藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

草食vs草食の時代

「そんなこと」だけは、誰に教えられもせず、よく興味がわくものだな!
と自分自身で思うくらい。
もう異性のあらゆることには放っておいても興味が向いた。

というか「男は何十秒に一回」と言われるほど、反射的にそんなことを考えていたものである。
自然、それだけ興味の向くことには、インターネットのなかった時代でも、友人の有志があらゆる努力をして、自分たちの両親や知り合いからあらゆる素材を集め、皆で持ちより、「邪魔の入らない場所」までセッティングして、皆で回し読みしながら「知識の習得に明け暮れ」る、という状態だった。

またどこの男子もそんなものだったのではないかと思う。(女子のことはよく知らない)


それにしても、コラムの「童貞と処女のカップル」というのはどういうものだろうか。
とても貴重な純粋なもの、という文学的な香りもするし、しかしちょっと異様な感じもしてしまう。
オナニーの仕方も教わらねばならない、というのは、実はそこまで性欲がない、ということなのだろうか。

自分たちのように「欲望から先導されてしまった民」からは少し想像しにくいが、今の時代は性欲をも「ぎらぎら」させなくなってしまうのかもしれない。
性に関する情報、知識など、三度の飯よりも貪って漁っていた自分たちとしては、「異性に関してはよく知らない」ということはあり得なかった。
「そうした異性のこと」がもう"絶対的な興味"ではない時代がついに訪れているのだろうと思う。(これはこれで新しい時代の価値観だろう)

もう誰もが「異性をむさぼる時代ではない」という世界の中で、新しい価値観や、必要な教育、補助が生み出されてゆくのだろう。
しかしながら、古くは源氏物語の世界からの常識。
もう放っておいても「そればっかり」考えていた自分たちを考えると、時代の移り変わりにはただ驚くばかりなのである。

射精はオトコなら誰でもできるもの??
北村先生、宋先生との遭遇

今月初め、日本思春期学会で、射精障害について講演をしました。そこで、ヨミドクターのブログ仲間?の北村先生と宋先生にお会いしました。

北村先生の講演は何度も伺ったことがあります。とにかく面白い先生です。よく、あんな大舞台で、次から次へとしゃべれるもんだなあ、といつも感動して聞いています。心から敬服しています。

宋先生は、ご存じのように、カリスマ女医として本を何冊も書かれています。私は、実はほとんど持っており、ファンの一人です。実際にお目にかかると、思いのほか、ちっちゃくてキュートな方でした。無理にお願いして、本にサインをしてもらいました。

さて、学会で面白かった話を紹介しましょう。聖隷浜松病院(静岡)の泌尿器科医、今井伸先生の講演です。
童貞と処女カップルの悲劇 まずは、恋愛結婚して1年半の夫婦のケースを紹介しました。ともに、婚前にセックスの経験はありませんでした。結婚後セックスをしようとしたがうまくいかないというのです。夫は、妻には内緒でマスターベーションを行っており、そのやり方は入浴時に、浴室の壁にペニスをこすりつける方法でほぼ毎回射精に至るというものでした。

このカップルには、3つの問題点がある、との指摘がありました。

(問題点1)彼らは新婚初夜までセックスとは具体的にどのようなことをするのかよくわかっていませんでした。 
(問題点2)マスターベーションの方法も普通とはだいぶ異なったやり方で行っていました。
(問題点3)彼は女性生殖器(膣や子宮)についてほとんど知りませんでした。

まとめると、夫は、マスターベーション(射精)やセックス、女性生殖器に関して具体的に教えてもらった記憶がないし、あまり興味を持ったことがありませんでした。

ここまで聞いて、私は、いくつかの疑問が出てきました。セックスやマスターベーションは誰かに教えてもらうべきなのか?それとも自ら学習するべきなのか?そしてそのタイミングはいつなのか?
不妊外来を受診するオトコたち 世間では、成人男性は、あたりまえのように「射精」できるものと考えられていますし、マスターベーションの手技を習得しているものと考えられています。

ただ、不妊症の外来をしている私は、実は、そうでもないぞ、とは思っていました。不妊症外来には「上手に射精できない」人や、「セックスができない」人がたくさん訪れているからです。多くは、結婚をして子供を作る際にうまくいかないため、切羽詰まって診察に訪れる方たちです。

未婚のカップルや、間違ったマスターベーションをしている青少年などの「射精障害予備軍」は、もっといるでしょう。
このゆゆしき事態をどう解決していけばいいのでしょうか?今井先生の話はそこまで踏み込んだものでした。

 次回、詳しくお伝えします。