藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

品質の国。

海外で売れ続けている日本製品の紹介である。

  • アフリカ女性向け、カネカのエクステ。
  • 米を襲う寒波対策・小林製薬の使い捨てカイロ。
  • 新興国向け・日本駐車場開発時間貸し立体駐車場システム。
  • 中国向け・日本フラッシュの大規模マンションの多種類室内ドア。
  • 中国・新興国向け・OKIと日立のATM。偽札を含む読み取りの精度と紙幣還流型が受けているという。
  • インドネシア向け・フマキラーの強力蚊取り線香
  • バンコクや中国の壱番屋高級カレーカフェ。顧客単価は日本と変わらないという。
  • 欧州で75%のシェアを持つ、サカタのタネのトルコキキョウの種。
  • ロシアや欧州では蛇の目の家庭用ミシン。

どれも表向きには超ハイテク、とか目新しい新製品ではない。
むしろ既存技術の磨きあげ、というか「元ある製品を地道に守り続けた結果」今がある、という感じに納得がいく。
付け毛にせよカイロにせよATMにせよ蚊取り線香にせよ。
どれも別に日本だから発明で来た品々ではない。

「日本にもニーズのある製品」を国内で作り、改良を重ね、そして「海外向けにはひと工夫した」結果が大きな世界シェアにつながっているという構図である。

1980年以降、ジャパンアズナンバーワン、と叫ばれそれから日本が自信を失うことがずい分つづいている。今もそうだ。

原点回帰の製造、流通、ゼネコン、そしてソフトウェアを含むサービス業、という視点が復活のキーワードではないだろうか。

いくつかの巨大メーカーが最近迷走し、消失の危機が騒がれているが、例え売り上げが半分になったとて、元々の「自分の持ち場」に還るという発想があってよいと思う。
株主がいろいろ言うだろうけれど、事業の主役は経営陣である。
本業を見失わず、されど拘らず、という難しい判断が必要になる。

付け毛、使い捨てカイロ…こんなところに日本製品
2014/5/4 16:55
日本経済新聞 電子版
世界を見渡すと意外なところで意外な「日本発」が人気を集めている。海外で売れる日本製といえば、自動車や家電などが思い出されるが、実はそれだけではない。付け毛やATM、カレー店…。現地の需要にあったり、海外で復活を果たしたものもある。普段は気付きにくい「隠れた日本発の大ヒット」を探ってみた。

現地需要にマッチ
■カネカの付け毛、アフリカでシェア5割
カネカの付け毛「カネカロン」はアフリカで人気だ(ナイジェリア)

「ヘアショーに出ていた、あの子みたいなクールな髪形にしたいの」。ナイジェリアの美容院には若い女性が好みのヘアスタイルを求めてやってくる。注文に応じて美容師が手にしたのは、カネカ(証券コード 4118)のアクリル系合成繊維「カネカロン」だ。

アフリカの女性の髪は気候条件の影響もあって、髪の毛が縮れており、伸びにくい。多彩なヘアスタイルを楽しむためほとんどの女性はかつらや付け毛を愛用している。カネカロンはアフリカで5割以上のシェアを占める。

カネカがアフリカに進出したのは1980年代のこと。美容師を派遣したりファッションショーを開いたりしながらカネカロンの使い方を提案していった。ナイジェリアやアンゴラなどでは現地の美容業界を巻き込み、精力的な営業を展開した結果、「カネカロン」と言えば高級付け毛の代名詞となっている。

カネカロンをはじめ、衣類向けやフェイクファーを含めた合成繊維事業の売上高は約300億円。カネカ全体の5%ほどだが、過去10年間で8倍に膨らんでいる。アフリカの人口増や経済成長に伴って需要も増えており、今後10年でさらに2倍になるとみている。供給力を高める目的で約90億円を投資し、2015年10月までにマレーシアで合成繊維の生産設備を増やす考えだ。

小林製薬の使い捨てカイロ、米で日用品に
この冬、全米を襲った寒波で一気に売れ行きを伸ばしたのが「HOTHANDS(ホットハンズ)」。小林製薬(4967)の扱った使い捨てカイロだ。

