藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

現実を知り、これからを考える。

まさに先進国が成長点にあった72年、ローマクラブが出したレポート。
そのレポートが今また四十年の沈黙を経て出現するのは、今が確かな「歴史の変曲点」にあることを示すのだろう。
日々の流れの中にいると、本当に実感がないが、"二十世紀の本格的な終焉"がこの五年間に表れてくるような気がする。

世界の人口は2040年前後に80億人に達し、ピークを迎える。これは国際連合の予測よりかなり低い。それは、女性1人が生涯に生む子どもの数が今後減っていくと見ているからだ。

さらに、「世界的なGDPのピーク」もこの2040前後になるという。
ついに、地球規模でみた成長が、一旦頂点を打ち、「次の価値観へ」と向かってゆく分水嶺を迎えるのだ。

一応、これまでの経済成長と産業の発展を支えてきた「民主主義と資本主義」という方式がいよいよ「別のもの」に変わらねばならないという提言である。

より多くの支持を集め、より広く浸透したものが、すべてを統べるリーダーになる。というこれまでの理屈は、もっと違う形をとるのだろう。

世界のGDPの総和が限界になる時代、いよいよ世界レベルの合議と意思決定のシステムが必要になって来る。
昔の日本の内乱や、大陸の内戦、などを経験して現在に至る国々が、いよいよ大陸を超えて連携してゆくことができるか。
過去を見る限り、十分可能性があると思うのは自分だけではあるまい。

