藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

まねきTV、是か非か。

テレビ局製作の番組の利用について、結論が分かれた。

業者は、顧客が購入したソニー製の送信機器(親機)を国内で預かり、まとめてアンテナとネット回線につないで管理。
海外の顧客が手元の子機で見たい番組を選ぶと、親機で受信した放送がデータ化され、ネットを通じて子機に転送される仕組みで、料金は月額約5千円だった。

それはいい。

判決で第三小法廷は、親機の所有者が利用者でも、アンテナを親機に接続し、継続的に放送が入力される設定をした業者が送信の主体と認定。
「契約すれば誰でも利用できるサービスは、不特定多数への送信にあたる」と述べ、著作権法により、番組を独占的に放送、配信できるテレビ局の権利を侵害したと認めた。

著作権法により、番組を独占的に放送、配信できるテレビ局の権利を侵害したと認めた。

この部分だけでは「テレビ局の権利」に理あり、と見たという。
しかし「テレビ番組全体」という観点からみたら、どうだろうか。


自分はかねてから、テレビのコンテンツ制作力の高さと、その割に「配信の自由度」については不満を持ってきた。
それは、せっかくのコンテンツの良さを、著作権法ほか、さまざまな法的権利と、その所有者である出演者やプロダクション、放送局などが「引っ張り合い」をしてきた結果だと思っている。

一言でいえば、「せっかく、一度完成した番組コンテンツの流通」を「視聴者の希望を度外視して」妨げている、と言わざるを得ない。

保護が勝ち過ぎていると思うのだ。


「良いコンテンツ」を作れた理由は、もちろん局や製作サイドの努力もあろうが、視聴者への広告効果とスポンサーの費用負担があることは自明である。


特に著作権、著作物についての流通の問題は、「文化の普及」と直接的に結びついていると思うので、「適正な料金と流通促進」の観点から、ぜひとも日本の標準を作ってもらいたい。

「まねきTV」はテレビ局に「有る程度のフィー」を払っても許されないのかどうか。
それは「日本」と「外」を却って隔てることにはならないだろうか。


利用者の立場から、またガラパゴスな日本だから「内から外」への抵抗は極力少なくあって欲しいと思う。
みな「著作権とは何か」ということから考え直してはどうだろうか。

テレビ番組の海外転送 最高裁「個人機器利用も違法」


日本のテレビ番組を海外在住者にインターネットを通じて転送する業者のサービスが著作権法に違反するかが争われた訴訟で、最高裁第三小法廷(田原睦夫裁判長)は18日、適法とした一、二審判決を破棄し、同法違反とする逆転判決を言い渡した。業者がテレビ局に支払う損害額などを改めて審理させるため、知財高裁に差し戻した。

「まねきTV」の名称で番組を海外転送していた「永野商店」(東京都千代田区)に対し、NHKと在京の民放5社がサービス差し止めと損害賠償を求めていた。


業者は、顧客が購入したソニー製の送信機器(親機)を国内で預かり、まとめてアンテナとネット回線につないで管理。海外の顧客が手元の子機で見たい番組を選ぶと、親機で受信した放送がデータ化され、ネットを通じて子機に転送される仕組みで、料金は月額約5千円だった。


判決で第三小法廷は、親機の所有者が利用者でも、アンテナを親機に接続し、継続的に放送が入力される設定をした業者が送信の主体と認定。「契約すれば誰でも利用できるサービスは、不特定多数への送信にあたる」と述べ、著作権法により、番組を独占的に放送、配信できるテレビ局の権利を侵害したと認めた。


海外赴任した駐在員や留学生向けに同様のサービスを展開している業者はほかにもあり、今回の判決により、業者が介在して日本のテレビ番組を海外在住者向けに転送するビジネスは今後、難しくなりそうだ。20日にも、最高裁の別の小法廷で類似のサービスについて判決がある。


08年6月の一審・東京地裁判決は「親機で放送を受信、送信している主体は利用者で、親機から子機への1対1の送信は適法」と指摘。同年12月の二審・知財高裁判決も著作権法に違反しないと判断していた。(延与光貞)