藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

Web2.0の最後。

日本のキャリアもスマートフォンの発売ラッシュだが、ユーザーを見ていて変化に気づいた。
もうユーザーの関心は完全に"アプリ"に移っているではないか。
もうすでに月2000本を超える新作が投入されている、という。


「自分のpc」に「好きなアプリ」をダウンロードして使う、というのはもう十年もからあるスタイル。
これが「自分のスマホ」に「好きなアプリ」を入れて使う、というだけでその普及の度合いはエラい勢いではないか。
"携帯"というのは改めてすごいこと、である。
アプリのダウンロード数トップのプログラマーたちは、多ければ数千万円を稼ぐという。
ウェブ2.0の網は、こんなところにも効果を発揮し、これまでにないサイズの市場を作り出した。

そういう意味で思い返せば、これまでの"ネットワークの覇権争い"は結局、携帯電話に何を入れるか、つまり「携帯で何を行為するのか」ということの知恵比べだったわけなのだ、と気づく。

コンサイスの辞書よりも大きかった「箱型携帯」が登場した時に、「将来はこれが名刺サイズになるっていうよ?そんなんじゃ(短すぎて)電話できないよね。」と冗談を言っていたころには想像もしなかった。
自分の記憶の射程距離の短さに驚く。(嘆)

まあそんなもん。
さて「好きな端末」に「好きなアプリ」を持ち歩く時代。
"まだこの先"に別の何かがあるのだろうか。
それともweb2.0はここらが最後だろうか。

アップル「ベストアプリ」作者が明かすヒットの秘訣
毎月数千本の新作が登場するスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)向けのアプリ(応用ソフト)。米アップルの「アップストア」や米グーグルの「アンドロイドマーケット」には、世界中から一獲千金を狙うアプリ開発者が集まる。その中で頭一つ抜け出すにはどうすればいいか。2009年に「マトリックス・ミュージック・パッド」で米アップルが選ぶ「ベストアプリ」に輝いたゲームプロデューサーの世永玲生(36)がその秘訣を明かした。

世永は米アップルのアプリ配信サービス「アップストア」の日本版で「マトリックス・ミュージック・パッド」のほか4本もの自作のアプリでランキング1位を獲得している。いずれも有料アプリだ。

ウェブデザイナーやゲーム原案制作者として実績のある世永が作るアプリはアイデアが斬新で、操作性やデザインが優れているのはもちろんのこと。だが、それだけで1位にはなれない。

世永によると1位を取る秘訣は「ちゃんと宣伝すること」だという。

例えば、世永は「マトリックス」などを売り出した直後、アプリ開発者が集まるセミナー会場などにこまめに顔を出し、名刺を配って「ぜひ試してください」と呼びかけた。中には、世永の熱意に押され、その場でダウンロードしてくれる人もいたという。

アプリ開発者はインターネット上での発信力が高い。「いい」と思えば、ツイッターなどで「これ、面白いよ」とささやいてくれる。これが効果てきめん。口コミでアプリの魅力が広がっていくのだ。

激烈な競争を勝ち抜いてランキング上位に顔を出すアプリの開発者はみな「宣伝などにあの手この手の知恵を絞っている」と世永は話す。そこにプロとアマチュアの境界はない。


スマホが本格的な普及期を迎えた今、世永はアプリ市場が変質すると読んでいる。これまでスマホを購入してきたのは「アーリーアダプター(初期適応者)」と呼ばれる、新しい技術や機器に目がない人々。いわゆるマニア層だ。

これに対してこれからスマホを買うのは普通の人々。アプリも「マニア中心のこれまでとは売れ筋が変わる」(世永)。

例えば、これからはやるのは、携帯ゲームから始まってiモードでも大ヒットした魚釣りゲームのような、誰でも楽しめるアプリ。スマホ向けの魚釣りゲームは既に数種類登場しており「どれかがヒットするんじゃないか」と予想する。

しかし、スマホアプリの場合、ヒットすることともうかることは意味が少し違う。

ある開発者は「ランキングで1位を取ったヒット作でも(収入は)1000万円強」と話す。数週間ランキング1位を続ける大ヒット作ならその数倍になるが「5000万円はめったに超えない」という。

アップストア約40万本、アンドロイドマーケット約20万本。その頂点に立つにはどの程度ダウンロードされる必要があるのか。

別の開発者は「有料部門で1位を取るには1日に数千件のダウンロードが欲しい。無料部門だともう1ケタ上の数が必要」と明かす。

スマホアプリ開発者に、いきなり世界何億人もの人々を相手に商売をするチャンスをもたらしたのは事実だが、世永のようにヒット作を連発するのはたやすいことではなさそうだ。=敬称略

(産業部 山田剛良)