米国では狩猟や釣りなど寒い渓谷などで楽しむスポーツの関連用品として扱われることが多く、販売経路は主にスポーツ用品店だった。袋から取り出し、もめばすぐに温かくなる手軽さが受け、今回の寒波をきっかけに米ウォルマートなど大手小売りチェーンでの販売が決まると、他の大手小売りでも取り扱われるようになった。

2014年3月期の米国でのカイロ事業の売り上げは前の期比30%増の50億円程度。販路が広がったため、レジ前に陳列してもらうなどで認知度を地道に高めていく考えだ。

アジアで人気を集めているのは解熱鎮痛用品「熱さまシート」の赤ちゃん用だ。特にタイやシンガポールなどでは人気を集めている。少子化が進み、赤ちゃんの健康を意識した需要が広がっている。

使い捨てカイロや赤ちゃん用の熱さまシートなど一連のヒット商品が寄与し、小林製薬の14年3月期の海外関連売上高は前の期比33%増の125億円だった。営業損益は前の期の4000万円の赤字から2億2000万円の黒字に転換している。

日本駐車場開発時間貸し駐車場、タイで人気
慢性的な交通渋滞が続くタイ・バンコク。秩序立った日本と異なり、駐車場の確保は早い者勝ちで、自動車を自由に止められないことも珍しくないが、大企業のオーナーなどに利用が広がっているのが日本駐車場開発(2353)の「VIP向け駐車場」だ。

タイは経済成長で中間所得層が広がり、交通渋滞は深刻だ。オフィス街で商談を抱える多忙な経営者は駐車場を探すだけでも苦労している。

駐車場の整備コストを月額の課金収入で回収するビジネスモデルは日本と同じ。タイではオフィスビルの2階などを駐車場として活用し、外の道路とのアクセスも含めて整備する。料金は通常の2倍となる月額4500バーツ(1万4000円程度)。2010年のタイ進出後、11年7月時点では運営物件が2件、利用台数は2396台にとどまったが、約2年半で物件数は5.5倍の11件、利用台数は41%増の3372台に増えた。

11年に進出した中国・上海でも駐車場ビジネスを拡大している。経済成長が続く新興国では駐車場が不足しており、需要は広がる可能性が高い。

技術力で圧倒
ニホンフラッシュの住宅ドア、中国で稼ぐ
シルクロードに位置する新疆ウイグル自治区の都市、ウルムチ。ここで中国最大の不動産会社、万科集団(広東省)が、3000戸規模の大型マンションの分譲計画を進めている。都内の高層タワーマンション10棟分に匹敵する数の各世帯に室内ドアを供給するのが、徳島県小松島市ニホンフラッシュ(7820)だ。

「豊富な種類のドアをすぐにそろえてくれる」──。万科集団は数多くの取引先からニホンフラッシュを「A級サプライヤー」に選んだ。マンションの室内ドアは間取りごとに形や大きさが異なる。1980年代から設計や生産、営業の情報をコンピューターで管理してきた経験により、中国でも注文に即時に応えられる体制にしている点が評価され、現地の不動産大手との取引が拡大している。生産期間は最短で5日。業界で一般的な2週間よりも短い。

中国の住宅は全体の9割がマンションと言われ、品質と供給力で室内ドアの受注を増やしている。中国がけん引役となり、2015年3月期は3期連続で営業最高益の見通しだ。高橋栄二社長は「中期的に中国の売上高は(14年3月期と比べ約3割増の)100億円に拡大する」と息巻いている。

■OKIのATM、中国に大量納入
「日本のATMは紙幣の読み取り技術に優れている」──。よれよれになり、汚れた紙幣が使われることが多い中国。現金決済が中心で、現金の振り込みや引き出しにATMを使う。現金支払機(CD)が主流の欧米メーカーと対照的に、入金された紙幣を読み取り、装置内で分類して、預金引き出しに回せる「紙幣還流型」のATMはOKI(6703)と日立製作所(6501)の子会社が市場を2分している。

中国の大手銀行がOKIなど日本のATMを採用する背景には紙幣の読み取り技術の高さがある。偽造の疑いのある紙幣も判別できる点が強みだ。OKIの中国でのATM出荷台数は2013年3月期に大手銀行への納入案件があった反動で14年3月期は1割減の2万5000台になったもようだが、15年3月期は再び成長軌道に乗りそうだ。

