藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

弁護士の仕事術・論理術 (成美文庫)

弁護士の仕事術・論理術 (成美文庫)


まず章立て。

第一章「事実をつかむ力」をつける
第二章「自分で考える習慣」をつける
第三章「文章で訴える力」をつける
第四章「客観的に見直す習慣」をつける
第五章「他者を深く読む力」をつける
第六章「賢い人生習慣」をつける

矢部さんの本は、実は「章立て」だけではその中身の迫力は分からない。
と少なくとも自分は思っている。


この一から六章までの「総合力」が訴えてくることは、もっと強烈なのだと思う。
著者が素朴に、これまでの「実体験」から編み出したいろんなエッセンスを集めている。


いつしか、著者の本は「ちがった体裁」をとって対人関係、とか人生の中で、とかそんなタイトルで再編されるのかもしれない。

視点の差

顧客の話を鵜呑みにするのではなく、「敵」の視点から事実の発掘をしたほうが、長い目で見て、こちらの勝訴につながる。それはわかっている。だが、わかっていながらできない。


私が多くの訴訟体験から学んだことは、「どんなに確実だと思える事実も、必ず留保つきで見る必要がある」ことである。
(p34より)

常に、クール。
ちょっと面白みがないかもしれぬが、「他人の視点」を忘れないこと。

どうも古今東西、「サバイバルの要諦」のようだ。

冷静さを失ったモノから、滅びてゆく。

それは弁護士の世界でも同様らしい。

事実は万人に開かれているわけではない。
事実は多面的であり部分的であり、潜在的である。

弁護士、という職業のもつ厳しさを通し、現実の世の中を物語る。


情報に影響されないこと


我われは、日々情報を求める。
ニュース、経済、近所の噂話。

情報に踊らされないタイブは、「現実的」で「寛容」な人だという。
さらに、情報にほとんど影響されることなく、自分自身の「個」をしっかりもっている人は、百人中、たった五人程度にすぎないという。
人はいかに情報に左右されやすいか、改めて思い知らされる。

一概に「まじめ」ということでは現実世界では正確な航海はできないようだ。
第一章はこんな言葉で締めくくられている。

立ち止まって一呼吸を入れ、まわりの意見を十分に聞き、それでいて、最後はそこから離れて、自分でゆっくり結論を出す。こうした努力を続けていけば、やがて自発的で、自律的な判断力が育ってくる。自律的な判断力こそ、どんな仕事にも、もっとも強く求められる力である。


つづく