藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

積み上がる経験にすること。

刈羽原発の再稼働がいよいよ申請に。
結局「核エネルギーそのものへの態度」を決めることなしに原発は動き始めることになる。

思えば、もし「原発ゼロ」にするのであれば、震災の直後からもう「そこ」へ向けたシナリオで爆走するしかなかった。
日が一日経てばたつほど「経済的な話」が徐々に幅を利かせ、最終的には安全論を倒してしまった。
無理もない話で、震災直後でさえ「核廃絶か否か」というテーマには有識者が真っ向から対立していたのである。
さらに言えば、もともとこうした「右か左か」「一かゼロか」で決めきれる問題でもなく、様々な前提や条件をもっと詳細に決めていくべきだったと思う。

若い人には、まず今の政治のシステムでは「こうした大きな経済問題」についてはあまたの利害関係者や、守旧勢力の思惑が錯綜し、「何も決められなくなることが多い」ということを一番に知っておいてもらいたいと思う。

原発を動かして起こる事故のリスクが「これからで見えない」のに対し、来月から上がる電気料金に、つい誘われて「ある程度安全にしようよ」といいながら、また炉を動かそうというのが今の状態である。

千年後をにらみ

こうした問題は、例えば日本中の沿岸に30メーター超の堤防をつけよ、とかいやその予算はない、とか津波の想定は30メートルとか、いや100メートルもあり得る、とかさらに駿河南海トラフは20年以内とか、首都圏直下型は100年以内に、とか情報も錯綜して非常に収拾がつきにくい。

いつ襲ってくるか分からない狼にどれほどの備えで臨むのか、という困難な問題に、自分たちは一定の意見を構成して進んでいかねばならないのである。

100年や200年ではなく、千年も経った西暦3000年の日本の歴史書に、21世紀の日本の「原子力への対応」はどのようなものだったのか、そしてそれが3000年の現在ではどのような結果をもたらしたか、ということを想像したい。

自分は結論的には原発は推進すべき、と思うが今やるべきはそのための幾つかの重点課題である「立地とか廃棄物処理とか高速増殖炉とか運営主体」などの問題について徹底的に議論と予算を集中し、「事故の可能性と被害をどこまでミニマイズできるか」ということについてコンセンサスを作るべきだと思う。
核の平和利用のために全精力を傾けて考える、ということが未来への我われの最大のノルマなのではないだろうか。
ただの批評や運動家ではなく、ぜひ自らの身を呈してそうした議論を土俵に乗せる政治家に結党してもらいたいと思う。
見るべき道はそれほどの迷路ではなく、案外はっきりとした現実の積み重ねでしかないと思うのである。

東電、柏崎刈羽原発の再稼働申請へ 午後にも発表

柏崎刈羽原発の場所
東京電力は、停止中の柏崎刈羽原発新潟県柏崎市刈羽村)について、原発の新たな規制基準が施行される8日以降できるだけ早く、再稼働に向けた申請を原子力規制委員会に出す方針を固めた。2日午後にも発表する。ただ、新潟県泉田裕彦知事は再稼働に慎重な姿勢を強めており、再稼働が実現できるかは不透明だ。

柏崎刈羽原発は計7基あり、東電と政府が昨年5月に決めた総合特別事業計画(再建計画)では、今年4月から順々に再稼働させるとしていた。東電は、原発を1基動かせば年間約800億円の収支改善につながるとしている。金融機関から融資を受け続ける条件になっている今年度の黒字化のためにも、早期再稼働への道を探ってきた。

原発の再稼働をめぐっては、北海道、関西、四国、九州の4電力会社が計12基について、新基準の施行後すぐにも規制委に申請する方針をすでに示している。規制委は原発1基の審査に半年はかかり、一度に審査できる原発の数も限られているとしている。東電は、再稼働申請の「第1陣」に加われなければ、柏崎刈羽原発の再稼働が大きく遅れる可能性が高いと判断した。再稼働が進まなければ、電気料金の再値上げにつながる可能性もあるとしてきた。

再稼働にあたっては地元の了承が必要になる。新潟県の泉田知事は、国や東電が福島第一原発事故を徹底的に検証するまでは「再稼働に向けた議論はしない」と繰り返している。東電は、泉田知事らに対して説明を続ける考えだ。ただ、東電が地元の慎重姿勢を押し切って早期申請に踏み切れば、仮に規制委の安全審査を通っても、地元の了承を得るのが難しくなって再稼働が遠のく可能性もある。
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東京電力柏崎刈羽原発》 新潟県柏崎市刈羽村にまたがる敷地に、福島第一原発と同じ沸騰水型炉(BWR)などの1〜7号機がある。1号機は1985年に運転を始めた。7基で計821万キロワットの出力は、一つの発電所としては世界最大規模。2007年の中越沖地震で火災や微量の放射能漏れがあり、耐震強化のため2〜4号機の運転を停止していた。12年3月末に6号機が停止して全基がとまっている。複数の原子炉建屋直下にある断層について、活断層の可能性があるとも指摘されている。