藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

性の違いに。

yomiDr.、Dr.北村の「性」の診察室ブログより。
2000年に入って以降、男女ともに「性交率」が下がっているこということらしい。

16〜19歳の男性の何と36.1%が、セックスに対して「関心がない」もしくは「嫌悪している」と回答しています。この数値は、前回調査(08年)の17.5%から2倍強に増えていました。また、20〜24歳の男性においても、08年の11.8%から10年の21.5%へとほぼ倍増。

ドクターは、「性行動に積極的なグループと消極的なグループの2極化が進んでいるのではないかと考えています。特に後者の特徴は、異性に限らず他者とのコミュニケーションを図ることを面倒だと考える人たちです。」という。

考えて見れば、性行動などは人に言われないまでも、成長と共に「最も関心の高いテーマ」だったはずですが、それも「他者とのコミュニケーションを要す」と考えてしまえば「面倒なこと」に分類されてしまうのかもしれない。
性の草食化は、これも高齢化、成熟する日本の豊かさが示す指標なのではないか、と思っていたが、さもありなん。
自分たちのように「ただ女性とHしたい」という、もうその先には何もないような若者はずい分と減少しているのだ。


さらに、二十代前半の若者から(男女問わず)、「どうして特定の異性を決め、子供を作り、"ある閉じられた世界を作る"という選択をしないといけないのですか?」と言われると、価値観の違いを感じざるを得ない。
「家族を作る。とか絆を深める」といった表現よりも、「将来にわたって決定的な関係を持つ人を積極的に作る気にならない」という若い人のストレートな声は、今の世相を反映しているようにも思った。

先進国は、ここしばらくは「一夫一婦制」を基本にしてきたが、近々「0夫0婦制」のような、(もちろん一夫多婦制でもない)、新しいスタイルに移行するのではないだろうか。

と思って、友人に聞いてみると、「子供が欲しいから、彼氏に依願し、自分だけで産み育てる人は意外に多い」とのこと。
リアルな生活は、世間の常識などとは違い、もっと先を行っているのかもしれない。

高齢化先進国、としての日本はまた「新しいライフスタイル」を作る可能性があるのではないだろうか。
それはそれで、がんばれニッポン。

若者の草食化が一段と進む
 前回同様、島根県松江市で開催された第12回アジア・オセアニア性科学学会からの話題です。2010年に僕自身が実施した「第5回男女の生活と意識に関する調査」で明らかにした「草食男子一段と進む」。これを裏付ける調査結果が改めて発表されたのです。しかも、草食化は男性だけではありませんでした。

日本性教育協会が実施した「わが国の中学生・高校生・大学生に関する第7回調査報告」がこれを明らかにしています。第1回目が1974年、以降81年、87年、93年、99年、2005年とほぼ6年間隔で行われてきたこの調査は、今回で7回目を迎えています。調査対象者は、都市規模ごとに調査地点を11地区選定、さらに人口規模で分け、地域規模や学校種別、生徒数などを考慮して中学校9校、高校11校を選んで、最終的に中学生2,504名、高校生2,578名、大学生2,600名の合計7,682名。

注目すべきは性交経験の推移をみたものです。男子大学生については、性交経験率は74年から93年にかけて23%から57%と大幅に増加したものの、99年以降は63%程度で停滞し、性行動の活発化に歯止めがかかっています。これに対して女子大学生は、87年から93年にかけて26%から43%と大幅に伸びた後、99年には伸び率が低下するものの、2005年になると再び経験率が一挙に伸びています。しかし、11年には男子だけでなく女子においても性交経験率が大幅に低下し、05年に比べて男子で9ポイント、女子で16ポイント近く性交経験者が減少しています。高校生についても同様で、男子では前回調査の27%から15%に、女子は30%から24%に減少していました。
 

実は、この若者の草食化現象は今に始まったことではありません。このブログでも、「セックス嫌いな若者たち」で取り上げたことがありますが、僕の全国調査は、2年前の2010年のこと。2002年に第1回目をスタートさせたこの調査では、第4回(08年)と第5回(10年)の調査結果に注目することになりました。表2のように、16〜19歳の男性の何と36.1%が、セックスに対して「関心がない」もしくは「嫌悪している」と回答しています。この数値は、前回調査(08年)の17.5%から2倍強に増えていました。また、20〜24歳の男性においても、08年の11.8%から10年の21.5%へとほぼ倍増。この時には、性欲とは男性ホルモン支配なので、女性が男性に比べて性欲が低いのは当たり前と決めつけて、男性の結果ばかりに目を向けてしまっていましたが、今回改めてみますと、女性では調査した全年齢で上昇していることがわかります。

診療の現場で若者の性の実態を間近に見続けている僕としては、性行動に積極的なグループと消極的なグループの2極化が進んでいるのではないかと考えています。特に後者の特徴は、異性に限らず他者とのコミュニケーションを図ることを面倒だと考える人たちです。責任ある行動がとれないままに、性交開始年齢の低年齢化、加速化が進むことは歓迎できませんが、他者との関係を面倒だと考える若者が増えていっては日本の未来に夢も希望もなくなると不安になるのは僕だけではありますまい。