藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

IoTとかいうけれど。

セブンの鈴木会長が引退するという。
三国志や戦国時代なら、ちょうど栄華を極めた覇王が、大体体を害して亡くなる…というのが相場だったが今は違う。
最後まで"挑戦"を突きつけて、そして同時に"去り際"を模索していた。そんな風に自分には見える。

我が子以上に執心して育て上げた事業を、あるタイミングでズバッと手放す。

簡単な一文のようだが、それをリアルにやってのける経営者・創業者はとても少ない。
引き際にも鈴木氏の凄さを見た感じだ。
それはともかく。

ファミレス、というものが出現したのが40年ほど前。
コンビニはその後だ。
そんな「コンビニという業態」がここまで根付くとは、当時予想もしなかった。
今や着々とその密着度で「サービスの結節点」と化している。
そんな事業に黎明期から着目し、努力と執念を持ち続けた創業者のすごみといったら。
「セブンはすごい」と今では誰もが言うけれど、世間にはラーメン店でもレストランでも寿司屋でも「チェーン店」を試みる人はたくさんいるわけで、

むしろ「近所に"本当の"何でも屋さんがあったら…」という発想を柔軟に追求し続けた非凡さが恐ろしい。

セブンイレブンは小売業ではない。IT企業である。』とよく聞くけれど果たしてそうだろうか。
自分は「究極の小売り屋さん」なのではないかと思う。
誰よりも小売りとか、地域とかいうことを中心に考え、それを全国的に規模を広げたことを想像する。
今のITとかマーケティング、という言葉の根底に必要な「何のためか?」という動機があるような気がするのだ。
IoTも目が離せないけれど、アナログ・リアル店舗の存在もまだこれから大きく変わるのではないだろうか。

コンビニ勢力図、セブン優位動くか カリスマ鈴木会長引退

 日本のコンビニエンスストアの育ての親、セブン&アイ・ホールディングス鈴木敏文会長兼最高経営責任者(CEO、83)が経営の第一線を退く。鈴木会長がゼロから立ち上げたセブン―イレブン・ジャパンが市場の4割を握り、ファミリーマート、ローソンが追い掛ける構図が続くコンビニ業界。カリスマ経営者の引退は勢力図にどんな影響を及ぼすのか。

 「セブンイレブンはスピードが落ちない、眠らないウサギ」。ファミリーマートの上田準二会長(69)はこう話す。9月にサークルKサンクスを傘下に持つユニーグループ・ホールディングス経営統合し、店舗数では肩を並べる。それでも簡単には追いつけないことを「ウサギとカメ」の昔話に例える。

セブンイレブンを立ち上げた鈴木氏(7日の記者会見、東京都中央区
セブンイレブンを立ち上げた鈴木氏(7日の記者会見、東京都中央区

 「一朝一夕にはセブンイレブンに追いつくことはできない」(ローソンの玉塚元一社長=53)。その差を如実に示すのは1店舗1日あたりの売上高だ。セブンイレブンの約66万円に対し、ローソンが約55万円、ファミリーマートは約52万円と10万円以上の開きがある。

 セブンイレブンの強さは全国に160カ所ある専用工場の商品開発力、自前で年間1000店以上の新規出店の立地を掘り起こす情報網などが支えている。これらの仕組みは1973年の事業の立ち上げから携わり、現在もセブンイレブンの会長兼CEOを務める鈴木会長が主導し、築き上げてきたものだ。

 ライバルチェーンの幹部は「鈴木会長がいなくなっても強固な仕組みは残る。セブンイレブンの強みが簡単にダメになるとは思えない」と語る。


 鈴木会長が引退を決める引き金となったのは、セブン&アイが7日に開いた取締役会でセブンイレブンの井阪隆一社長兼最高執行責任者(COO、58)を交代させる人事案が否決されたことだった。社内外に反対の声もあった井阪氏の交代案を取締役会に諮った理由を鈴木会長は「COOとして新しい案が出てこなかった」と話した。

 セブンイレブンがライバルを圧倒する強みの一つ、プライベートブランド商品「セブンプレミアム」の開発部隊を長年、陣頭指揮した井阪社長。最近も「コンビニコーヒー」などヒット商品を生み出してきた。セブンイレブンは2016年2月期まで5期連続で営業最高益をたたき出し、グループの好業績を支える。

 そんな井阪社長も、セブンイレブンの本家である米社の救済買収や銀行業への参入を判断してきた鈴木会長の目には物足りなく映っていた。ライバルチェーンのある首脳は「セブンイレブンの新しいサービスはすべて鈴木会長がつくり出してきた。中長期的にみれば追いつくチャンスかもしれない」と話す。

 ファミリーマートはサークルKサンクスを取り込み、ローソンは地方の中堅チェーンとのつながりを強めている。セブンイレブンを加えた大手3社への集約の流れは加速している。一方、コンビニそのものも単なる「小売店」から金融や物流、介護など多様なサービスの窓口も兼ねる「社会インフラ」へと質の転換が進んでいる。

 日本式ビジネスモデルを確立し、強力なリーダーシップで業界全体もけん引してきた鈴木会長の引退は、コンビニ業界の競争環境が新たな局面に転換する契機となる。