藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

衣類への挑戦。

*[ウェブ進化論]たたむソフトウェアを。
製造元のセブン・ドリーマーズが破産申請をしたという。
洗濯物自動折りたたみ機の「ランドロイド」が頓挫してしまった。とっても残念だ。
大手やクラウドファンドはもう少し応援できなかったのだろうかと思う。
 
この先「折りたたみ付き洗濯機」を開発するメーカーは果たして出てくるだろうか。
セブン社はソフトウェアの準備で失敗した、と記事にあるがこれまでのノウハウを生かして、ぜひとも「人と衣類」の歴史を変えてもらいたいと思う。
 
「あらゆる衣類を畳める機械」を開発すれば、人類は「衣類についての概念」を変えるかもしれない。
外出の装いとか、洗濯とかがもっと自由になる面白い試みである。
ぜひ途絶えることのない技術の継承をしてもらいたいと思う。
 
洗濯物自動折りたたみ機のセブン・ドリーマーズが破産
2019年5月13日 19:30
4月23日にセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ(東京・港、以下セブン社)と、その関係会社であるセブン・ドリーマーズ・ランドロイドが東京地裁へ自己破産を申請した。この2社の社名を知る人は少ないかもしれないが、両社が行っていたのは世界初となる洗濯物自動折りたたみ機「ランドロイド」の開発だったと聞けば分かる人も多いだろう。大手企業との共同開発によって今までなかった商品を市場に投入し、事業の拡大を目指したスタートアップ企業の倒産を追う。

企業信用調査マンの目

信用調査会社、帝国データバンクで企業の経営破綻を専門にする第一線の調査マンが破綻の実例などをケーススタディーにし、中堅中小の「生き残る経営」を考察します。隔週火曜日に掲載
セブン社は、カーボン製品の開発、製造販売などを目的に2011年に個人創業され、14年7月に株式会社へ組織変更された。代表はもとともと、父親の経営する会社で代表を務めるなどして経営経験を積んできた経歴をもち、当社の設立当初は実父会社の技術やノウハウを生かした商品開発を行い、当社における一つの事業の柱となっていた。
倒産前、セブン社の事業は大きく(1)ヘルスケア事業、(2)ロボティクス事業に分かれていた。(1)のヘルスケア事業は、代表自身が睡眠時無呼吸症候群だったことから、その対策として開発された「nastent(ナステント)」という商品で、鼻に柔らかいチューブを挿すことで気道が確保できるのが特徴。この商品は14年7月の発売から約2年半で累計100万本を販売し、16年12月ごろには月間で7000万円を売り上げていたという。
また、(2)のロボティクス事業は、まさに当社が目指していた世界初の洗濯物自動折りたたみ機「ランドロイド」の開発事業にあたる。以前は、この二つの事業以外にカーボン製ゴルフシャフトの製造販売も手掛け、富裕層やプロゴルファー向けに直営店2店舗、ゴルフ用品ショップなど全国に代理店150店舗の販売網を持つなど大きな事業の柱になっていた。18年3月期の決算で、売上高は約7億4000万円をあげていたが、そのほとんどはヘルスケア事業とこのカーボン製シャフトによるもので、世界初のリリースを目指した「ランドロイド」は開発途上で、売り上げに貢献できていないのが実情だった。この開発費負担などから多額の累積損失を抱え、18年3月期末時点で約37億円に膨らんでいた。
洗濯物自動折りたたみ機「ランドロイド」
これほど多額の累積損失を抱えながらも、18年3月期末時点の自己資本比率は68%と高い水準にあった。というのは「ランドロイド」の事業価値を評価した企業やベンチャーキャピタルからの出資が得られていたことが背景にある。設立時160万円だった資本金は、その後幾度となく増資を繰り返し、18年8月には45億5757万円までになっていた。破産申請の直前には累損の解消を目的として減資を行い資本金は1億円になっているが、それまで資本政策で得た資金が当社の資金繰りの大きな支えになっていた。
「ランドロイド」は外観が大きな冷蔵庫のようで、人工知能(AI)による画像認識を行い、ロボットアームで衣類を畳むというもの。これが商品化されれば世界初の商品となり、古くは手洗いで洗濯をしていたものが、今では洗濯機がほとんどの家庭に普及しているように、大きな市場を獲得できる可能性を秘めていた。当初、1台あたり185万円以上の価格で年収2000万円以上の富裕層をターゲットに想定していたが、会社側が行った市場調査では世帯年収1000~1500万円、共働き世帯にも需要が見込まれる結果だったという。量産の軌道化で価格が少しずつでも下げることが出来れば、需要先は更に広がる可能性を秘めていたと言えるだろう。
しかし、開発は難航した。さまざまなメディアに取り上げられ話題性は十分高まっていたが、なかなか市場に投入するまでの開発レベルには達しなかった。例えば、畳むのに時間がかかりすぎる、すべりやすい生地の肌着やジーンズが畳めないなど、技術的課題を抱えていたようだ。そうした課題はあったもの、会社側ではまずは市場に投入することを優先し、量産化で価格を引き下げる戦略を描いていたようだが、その思い通りには進まなかった。
そこには共同開発に携わり、資金的な支援も行っていた大手家電メーカーの意向があったと聞かれる。長年、耐久消費財を扱ってきたこの大手メーカーからすると、まだ商品化できるレベルではないと、課題を持ったままでの市場投入に難色を示され、発売時期が延期されることになった。
この様に計画通りに開発が進まない状況のなかで、当社の売り上げの多くの部分を占めていたヘルスケア事業のナステントにもトラブルが発生してしまう。17年1月頃にユーザーによる誤飲が発生し、これによってナステントの販売には医師の処方箋が必要になり、この影響から月間の売り上げがピーク時の10分の1まで減少する事態に陥る。
丸山昌吾(まるやま・しょうご) 帝国データバンク東京支社情報部情報取材編集課長。警察官としての勤務を経て93年同社に入社。横浜支店調査部、同情報部でさまざまな業界の企業の信用調査や破綻企業の取材を行ってきた。13年4月から現職。神奈川県出身
その一方で、大きな期待を寄せていたランドロイドは、更なる研究開発が必要になり、手元の資金は減少の一途をたどるようになる。このため会社側は共同開発先に更に支援を求めたが思い通りに進まず、新たな資金調達先も模索し、中国の企業からの出資契約を受ける交渉を進めていたが、こちらについても契約締結に至らない状態が続いた。このためカーボン製品製造事業を譲渡するなど資金手当てに努めたが、18年3月期末時点で17億円強あった現預金は、破産申し立ての直前では4700万円にまで減少、すでに1億円以上の未払い金も抱え、ついに事業継続を断念し破産を申し立てることになった。
しかし、破産後も当社の事業に関心を寄せる企業があり、裁判所の許可のもと事業売却を前提にヘルスケア事業は継続し、ランドロイドについても出資交渉を続けてきた中国企業など数社との間で事業譲渡に向けた交渉を続けているという。
世にないものを作り出すというスタートアップ企業は数多い。そのなかで成功する企業もあれば、事業化に至らず市場から退出する企業もある。そうしたスタートアップで資金的課題を抱える企業は多い。ランド社では共同開発先の大手メーカーをはじめ、多くの企業やファンドから資金を得て洗濯物自動折りたたみ機の開発を続けてきたが、商品化レベルに達するまでのハードルが高く、開発期間が長引いてしまったことで、周囲からの支援もついに限界になってしまった。