「悪い点」を解析してスコアを付けるサービスも始めた。顧客の話にしっかり耳を傾け、反応できれば得点。話している途中で割り込んでしまうと失点など、採点項目は幅広い。
 
スコアが出ることで社内の「高得点者」を簡単に割り出し、お手本を作れるようになった。電話をかける回数や話すスピードなどの職人技を社内で共有できる。電話を切った直後に自分の会話を聞き直し、改善点を見つけられる機能もある。
 
ミーテルの利用価格は1アカウントあたり月額税別で5980円。100人が利用しても約60万円で済む。レブコムの会田武史代表取締役は「ブラウザーでサービスを提供するSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)方式なので、この価格で提供できる。特定企業の専用システムを開発すれば数千万円は必要だろう」と話す。
 
 明日からの訪問予定は決まったから、今日はお得意様への顔つなぎに時間を使おう。以前は「近くまで来ましたもので……」なんて言いながら訪問したそうだけど、それって非効率だったんじゃないかなあ。さてパソコンに向かって、と。
 自席のパソコンに向かいながら、取引先に電話をかける。「ああ、大口商事の麦芽井部長。いつもお世話になっております。うちの製品にご不満など、ございませんか」。これから先方のパソコン画面に僕の顔が映るぞ。笑顔、笑顔で……。

「顧客が笑うほど営業の成功確率は高い」

ウェブ会議システムスタートアップのベルフェイス(東京・中央)はオフィスにいながらパソコン画面越しに取引先の顔を見ながら話せる営業SaaSを提供している。「顧客が笑った回数が多いほど、営業は成功しやすくなるとわかっている。営業の現場を可視化して、効率を高められる」中島一明社長はサービスの特徴を、こう話す。
 
営業担当者はまず顧客に電話をかけ、ベルフェイスのホームページに指定の番号を入力するように求める。顧客が応じると営業担当者の顔がパソコンに表示される。顧客も顔を映すことに同意すれば、互いに顔を見ながら話せる仕組みだ。
 
年内には専用通話アプリを通じ、顧客の表情や笑い声なども記録できるようにする予定。社名をはじめとする固有名詞や業界用語もAIが解析し、テキストデータで残せる。営業担当者と顧客しか知らない「ブラックボックス」だった営業トークを社内で共有する取り組みだ。「顧客がどんな言葉に喜び、どんな物言いで機嫌が悪くなったのか正確に分析できる。営業効率は必ず上がる」と中島社長は強調する。
 
いま営業SaaSが注目を集める背景にはサブスクリプション(定額利用)の広がりもある。自動車業界でいえば従来は300万円の乗用車を売るため月給30万円の営業担当者が顧客を何度も訪問していたが、月額利用料が数万円の利用契約を取るために訪問を繰り返しては割に合わない。営業の生産性向上は多くの業界に共通の課題だ。
 
 きょうは社用車を運転して得意先を回ろう。どんな順番で行けばいいのかな。地図が示す通りに訪問すればいいんだから、便利になったよ。
 

データに基づいて訪問の順番決定

営業管理ツールスタートアップのアップワード(東京・中央)は米セールスフォース・ドット・コムの顧客管理システムと情報を連携し、どの顧客を優先的に訪問すべきかアプリの地図に表示するサービスを提供している。基となるデータは過去の訪問回数や案件の内容、所要時間などだ。
 
アップワードの金木竜介社長は「営業のIT活用が進んだ現在でも、直接接触の効果は無視できない」と語る。地図に現れる優先顧客との関係を深めることが、事業拡大への「近道」となる。
 
サービスを導入した業務用大型プリンター製造のローランドディージーでは「訪問先の決定にかかる時間が6分の1に減った」という。これにより、18年度の訪問実績は前年度の3倍強にまで増えた。
 
セールスサポートテックはAIなどを駆使して営業活動を後押しする。しかし各社のサービスはあくまで道具にすぎず、最後は営業担当者の資質が決め手になることは変わらない。むしろ現場がスマートになればなるほど、資質の差は鮮明になる。サービスを利用する各社はテック活用と並行して、人材教育にも力を入れていく必要がある。
 
(企業報道部 矢野摂士)
 
  [日経産業新聞 2019年10月2日付]