藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

政治主導の終焉。

さんざ政治にも文句を言い、それも半ば当然だと思っていた。
けれどそうした「政治家頼み」のスタイルこそ、すでに古式の伝統になっているのかもしれないと思う。
ここ最近、国の赤字とか、税収が問題になっているけれど、2050年には1.2人が1人の高齢者を養う時代に入るという。
そうなれば、「自分の年金がもらえるか」とかいうレベルではなくなることは想像に難くない。
世界最高速で高齢化社会に突っ込む日本の、度量の見せどころと言えるのではないだろうか。

ここ十数年。
政治家も努力し、経済の指針になるべき法律もずい分増えた。
けれど、「だから結果的に発展に資する」という規制は聞いたことがない。
ここ最近は、消費者保護、労働者保護で、国を挙げての「雇用安定化」が台頭し、むしろ経済原理は後回しになっている。

労働三法も派遣法も、特商法も、一見消費者・労働者を保護しているようだが、実は行政の意図に反して一層の「固定費離れ」を促進しているように見えるのである。
もういっぱしの企業も、恐くて正社員を増やせない。
むしろどれだけ「一時雇いのスタッフでまかなえるか」というリスク管理に集中する会社が増えていると思う。

そして、またそんな中、雇用拡大を目的にし、「高年齢者雇用安定法」なるものが成立しそうである。

曰く、65歳までの雇用を義務付けるということらしい。
これが運用され、日本の雇用情勢がよくなるとは思えない。
リタイアした人の再雇用とか、正社員の雇用とか、すべては企業の姿勢によるものであり、それを法律で縛ろうとしたら、「さらにアングラ的」に回避する動きが出てくるばかりである。

雇用を義務付ける、という発想ではなく、「雇用したい状況を作り出す」という政治でなければ、いつしか「規制政府」だけの存在になって、国民は食べてゆけなくなり、政権与党は崩壊してしまうだろう。
年金の受給年齢とか、子供手当てをいじくって、国民が納得できるレベルはもうとうに過ぎてしまっていることを、政治家の方にはぜひ感じていただきたいと思う。

65歳まで再雇用厳格化「希望者全員」 厚労省方針
関連会社で就業容認

厚生労働省は14日の労働政策審議会の部会で、企業に従業員の65歳までの再雇用を義務付けている制度の運用を厳格化する方針を示した。労使合意を前提に企業が再雇用の条件を設けることができる例外規定を撤廃、2013年度から希望者全員の再雇用を求める考え。企業負担の軽減措置では、再雇用先の対象を拡大し、関連会社なども認める方向だ。


 厚生年金の支給開始年齢引き上げで65歳まで年金を受けとれなくなる退職者が出る問題に対応する。年内に結論をまとめ、来年の通常国会に高年齢者雇用安定法の改正案を提出する。支給開始年齢の段階的な引き上げが始まる13年度から実施する方針だ。

 現在の法律では定年を60歳以上としなければならず、65歳までは再雇用などで働ける制度を導入することも義務付けられている。ただ、労使で協定を結べば、企業は「働く意欲がある」「健康上の問題がない」などの再雇用の条件を例外的に付けられる。

 厚労省の調査によると、現在の制度で退職者の雇用確保措置を導入している企業の割合は、31人以上の規模の企業で95.7%。例外的な条件で再雇用が認められなかったのは、定年者全体の1.8%に当たる7600人にとどまる。

 ただ、例外撤廃に反対する企業は多く、部会の議論でも、企業側から「希望者全員を雇用すれば、コストがかさみ若年層の雇用が増やせない」といった声が相次いだ。厚労省は再雇用先をグループ会社などにも認める方向で理解を求める構え。

 再雇用問題は経団連と連合が同日開いた会合でも取り上げられた。経団連米倉弘昌会長が「会社側と話しながら決める今の状況がいい」と主張。連合の古賀伸明会長は「希望者は65歳まで働ける環境整備を要望している」と強調した。

 一方、厚労省は同日の労政審の分科会で再雇用問題とは別に、契約社員などの有期雇用を規制する案を示した。有期で雇える年数の上限を設け、上限に達した労働者が申し出れば、期間を定めない無期雇用に転換する仕組みで、上限年数を3〜5年とする案を軸に検討する考え。期間満了に伴い契約を更新されない「雇い止め」に対応する。