藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

アメリカ起業、の象徴

自動運転カーとか。
海に浮かぶ巨大ショールームとか。
成層圏に浮かぶWi-Fiルーターとか。

一時期「単なるネット広告業者か」といわれたGoogleだが、やっぱり同社の遺伝子は新しい、「次の自由へ」を期待させるようである。
記事では「びっくり箱経営」と表現されているが、上場企業でありながらも、異形の分野への投資を止めず、またそれはメーカーのR&Dのようなものとも違う荒唐無稽のようにも見える、ある種痛快な試みである。

司馬遼太郎ではないが、アメリカという国の「アメリカ企業というものの象徴」としての存在が今のGoogleなのではないだろうか。

amazon、MS、Appleたちとは違う、ちょっと何を考えているのか分からない、でも楽しそうな企業。
「破壊者」とも評されるが、「企業経営とは・・・」と頭でっかちのアナリストを尻目にひょうひょうと我が道を行く痛快さ、が同社の最大の魅力である。

「こういうものを研究すれば、ここの利益になる」ということが予め予測できるビジネスなんてつまらない。

彼らはそんな風に見えるのである。
まるで「利益を出さねば」と必死になっている自分たちが子供のようだけれど、「そこで働きはしないけれど、いつかは行ってみたい会社」としてGoogleのような会社は存在していてもらいたいものである。

はぁ。
彼らと自分たちの間の違いはなんだろうか?

グーグル、いざ陸海空へ 進化する「びっくり箱経営」
革新のイメージ、アップルしのぐ2013/11/24 7:00ニュースソース日本経済新聞 電子版
 次はいったい何が飛び出すのか。米グーグルの「びっくり箱経営」が異彩を放っている。インターネット空間を飛び越えた活動が勢いづき、イノベーション銘柄としての存在感が膨らむ。斬新な製品やサービスを出せず、じわじわと退潮の色が濃くなるライバル企業とは好対照をなす。だがIT(情報技術)の持続的発展を考えれば、対抗勢力がぜひほしい。
■「謎のはしけ」が話題に
 「どうすればグーグラー(グーグル社員)になれますか」「まずは高校を卒業して大学に行く。5年したら連絡をくださいね」――。10月29日、東京都港区の広尾学園。コンピューター教育の一環で高校1〜2年生およそ80人に特別授業をしたグーグルのエリック・シュミット会長は女子生徒の質問に笑顔で答えた。
 世界で働くグーグラーは4万人以上。「仕事は挑戦的なものでなければならない。重要案件ほど人はやる気を起こし、面白がる」。ラリー・ペイジ最高経営責任者(CEO)の言葉通り「奇策」が目白押しだ。
 サンフランシスコ湾の海上に巨大な建造物が出現し、今、「謎のはしけ」と話題になっている。主はグーグルだ。4階建て、長さ70メートル超。同社は「新しい技術を知ってもらう双方向スペース」と詳細は明かさないが、眼鏡型コンピューター「グーグル・グラス」などのショールームとの見方が強まっている。
 海だけではない。太陽電池や通信設備を載せた直径15メートルの大型風船をいくつも成層圏に浮かべ、ネット接続の中継に使う実験にも乗り出した。インフラ整備が遅れる地域に高速のネット環境をもたらし、災害時のバックアップ用途も見込む。
■加齢や疾病の研究も
 そして地上ではGoogleマークの自動運転車が走る。「今から15年後、ボタンを押せば家の前に車がやって来る。乗り込んで目的地を告げればいい……。そう考えただけで毎日の仕事が楽しくなる」。開発をリードする共同創業者、セルゲイ・ブリン氏は語る。
 陸、海、空へ。1998年、検索サービス会社として生まれたグーグルは意外な領域に手足を伸ばし、一口に説明できない姿になった。業界でイノベーション銘柄と言えば、真っ先に名前が挙がるのは長くアップルだったが、現在はどうか。
 9月18日、グーグルは加齢やそれに伴う疾病を防ぐ研究を始めると発表した。バイオ大手でCEOをつとめたアーサー・レビンソン氏と共同で新会社を設けた。「取り組みの成果にワクワクする」とのコメントを寄せたのは米アップルのティム・クックCEOだった。
 レビンソン氏はアップル会長でもあり、不自然とは言えないが、未知の領域に挑む姿勢はアップルよりグーグルがまさると感じさせた。2日後アップルが発売した新型iPhone(アイフォーン)は機能やデザインに目新しさはなく、驚きに乏しかった。
 グーグルの宿敵だった米マイクロソフトにはたそがれムードが漂う。19日、ワシントン州で開かれた株主総会。退任を表明ずみのスティーブ・バルマーCEOをねぎらうスピーチをしたビル・ゲイツ会長がぐっと涙をこらえる場面があった。攻撃的だった「帝国」の面影はもうない。
■株価1000ドル突破
 「私が法を破ったのか、警官が間違っているのか」。試験販売されたグーグル・グラスを身につけてカリフォルニア州で車を運転中、交通違反でつかまったという女性が交流サイト(SNS)で訴えている。
 集中力をそぐとの理由でテレビやモニター類の視聴を禁じた法律を「援用」した取り締まりといえるが、グーグル・グラスにはカーナビのような道案内機能があり、上手に使えば便利なのは間違いない。SNSには「法廷で争って。ルールが必要だ」と女性に呼びかける書き込みもある。常識や秩序の「破壊者」としてグーグルは目立つ。
 びっくり箱経営を支えるのは高い収益性だ。7〜9月期決算はモバイル向けを含め広告が好調で2桁の増収増益。売上高は過去最高を更新した。株価は10月に1千ドルを突破している。
 一方で強大なグーグルパワーには不気味さもある。例えばサービスの利便性とプライバシー保護を両立できるのかという問題。「利用者の身元、趣味、人間関係がわからなければ、よりよい検索は実現できない」とペイジCEOは主張する。グーグルの独走を防ぐライバルが必要だ――。そう思わせるほどグーグルの異形が際立ってきた気がする。
編集委員 村山恵一)
日経産業新聞2013年11月22日付]