藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

人が物質を作る時代。

日本の理化学研のチームの発見した新元素が世界的に認定される可能性が高いという。
ウランを最後に、ほぼ地球にはないものの発見か、と思ったら「実験による合成」でできたのだという。
もはや元素のこれからも、人の力に負うところが大きいのだ、と感心した。
科学も真摯に取り組む人たちにとっては、まだまだ限界などない分野の一つ。

人間はこうした「永遠のテーマ」を実は自ら探し続け、わざと自らに「追求の試練を与えること」を本能的に必要だと感じている節がある。
と自分は思っている。
そうした自虐的な性質が、他の生物との違いを表出させているのではないだろうか。
悩める人間は、それだけ自ら「進化の使命」を背負った存在なのである。

113番目の新元素、認定か 理研、実験で証明

 理化学研究所のチームが2004年に発見を報告した新元素が、国際的に認定される可能性が高まった。再実験の結果、新元素の詳しい性質が明らかになり、発見の確度が高まったためだ。発見者と認定されればチームに命名権が与えられる。日本が発見した初の元素として、理研は「ジャポニウム」などの名を候補に挙げている。

 元素は重くなると壊れやすくなり、放射線を出しながら、より軽い元素に変わる。ウラン(原子番号92)より重い元素は天然にほぼ存在せず、実験室で作ることによって新発見が積み重ねられてきた。

 新元素は原子番号が113で、113個の陽子を含む原子核を持つ。自然界には存在せず、理研森田浩介准主任研究員らのチームは03年から、加速器を使って亜鉛(同30)とビスマス(同83)の原子核を衝突させる実験を繰り返し、04年9月と05年、それぞれ一つずつ人工的に作って発見を報告した。ロシアと米国の共同チームも04年2月に発見を報告したが、成果を審査する国際専門委員会はいずれも「データ不足」として認定を見送っていた。

 理研はその後、三つ目となる新元素を作って詳しく観測。崩壊して別の元素に変わる過程などをより詳しく調べ、論文にまとめて27日付の日本物理学会誌(電子版)に発表した。データ量が増え、「113番目の新元素」であることがほぼ証明された形だ。

 審査する専門委は、化学者の国際機関「国際純正・応用化学連合」などが選ぶ5〜6人の学者で構成される。委員の一人、中原弘道・東京都立大名誉教授は「理研のデータには高い信頼性がある。日本の発見が承認される可能性が高まったと言える」と話す。専門委は半年から1年かけて審議して、結論を出す見通しだ。

 認定されれば、元素の周期律表に名前が記される。理研は名前の候補として、ジャポニウムのほかに、理研が生んだ国際的な物理学者、仁科芳雄博士にちなんだ「ニシナニウム」も挙げる。ノーベル化学賞を受賞した理研野依良治理事長は「元素に日本の名前がつくことは、科学者を目指す日本の若者を元気づけるうえでも大いに意義がある」と話している。

 新元素発見をめぐっては100年ほど前、東北帝大総長を務めた小川正孝博士が、自ら新元素を発見したと発表して「ニッポニウム」と命名したが、後に誤りとわかったことがある。今回の名称の候補として改めて「ニッポニウム」が挙がる可能性もあるが、略記号は「Np」がネプツニウム、「Ni」がニッケルですでに使われている。一方、ジャポニウムの「Jp」はまだ使われていない。(杉本崇、田中誠士)