中国以外では、15年3月期からインドネシアとロシアでも大手銀行にATM納入を本格的に取り組む。「その次の市場」として準備を進めるのがブラジル市場だ。技術力を背景に、インドでは今春に販売会社を設立するなど現金決済が中心の新興国で攻勢をかける考え。

日立も3月にインドのATM運営会社を完全子会社化し、16年3月期にはインドでのATM関連事業の売上高を前期の約3倍の300億円に引き上げる計画だ。

フマキラー蚊取り線香インドネシアで好評
赤道直下に位置し、湿気の多い島国のインドネシア。1年を通じて蚊が発生し、殺虫剤への耐性は日本の5倍と言われている。そこで活躍しているのがフマキラー(4998)の蚊取り線香だ。現地の蚊を研究し、殺傷力を高める成分にした。

実は世界約70カ国で事業を展開し、海外売上高比率が約4割を占める隠れたグローバル企業だ。海外での収益をけん引しているのが蚊取り線香で、90年に進出したインドネシアでは約30%のシェアを占めている。商品力に加えて200万店を超える現地の零細商店に「どぶ板営業」を仕掛け、取り扱いを依頼してきたことも売り上げの伸びにつながった。

海外で復活・新展開
壱番屋のカレー店、アジアで戦略転換
タイの壱番屋は外装をおしゃれに(バンコク)
タイの壱番屋は外装をおしゃれに(バンコク)

タイ・バンコクの通りに一見、カフェのような店構えのカレー屋がある。日本で1200店舗余りを運営するカレーの壱番屋(7630)の店舗だ。日本では短時間で食事を済ませる学生やサラリーマンが多いが、海外では意識的に店舗の雰囲気を変えて展開している。中国をはじめ東南アジアではデートや商談に利用する「おしゃれな場所」として幅広い年齢層が来店している。

当初はメニューの料金が現地の物価よりも高めに設定していたため、人気は盛り上がらなかった。そこで、打開策として価格の高さを逆手に取る戦略に切り替えた。一等地の立地にふさわしい、洗練された印象の内装の店舗に変えたところ、高級感を好む高所得者たちがこぞって利用するようになったのだという。

日本での客単価は約850円だが、中国やタイでも700円台に達しており大差はない。現在の海外店舗数はアジアを中心に約120にのぼり、今後は豚肉を使わない条件でインドネシアにも出店する計画だ。海外での店舗売上高は2014年5月期に83億円を見込み、5年前の09年5月期から6倍に増えそうだ。

サカタのタネ、トルコキキョウが欧州で復権
「日持ちが良くて、形や色も豊富。フラワーアレンジメントなら主役にも脇役にも使いやすい」――。サカタのタネ(1377)が販売するトルコキキョウの「ピッコロ」が今、欧州を中心に売れている。白や紫、ピンクなどがあり、一重咲きで見た目はシンプルな印象だ。実はこの花は「海外復活組」。かつては日本でも売れ筋商品だったが、豪華な印象を与える八重咲きに人気が集まったことで、現在では国内販売をやめてしまっている。

海外でのトルコキキョウの種のシェアを見ると、実はサカタのタネが75%を占める。その中でもピッコロは主力商品の1つで、英国やフランス、ドイツ、ロシアで販売を伸ばしている。2012〜13年の2年間の販売数量は、05〜06年と比べ13%増えた。

トルコキキョウは冠婚葬祭や店舗の装飾、贈答用など幅広い用途で使われている。栽培する期間を短くし、誰でも生産しやすくしたことも人気を押し上げた。花弁を崩れにくくしたため、輸送の途中で傷んでしまうといったトラブルも避けられる。利便性を高めた戦略で生産者が増え、海外でシェアを伸ばす一因になっている。

蛇の目ミシン工業、欧州の縫い物文化に浸透
日本では人気が一巡している家庭用ミシン。今、日本のミシンがロシアや欧州で売れている。蛇の目ミシン工業(6445)によれば、年間販売台数は約200万台だが、このうち実に9割以上が海外で売れている。販売先は100カ国・地域に及ぶ。

キルト作りなど縫い物を楽しむ文化はロシアや欧州で定着している。家庭でできる手軽な趣味として若い女性からお年寄りまでミシンを愛用する人は多い。モスクワでは2013年、外部の講師を招いて縫い物のワークショップを開くなど、販売促進に取り組んだ。
日経ヴェリタス2014年5月4日付]