一見危機的、絶望的にも見えるのだが、歴史的に振り返れば人類は必ず全体で調和する方法を見出すのではないだろうか。

今後40年で何が起きるのか 未来からの警告(上)
ヨルゲン・ランダース教授2013/4/26 7:00ニュースソース日本経済新聞 電子版
 1972年にシンクタンクのローマ・クラブが出した世界予測『成長の限界』は、資源枯渇や持続可能性について全世界が考えるきっかけになった。40年後の今、『成長の限界』の研究メンバーの一人で、BIノルウェービジネススクール教授のヨルゲン・ランダース氏が再びローマ・クラブへの報告書として『2052 〜今後40年のグローバル予測』を発表した。この研究では、さまざまな統計や分析に加え、34人の科学者や専門家の洞察の下に、「最も実現確率の高い未来」を予測。その中身は「21世紀の警告書」と言えるべきものだ。全2回の本連載では、ランダース氏がまとめた今後40年間の未来予測のエッセンスをお届けする。
■1972年の疑問:「我々は成長し続けられるのか」
ヨルゲン・ランダース教授(写真:ローマ・クラブ、以下同じ)
 1972年に発表した『成長の限界』と題したレポートは、「有限の地球で、人類は永遠の成長を続けられるのか」という疑問を世界に投げかけた。さらに、2100年までの12の未来シナリオを提示した。このうち6つはネガティブでさまざまなタイプの「崩壊」を、残りの6つはポジティブで「持続可能な発展」を描写した。しかし、どのシナリオが最も実現可能性が高いかは示さなかった。当時は十分な情報がなかったからだ。
 したがって、『成長の限界』では以下のメッセージを出すにとどめた。
 (1)世界は小さい。ゆえに人類のエコロジカル・フットプリント(人間活動が地球環境や生態系に与える負荷の量)は、永遠に増え続けることはできない。そして実際、地球の規模から考えると成長は今後100年以内に止まるだろう。
 (2)オーバーシュート(需要超過)の危険がある。(資本主義や民主主義など)主要な統治システムは、人類のフットプリントが地球の許容量を超過するより前に、成長をストップさせようとはしないだろう。地球社会の反応はあまりに遅く、結局、オーバーシュートが起きる。いったんそうなると、その後は「管理された後退」か「壊滅的な崩壊」のいずれかによって、持続可能な状態へと収縮していくほかない。
 この2つのメッセージを要約すると次のようになる。「世界の意思決定の遅れにより、人類は小さな惑星である地球に、持続可能なレベルを超えるフットプリントを押しつけるだろう」
 『成長の限界』に対する世の中の反応は、敵対的とも言えるほど激しい拒絶だった。1972年当時、人々は「持続不可能になるまで成長を追い求めるほど、人類は愚かではない」と考えていた。そのため、成長後に訪れる収縮への脅威、特に「崩壊」という考えは、見当外れだと批判された。
■2012年に出した答え:「すでにオーバーシュート」
 我々も実感しているように、『成長の限界』の発表から40年たった今日も、地球社会は際限なく膨張を続けている。人口、経済(GDP)、フットプリントのいずれも、増え続ける一方だ。
 そして驚くべきなのは、この地球が惑星の限界を超えてオーバーシュートしていることを、我々がすでに認識しているということである。この先、数世代のうちに、非常に大きな問題が発生することをわかったうえで、我々は日々生活を送っているのだ。
 最もわかりやすい例は、気象に関することだ。人類による二酸化炭素(CO2)の排出量は、世界の森や海が吸収できる量のおよそ2倍に達している。結果として、CO2は大気中に蓄積されていき、地球の平均気温は上昇している。気温上昇は、将来の世代の生活を困難にさせる多くの変化を引き起こすだろう。
 現在のオーバーシュートを招いた第一の原因は、国際社会の意思決定の遅さだ。国際社会は25年前に気候変動に関する政府間パネルIPCC)を立ち上げた。もし、我々がそのアドバイスをきちんと受け入れ、実行していたならば、今ごろは温室効果ガスを十分削減できていたはずだ。
 温室効果ガスの削減は今ある技術で十分可能であり、しかもかかる費用は驚くほど安くてすむ。労働力と資本の投資先のわずか1〜2%を「ダーティー」から「クリーン」なものに変えるだけでいいのだ。たとえば、自動車メーカーがガソリン車から電気自動車の製造に転換し、電力会社が石炭ではなく風力やガスの発電所を建設するように誘導していく。そのことが経済に与える負の影響は、心配するほど大きなものにはならないだろう。
 しかし現実に目を向けてみると、我々は25年にわたる実を結ばない国際交渉に時間を費やすばかりで、地球規模での排出抑制にはほとんどつながっていない。温室効果ガスは数十年も前に持続可能なレベルを超え、今も増加し続けている。信じがたいことに、21世紀の最初の10年間における人類のCO2の排出ペースは、それ以前のどの10年より速かった。
