新種の消費者詐欺で「権利物」が横行しているという。
ここ数年、特商法などに見られる「消費者保護」の気運。
自分は「ちょっと保護主義的で妙な感じ」が拭えずにいるのだが、現実に高齢者を狙い撃ちにする商品のローン契約やリフォームローン、さらには振り込め詐欺など、足しいに弱者を狙い撃ちにするような詐欺が目立つこの高齢化社会では、ある程度の法制化は仕方がないのかもしれない。
それにしても、いたちごっこ。
ああ言えばここ言う。
こうすればああする。
商品の強引な販売は、ほぼ解約可能になったと思ったら、今度は「使う権利」を販売するという。
で、これは現在の特定商取引法ではカバーされていないのだ。
これまでは「物自身」だったが、今度はそれを使う権利。
消費者から見れば「ほぼ同一」に価値を感じるという、巧みな化粧直しである。
商売人こそ、が目を醒ませ。
法律と、現実の行為のギャップは、日常の一対一の商行為もそうだし、金融業界のルールなどで、常に「リアルを後追いする法律や規制」という図式が成り立つ。
消費者の側から言えば、「法律で規制されているから」ということを金科玉条にしていては、思わぬ足元をすくわれる、ということを示唆する。
そして。
それはともかく。
「商売する側」からいえば、「今は規制されていないから」とばかりに、似たような不誠実な行為をしていては、「継続的な繁栄」はないのである。
自分にも覚えがある。
ビジネス界にいると、営業をして業績を上げること。
経費を絞ること。
また次の営業先を探すこと。
そんな「閉塞循環の渦」にいると、ついつい「良いことと悪いこと」の境界線を見誤るのである。
ふと後年気が付けば、「ノルマに盲信的に突っ走る若者」にしか見えないことが、当時の自分では「自分にとっての100%の世界」になっている。
そして、そんな閉塞した世界観の中で、「つい一線を踏み越えた」強引なセールスなどもしてしまう。
もうそこには自らを見る「客観性」はなくなっている。
そこにいるのはもう、「契約」とか「売上」とか「利益」に精神を憑依された"餓鬼"のようなものなのだが、そうなった時にはすでに周囲には「餓鬼の先輩」とか「餓鬼の後輩、同輩」とか、「餓鬼の親玉」みたいなものに囲まれているので「それ」とは自分ではわからない。
一見高級そうなウォール街に代表される「金融の世界」であっても、「ひたすらお年寄りに言い寄って契約書にハンコを押させるセールス業界」であっても、その渦中にいる人たちの心理状態は似たり寄ったりだろうと思う。
また、そうせねば、なかなか企業の業績というのは上向かない物でもあるのだ。
よく成功者の言葉に「自分の好きなことを仕事にせよ」とある。
それはつまり「自分の良心に疑問をもたらすようなことは慎重にせよ」ということでもある。
自分が心底打ち込める分野を探す、ということは、最終的には「自分オリジナルの倫理と信念」で日常を生きることに繋がるのである。
いつの間にか「競争原理」とかの言葉に惑わされ、心に疑問を持ちながら日々を過ごし、さらに突っ走る…そんなミスリードは避けたいものだ。
自分の経験でも、本当にそう思う。
「権利商法」横行 クーリングオフ対象外、被害拡大
老人ホーム利用権、新酒購入権――。商品そのものではなく、「権利」の売買をうたった悪質商法の消費者被害が相次いでいる。この1年間で急速に広まり、消費者庁などが確認しただけで、被害額は約30億円に達することがわかった。消費者庁と国民生活センターが分析したのは、温泉つき老人ホームの利用権▽水資源の権利▽鉱物の採掘権の売買をうたう権利商法。全国の消費生活センターに特に相談が目立った三つの権利商法だ。
初めての相談は昨年7月。2010年は119件だった相談が、今年は9月までで1885件と激増した。9月までの被害総額は29億8955万円にのぼっている。
背景には、特定商取引法に抜け穴があることが指摘されている。クーリングオフ(契約解除)による解約が、「権利」の売買では一部を除きできないためだ。