藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

成功者の話を聞いても成功しない

*[経営]分かっちゃいますが。
自分の本棚を見て嘆息するが「〇〇のコツ」とか「成功者がしている〇〇」とかいう本ばかりが並ぶ。
あさましき。
成功した人の例は一つとして同じものがないから、いろんな教訓を汲み取るとすれば「コツコツねばる」とか「大胆にリスクをとる」「早く始める」というようなエッセンスばかりになる。
そういう「経験の切り取り」みたいなことで、すべての場合に通用することなんてないのはよく分かっているのだけれど。
 
日経産業より。
ハノイでは道を渡るのには安全確認をせず「速度を変えずに勝手に渡ること」だという。車の合間を縫うのではなく、車が人を避けて走るということらしい。そして著者は
戦略的変革で予想される最悪の危機は、錯覚にすぎないものが多い。だから、こちらが周りに振り回されるのではなく、自分の方に合わせてもらえばいいのだ。
という。その言い回しに思わず感心する自分。
周囲を見て焦ったり、そもそも考えるべき方向を考えなかったりしてバタバタしてばかりいては、結局何も始まらない。
割とそんな人いますよね。
 
粛々と自分の信じる道をゆく。
これも何とも難しい。
 
道の渡り方 ハノイで学ぶ
 
2020年1月27日 4:30
 
戦略的な変革を成し遂げられるのは、困難と思われることにもためらうことなく立ち向かえる人々だけだ。私は最近ハノイを訪れたときに、このことを改めて確信した。ハノイを初めて訪れる人にとって、道の横断は至難の業だ。信号はほとんどなく、信号のある交差点でも全員がそれを守るわけではない。車の流れが途絶えることもない。

 
米国ボストン市生まれ。戦略コンサルティング会社、レランサ(東京・千代田)の社長。国際経営学修士(MBA)とコンピューターサイエンス博士号を取得。
私も10分近く待っても道を渡れず、仕方なく他に渡れる場所がないか探していた。そのとき年配のベトナム人女性が後方から足早に近づき、左右をほぼ確認せずに道を渡り始めた。
 
そこで私の頭によぎったのは彼女が車にはねられてけがをするか、下手をすると死んでしまうという最悪の状況だった。ところが実際には原付きバイクも車もスピードを落とさず、彼女をよけて進んでいった。彼女は同じ足取りでまっすぐ進み、傷を負うこともなく向こう側に渡ったのだ。
 
大胆な戦略的改革を考えるビジネスリーダーの中には道を渡れないでいた私のように、予想される困難や失敗の可能性ばかり考えてしまう人がいる。そして彼らはスタッフからの賛同や上司からの承認を得ることが必要と感じ、成功するか少なくとも失敗しないという確信が得られるタイミングを待ち続けるのだ。しかしハノイの途切れない車の波のように、そんなタイミングはめったに来ない。
 
私が知る最高経営責任者(CEO)も大胆なイニシアチブを進めたいと考える一方で「実行すれば顧客を全て失い、日本でブラックリストに載せられるだろう」と日本人の部下に言われて不安になっていた。改革プランを実行すれば社員は全員辞めてしまうと人事部長に言われて悩むCEOにも会ったことがある。
 
だが後になって、そんな心配は無用であったことが明らかになった。私がハノイで道を渡ることに恐怖を覚えていたのと同様に。
 
ハノイの道を渡るのは確かに怖いが、ペースを変えずに目的に向かってまっすぐ歩けば、車の方があなたの邪魔をしないよう道を空けてくれる。逆に、車に反応して急にこちらの動きや進む方向を変えたりする方が、かえって危険だ。戦略的変革で予想される最悪の危機は、錯覚にすぎないものが多い。だから、こちらが周りに振り回されるのではなく、自分の方に合わせてもらえばいいのだ。
 
成功の可能性を最大にするためには、とにかく自分の目的を達成する道を妥協することなくしっかりしたペースで歩み続けることが重要である。
 
自分のビジネスで劇的な変革を考えている人には、ハノイのあの女性から学んでほしい。待ち続けるのではなく歩き出すのだ。粘り強さを持って道を渡れば、周りがあなたに合わせてくれるだろう。ちなみに私もその後、問題なくハノイの道を渡ることができた。あなたにもできるはずだ。