藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

進歩の先に。

池上さんのコラムより。
中国のトップ交代で江沢民のような「院政」がなくトップがもろ共「完全引退した」という話。
世界中の国から見て、どう見ても無理があった大国の統治のシステムが変わるとしたら、えらいことである。

良くも悪くも「中央の求心力」が働いていたのでなんとなく「中国」という括りで外交も経済も行われてきた感があるけれど、これが5〜10くらいの小国に分裂するような感じになれば、アジアの事情はかなり変わる。
結果的にはそうしたほうが国政も経済もスムースに流れるような気がするけれど、大きな歴史の転換になるに違いない。

2013年は、日本の政権も変わったし、オバマは再選されたし、EUは今年はは大変だろうし、結構な時代の変わり目になるのかもしれない、などと思う。
日本の政治も年末は第三局が大混乱したけれど、「次の姿」が今年は見えてくるのではないだろうか。
ぜひとも「脱戦後の起点」が見えてくる年になることを願います。

自分もビシッとしなくては。

〈新聞ななめ読み〉中国共産党トップ交代で特ダネ

  

胡錦濤総書記が完全引退することを伝える朝日新聞

胡錦濤総書記が完全引退することを伝える東洋経済オンライン
池上彰(ジャーナリスト)
 人事の特ダネを抜けるようになれば一人前。私がNHKの新人記者時代、新聞記者も含めて、よく言われていたことです。
 その一方で「いずれ発表になることを、少し早く伝えて何の意味があるのか」という反論・批判があることも事実です。
 しかし、公式発表しかない中国のような国家体制の国のトップの人事をいち早く伝えることは、国内の企業人事とは質が違います。
 11月14日付の朝日新聞朝刊1面トップ記事「胡総書記完全引退へ」には瞠目(どうもく)しました。それも単なる人事ではなく、背景まで丁寧に解説したことは、中国総局(北京)の記者の取材力の高さを示したものです。
 今回の中国共産党大会で、胡錦濤(フーチンタオ)氏が総書記の座を習近平(シーチンピン)氏に譲ることは、既定方針として、よく知られていました。
 ところが、総書記と共に党中央軍事委員会主席の地位も譲るかどうかは、中国ウオッチャーの間で判断が分かれていました。
 総書記には共産党の規定で定年がありますが、中央軍事委員会には定年がありません。過去には前任者の江沢民氏が総書記を引退した後も、軍事委員会主席の座に2年とどまり、院政を敷きました。
 江沢民主席の院政に悩まされ、力をなかなか発揮できなかった胡錦濤総書記は、どのような判断をするのか。これが注目点でした。
 朝日の記事は「中国共産党が11日の内部高官会議で、胡錦濤総書記(国家主席)の『完全引退』を決めたことがわかった」と断定しています。それも「11日の内部高官会議で」と根拠を明示しているところに、記者の自信のほどが表れています。
 この記事は、江氏が「引退後も『党の重要事項は江氏に報告する』という内部規定をつくり、人事や重要政策に決定権を持っていたという」と、江氏の影響力の強さを解説しています。
 それだけに、「党の中枢機関が置かれている北京の中南海にある江氏の執務室も撤去することが決まった」という記事の内容は、胡錦濤氏が江沢民氏を道連れに影響力の排除を図ったことを示しています。
 つまり、単なる人事情報の特ダネではないのです。
 実は、胡錦濤氏の完全引退に関しては、東洋経済オンラインが、朝日の記事に先だって配信しています。私が見た記事は13日午前11時30分のもの。その点で、朝日の記事は完全な特ダネとは言い切れないのです。ただし、東洋経済の記事が「胡氏は党内の政治抗争に完全敗北した格好だ」と説明しているのに対し、朝日の記事は“相打ち”だったと解説していますから、その点で内容には違いがあります。
 中国のような閉鎖国家で、共産党内部の重要情報を獲得するのがいかに困難かはよくわかります。それを東洋経済オンラインや朝日新聞が相次いで報じたことは、日本のメディアの中国に関する取材力が高いことを示しています。
 とまあ、朝日新聞を持ち上げた上で、あえて注文をつければ、党の中央軍事委員会主席の座にとどまると、どうして院政を敷くことができるのか、そのメカニズムまで解説してほしかったのです。
 14日付の朝日新聞は、キーワードとして「党中央軍事委員会」を解説しています。しかし、その内容といえば「党のトップは総書記だが、軍に対する掌握力がそのまま指導者としての影響力につながるため、党軍事委主席は絶大な権力を持つ」というもの。
 これでは「影響力を持つのは影響力があるから」というトートロジー(同義反復)に近い。
 中国建国の父・毛沢東は、かつて「権力は銃口から生まれる」と発言するなど、軍に絶大な権力を与えていたこと、人民解放軍は、国家の軍隊というよりは、中国共産党の軍隊(党の軍)という特異な特徴を持つことまで含めて解説してこそ、痒(かゆ)いところまで手の届く記事になるのです。