■2052年までにいくつもの問題に直面
 『成長の限界』ではその先100年間のシナリオを描いたが、現在、我々は最初の40年間(1972〜2012年)に何が起きたのかを知っている。
 では、これからの40年間で何が起きるのだろうか。私はこの疑問に対する自分なりの答えを『2052 〜今後40年のグローバル予測』の中で書いた。この研究は、世界的なシンクタンク、ローマ・クラブ(本部:スイス・ジュネーブ)への報告書として書いたものだ。
 予測の大前提となるのは、今の我々は1972年の時点よりも、世界とその未来に関してずっとたくさんのことを知っている、ということだ。それゆえ『2052』では、『成長の限界』で用いたシナリオ分析という無難なやり方を離れて、大胆に未来を予測した。2013〜2052年の間に何が起きるのかを、過去の経験や十分な情報に基づき、矛盾がないように予測したのだ。
 予測というのは、何が起きるべきかではなく、実現の確率が最も高い出来事は何かを示したものである。不確定要素によってぶれる可能性もあるが、数々の不確定要素についても検証し、それがもたらす誤差は予測の意味を失わせるほどではないと判断した。
 『2052』の予測は、5つの地域の個別予測からなる。(1)米国、(2)米国以外の先進工業国、(3)中国、(4)14の新興経済圏の国、(5)残りの国々(140数カ国)である。
 予測は、『成長の限界』で使った「ワールド3コンピューターモデル」の最新版を使って導き出された世界モデルをベースにしている。このモデルは、技術の進歩が今後40年もこれまでと同じペースで進み、基本的な価値観や嗜好は変わらず、人間社会は経済の成長を相変わらず追い求めることを前提としている。
 しかしこの先、重要な変化が1つある。それは、数十年後に地球社会がいくつもの深刻な問題に直面することだ。具体的には、資源の枯渇、環境汚染、気候変動、不公平、社会紛争など。これらの問題を解決するため、人類は投資を増やさざるを得ないが、問題が顕在化する前に対策が講じられることはなく、問題が起きてようやく、修復のための資金が投じられる。
 例えば、米国が温室効果ガス削減のため、前もって多額の資金を投じると私は考えていない。しかし、いったんハリケーンが都市を直撃したり、ガスの埋蔵量が乏しくなったりしたら、政府は復興や代替エネルギー確保のために、資金を投じざるを得なくなる。
 もっと一般的に言えば、国家は損害の目に見える証拠がないかぎり、対策には乗り出さないだろう。資源の枯渇、環境汚染、気候変動、不公平、社会紛争などに関しても、それらがもたらす損失が明らかになって初めて、対策のために資金を投じる。
 つまり、危機に対応するための巨額な投資は、マイナスの影響が顕在化してから行われるのだ。繰り返すが、説明と議論という民主主義的な手続きに時間をとられるせいで、投資は、事が起きる前ではなく、事が起きた後、それもずっと後になってようやく行われるだろう。
■気候変動がもたらす危機が21世紀中盤に
 続いて、『2052』の論理的なバックボーンについて説明する。『2052』は、地球全体で見ると成長はゆっくりとしたものになると予測する。しかし、成長スピードが落ちても、気候変動がもたらす危機が先延ばしされることはなく、21世紀中盤にそれは訪れるだろう。
 気候変動問題の解決は、技術的には簡単で、コストもそれほどかからない。しかし、残念ながらそれが実現できないのは、人間の意思決定が極端に短期志向になっているからだ。地球社会は、危機を回避するために前もって行動を起こすことはないだろう。
 ここからは、人口、GDP、資源、食料、エネルギー、CO2、気温など個別の事象に関する40年後の姿を示す。
【人口】 寿命は延びるが、80億人で頭打ち
 世界の人口は2040年前後に80億人に達し、ピークを迎える。これは国際連合の予測よりかなり低い。それは、女性1人が生涯に生む子どもの数が今後減っていくと見ているからだ。
 富裕国の女性は、たくさん子どもを持つことよりも仕事を選ぶようになる。そして、経済的に貧しい国々でも、膨張する大都市という環境では、「子だくさん」は生活コストが高くつくので、夫婦は子どもの数を減らそうとするだろう。
 その結果、医学の進歩により平均余命が延びるにもかかわらず、世界全体の人口は2052年までに減少に転じる。
GDP】 世界経済の成長は2040年頃がピーク
 GDPの成長も減速する。世界のGDPは1年間の世界経済の中で生産されたモノとサービスの総合計に等しい。労働力は人口と同じく、2040年頃にピークを迎え、2052年には減少傾向にある。生産性の伸び率も低下するだろう。
