藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

自分の正義。

ソニーへのハッキングと情報漏洩以来、サイバーワールドは揺れている。


思えば、リアル世界での東対西、とか
北対南、とか
成熟国対新興国、とか
キリスト対ムスリム、とか
貧困対独裁、とか

いろいろある「リアル世界の対立軸」にサイバー世界も似てきているような気がする。


サイバー世界で「攻撃側」の犯人を突き止め、当局は捕まえる。
これが通常の「リアルな住宅」で起きた窃盗事件であれば、恐らくそれに対して「報復を宣言する」ような集団はあり得ない。


企業対ハッカー、はこれまでのリアル世界の理屈に漏れず「思想的な対立の構図」を帯びてきている。
といってみたところで、似たようなことはこれまでどの世界でも起きてきただろう。
彼らは「インターネット上の自由の闘士」を名乗っているという。


こうして見ると、これまでのリアル世界でも「体制と反体制」という実に簡単な構図で、でも"ずっと長い間"我われは「対立軸」を抱えて来たのだ。
サイバー世界がその存在感を増すにつれ、そこはリアルに似た性格を帯び、また同様の衝突が発生してしまうのだろうか。
未だリアル世界の東西、南北の対立が解決していない地球上で、さらにサイバーワールドを議論しても時期早尚なのかもしれない。
が、せっかくのサイバー世界である。
リアル世界と「まったく同じ轍を踏む」というのも芸がないのではないか。


今や「アノニマス」に代表されるハッカー集団は、大企業や体制に対する「監督集団」的な存在になっている。
だが、彼ら自身がいつしか"加害者集団"になってしまっては本末転倒。
ハッカーは、その技術的な優位と警告をもってして「ネットを技術的に高める」という方向にこそ、動かされるべきではないだろうか。
その持てる技術力とか、感情ゆえにいつしか「無頼漢」のような存在になっては、彼ら自身のプライドも満たされないと思う。

ハッカーは、その持てる技術で常に最先端に位置し、時としては「技術を傲慢に使う」企業を監視する。

そうした「本来の立ち位置」をしっかりと固めぬうちは、なぜに攻撃をし、それを防ぎ、どこに正義があるのか、といった立場が目まぐるしく入れ替わり、互いの立場が定まらぬのではないかと思うのである。


ハッカーに挑まれた企業が、「どこまでの覚悟で対峙するのか」というのはそんな思想的な表明でもあるのではないかと思う。
いよいよサイバー世界もリアルと同様に位置してくるのだろう。


楽しみにしていろ…国際ハッカー集団が報復予告
【パリ支局】ソニーなどにサイバー攻撃を仕掛けたとして、スペイン国家警察がスペイン人の男3人を逮捕したことを受け、3人が所属するとされる国際ハッカー集団「アノニマス(匿名)」はウェブサイト上に、「我々は大軍団だ。楽しみにしていろ」と書き込み、報復攻撃を示唆した。
ロイター通信が10日報じた。


警察は昨年10月に捜査を始め、200万件以上の書き込みなどを分析した結果、容疑者を絞り込んだ。3人はすでに釈放されている。


アノニマスは「インターネット上の自由の闘士」を名乗り、世界中から協力者を募集、大量の情報を送り付けてコンピューターをダウンさせる手口を使う。これまでも、内部告発サイト「ウィキリークス」との取引を停止したクレジットカード大手マスターカードのサイトなどを攻撃した。「民主化支援」などとして、エジプトやアルジェリアリビア、イランの政府機関にも攻撃を加えている。

(2011年6月11日19時23分 読売新聞)