藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

より危険なこと、より無理なこと。


社会人になってから(学生時代は考えもしなかった)「成功するにはどうすればよいか?」とか「そもそも成功ってなによ?」とかごちゃごちゃ考えるようになった。


先日、メキシコ湾原油事故の賠償の話、を聞いて金額の大きさもさることながら、『ビジネスというものは「リスクとリターンのバランス」がないと、思い通りにいかないのもの』ではないか、と思ったのである。

リスクテイク、ということ。


例えば、量販店や小売店向けの卸店、などに出向いて「業者価格」で仕入れて、それを店頭で販売する、という仕事がある。
相当品ぞろえに工夫をしても、なかなか「店の特色」を打ち出して他店よりもどんどん売り上げを伸ばすというのは難しいことである。


卸店と交渉して、例えば「大量に仕入れる」とか「現金で決済する」とかの方法を取り、「他店より低価格で売れる力をつける」という方法がある。
むろん「売れ残れば赤字になる危険」がつきまとう。
大量仕入れはリスクである。
さらに仕入れの工夫を考え、メーカーに直接出向けば、さらに仕入れ価格は下がり、しかし仕入れるロットが増え、リターンの予測も大きくなるが、抱えるリスクも膨らむ。


もっといけば、製品そのものを自分で作るこを考え、工場を作り、原材料を仕入れ、従業員を増やし、さらに原材料すら自社で生産することもできる。
どんどん規模も利益も厚くなるが、「一発ハズした」時のリスクは当初の「仕入販売」の比ではなくなっている。

したがって、ビジネスを始める時に「販売業」をやろうとしているのか、「小売」に徹するのか、「中間財メーカ」くらいは視野に入れるのか、メーカーを志すのか、というような「ビジネスの深度を計る目」というのは実はとても重要ではないかと思う。

自分が独立したときは、その深度は限りなく浅く、皮相的であった。(嘆)
「今、目の前の商売(売買)が成立すること」が唯一最大の目的だった。
「先のことを熟考し、進路を考える」などは一しきりの成功者のやることだと思っていたフシがある。

トレードオフ

「リスクがあるから、リターンがある」。
「リスクのないところにリターンなし」。


リスクなくともハイリターン、というのはもしあっても「まぐれ」なのだとしたら。

「あえてリスクを取る」というのは「あえてリターンを狙いに行く」ということ。
あるいは「リスクを取らない」というのは「あえて(それほどの規模の)リターンを望まない」ということになる。


リスクとリターンが必ず隣り合わせ、同程度の「重み」だとしたら、「業績が上がらない」といのは「リスクテイクしていない」ということだし、「飛躍的に好調」なのは「おっそろしいリスク」を取ってチャレンジした結果である。
ブレイヴかもしれないが、経営上は決して手放しで誉められることでもないだろう。

リスクを冒す勇気と、リターンを追いかけない勇気は同程度のバランスで考えねばならないのではないか。

同時にどちらもの視点から見られる工夫が必要だと思った。
とはいっても、それらを動かす根本は「志」であり、「思い」である。


熱い思い、を抱きながらも、どこかで冷静にその「リスク」を感じるバランス感覚こそが成功の秘訣なのだろうと思う。
どちらが欠けても、どちらかに傾いてしまう。
最も必要な感覚は、「一芸に秀でる」よりも「全体を俯瞰するバランス感覚」にあるのかもしれない。