 なぜなら、成熟経済においては、多くの人がサービス業や介護ビジネスに従事するようになるが、そういった業種で生産性を大きく向上させるのは難しいからだ。農業や工業、オフィスワークでの労働が中心だった時代は、生産性を大きく伸ばすことができた。
 生産性の伸び率の低下は、ここ数年の米国の統計にすでにその兆候が表れている。5年前は3%だった伸び率が、今では1%に低下しているのだ。
 経済先進国の停滞は、新興国の台頭を許すことになるだろう。かつての日本や韓国、そして現在の中国のように、新興国の一部は先進国に追いつく。新興国の経済成長は、2052年までに世界のGDPを大幅に引き上げるが、多数の貧しい国々は経済をうまく成長軌道に乗せることができず、世界のGDPの伸びを押し下げる。
【資源・食料】 枯渇しないが、行き渡らないまま
 2052年の人口やGDPは多くの人が思っているほど伸びない。この先40年は成長スピードが低下するからだ。これは貧困が今後も続くことを意味している。しかしそれによって、資源需要の伸びも抑えられる。資源の消費は今後も増えるが、それによって枯渇することはないだろう。
 エネルギー関連以外のエコロジカル・フットプリントは、生態系の許容量(バイオキャパシティー)の範囲内にとどまるだろう。具体的に言うと、私は2052年までに食糧や資源が不足するとは考えていない。
 しかし、食糧や資源が求められているところに十分に行き渡っているわけではない。2052年になっても、貧しい国はたくさんある。ブラジル、ウクライナ、ロシアのように肥沃で広大な土地を持つ国は大量の食糧を生産するものの、貧しい国はそれらの国から十分な食糧を買うことができない。そのため今後40年も、過去40年と同じ理由によって、世界から飢餓はなくならない。
【エネルギー】 電力、熱、燃料の使用は減っていく
 将来のGDPが分かり、エネルギー効率(GDP1単位当たりのエネルギー使用)が今後もこれまでと同じペースで向上していくと仮定した場合、将来のエネルギー使用の状況は簡単なかけ算で算出できる。その結果は、世界のエネルギー使用は2040年前後にピークを迎え、その後減少に転じることを示している。
 2040年以降、電力、熱、燃料の使用は年を追うごとに減っていく。その理由はエネルギー使用の効率化がGDPの伸びを上回るからだ。
二酸化炭素】 2050年の排出量は現在と同水準
 次の40年は、気候変動への懸念が深まるにつれて、CO2排出のより少ないエネルギーへのシフトが続く。その結果、2052年には世界のエネルギーの4割は、水力、風力、太陽光、バイオマスでまかなわれるようになるだろう。
 それはエネルギーの6割は依然として化石燃料に頼ることを意味し、残念ながらCO2排出量は今日と同じレベルだ。
 世界から排出されるCO2の量は今後も増え続け、2030年頃にピークを迎え、その後は減少に転じる。2050年頃の排出量は現在とほぼ同じレベルで、その後は今より減っていく。ただし、このレベルは、気候に関する国際交渉で定められた野心的な目標「2050年までに50〜80%削減」と比べると、お話にならないレベルだと言える。
【気温】 2080年までに3度も暑くなる
 予測されるCO2排出量を最新の気候モデルに当てはめれば、将来の気温を予測できる。地球の平均気温は工業化以前に比べて2052年までに2度上昇し、2080年までに3度上昇する。
 2012年にCOP17(第17回気候変動枠組締約国会合)が打ち立てた「気温上昇を2度以内に抑える」という目標が40年後には破綻することを、これは意味している。
 また今後、異常気象による被害が増え、21世紀後半、そのスケールはいっそう拡大すると思われる。温暖化によってツンドラの凍土は溶け、CO2とメタンが放出される。するとさらに温暖化が進み、より多くの凍土が溶ける。これがすべての凍土が溶けるまで続き、気温は大きく上昇する。こうなるまでには時間がかかるが、孫の世代は現在の我々の怠慢を苦々しく思うだろう。
【巨大な地域差】 今の富裕国は衰退する
 しかし、これまでに述べてきた予測は、地域によって状況が大きく変わってくる。富裕国は今後、意外なことに衰退していくだろう。富裕国では今後40年間、可処分所得がほとんど増えず、平均的な米国民は2050年までに手取りの収入が約10%減るだろう。
 実際のところ、デトロイトの自動車工場の労働者をはじめ多くの米国民は、これまでの20年間で実収入が減ってきている。
 今後、収入が減る主な理由は、成熟した経済の中では生産性を大幅に向上させることができないからだ。また、素早い意思決定が行われにくいこと(特に米国において)、莫大な借金を返済する必要があること(特に米国が中国に対して)も原因となる。
 一方中国は、非常に大きな成長を実現するだろう。富裕国に追いつき、1人当たりの実収入は5倍になる。国民は物質的に豊かになろうとし、国家はGDPを成長させて強大な国になろうとする。両者の思惑が完全に一致していることから、中国はスムーズに成長していくだろう。
 そして、迅速かつ前向きでパワフルな意思決定が、成長を後押しするだろう。中国人の収入が増え、成長率が低下していくのは自然な流れだが、2052年の中国人の平均的な所得レベルは欧州の平均とほとんど変わらなくなる。
 新興経済圏の大国のいくつかは順調に成長し、中国の後に続くだろう。しかし、その他の国は経済をうまく成長させることができず、平均的な手取り収入は3倍増にとどまる。
 最後に、残りの国々(ROW=レスト・オブ・ザ・ワールド)の展望にも触れておく。ROWは今後40年でなんとか1人当たりの国民所得を2倍(世界平均の成長率と同じ)にできるだろう。しかし、ROWはスタート地点が低いので、多少成長しても貧しいままの状態が続く。
■危機の元凶は「富裕国の短期志向主義」
 以上のように『2052』の予測では、今後、人口とGDPの成長は減速するものの、CO2排出は期待されるほどには減らず、21世紀後半、ついに人類の幸福度を急速に低下させる出来事が起きる。
 これは『成長の限界』で描いた12シナリオのうち2番目のシナリオ「汚染危機」に似ている。汚染が健康と農業に悪影響を及ぼし、人口増加は止まり、減少に転じるというものだ。資源供給とクリーンな環境を維持するのに莫大な投資が必要になるため、消費は大きな打撃を受ける。
 しかし、両者には重大な違いがある。それは『2052』が、汚染による健康や農業へのダメージではなく、女性が出産する子どもの数を自発的に減らすことによって、人口が減少していくと予測している点だ。また、経済成長が減速するのは、資源の不足によってではなく、経済が成熟化し、従来のように生産性を向上させられなくなる、と予測する。
 社会は気候変動による災害などさまざまなダメージを修復するため、経済活動で生み出した富をそちらへ回さざるを得なくなり、一般市民の所得も直撃を受ける。さらに、国の統治の弱体化と富の不公平な分配が、状況をさらに悪化させる。
 もし先進国が行動を決断しさえすれば、『2052』が予測する気候の危機は、簡単に回避できる。しかし、先進国がCO2を排出する活動への「従来型投資」から、気候に優しい解決策へ資金を投じる「未来型投資」へと、資金の流れを十分かつ迅速にシフトできなければ、危機は必ず起きる。
 シフトとは、例えば、化石燃料(石油)で動く車の製造から電気自動車へ、石炭を燃やす発電から風力発電へ、断熱性の低い大きな家から高断熱の小さな家へ、といったことを指す。これらのシフトにかかる費用はGDPの1〜2%で十分だ。それほど大きな額ではないが、市場民主主義(マーケット・デモクラシー)において実現するのは難しい。
 気候変動の危機を解決するために、地球社会は投資の流れを「最も利益をもたらすもの」から「社会を長く持続させるために役立つもの」へとシフトさせていかなければならない。
 しかし、残念ながら資本主義はそういう判断を促さないだろう。資本主義の下では、「社会が何を求めているか」ではなく「利益を生むこと」へと資金が割り当てられていく。さらに、民主主義の議会は「最大の利益」と「社会の利益」を兼ね備えた法案を可決できないだろう。民主主義の政党は有権者が望むことを行うものだ。そして、たいていの有権者は高い税金を課せられる解決策や、短期的にガソリンが高くなったり、電気料金が上がったりすることに反対である。
 悲しいことに地球社会は2つの不十分な統治システムを選んでしまっている。それは資本主義と民主主義で、どちらも短期的に効果をあげることを優先しがちだ。短期志向は『2052』が予測する危機を引き起こす元凶である。我々は孫の世代の生活を良くするために今日犠牲を払おうとはしない。 (後編は5月2日に掲載予定)
ヨルゲン・ランダース氏
 BIノルウェービジネススクール教授。気候問題への戦略や対策、持続可能な発展、シナリオ分析などが専門。WWFインターナショナル(世界自然保護基金)事務局長代理、BIノルウェービジネススクール学長などを歴任。多くの企業で取締役会の非常勤メンバーとして、持続可能性について助言している。英ブリティッシュテレコム、米ダウ・ケミカルの「持続性可能性に関する評議会」委員。2006年、ノルウェー温室効果ガス排出対策委員会の議長を務め、2050年までに国内の温室効果ガスの排出量を現在の3分の2に削減するための対策をまとめ、政府に報告した。最新刊は『2052 〜今後40年のグローバル予測』(日経BP社)。
2052 〜今後40年のグローバル予測著者:ヨルゲン・ランダース
出版:日経BP
価格:2,310円(税込み)