藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

すでに受け皿はできつつある。

ビットコインのその後もあるが、ますます仮想通貨が台頭してきている。
誰もが気づいていることだが、今のドルや円も兌換紙幣でなくなった途端に実はその信認が揺らいだはずだが、「流通」という錦の御旗を得て、とうとうそのまま今まで来てしまったのである。
各国の中央銀行がマネーサプライをコントロールしていないだけで、しかも既に世界中に浸透しているポイント通貨よろしく、「どの決済通貨にどこまでの信頼を置くか」ということがこれからの通過競争のキモになってくるだろう。

ビットコインよろしく、むしろ「国の思惑の色がつかない」秩序ある通貨の発行と流通があれば、今世界中で金余りになっている基軸通貨の信認は、「どこかの国の最初の恐慌」が連鎖してその立場を失い、退避先として「秩序ある取引システム」へとお金が流れるのはそれほどおかしいことではないのである。
江戸末期から明治にかけて、日本の各地で発行されていた藩札や軍票と、それぞれの「札ごとの信用」が正に問われることになるだろう。
結果的に自国や関係国の「経済的な都合」だけを理由に、いわばアンフェアに発行されている通貨は、早晩その信頼を失い、基軸通貨から転落するということになるだろう。
ネットを利用して、そうした国に縛られない「統制ある通貨発行のシステム」が実現するのは、むしろ時代の要請なのではないかと思う。

ドルや元が暴走し、ユーロが分解し、円もその信頼を失うだろうことは、自分たちにも想像がつくが「その後」がどうももやもやとしていた。
これからの仮想通貨や企業の発行するポイントが、そうした軋轢の緩衝材になり、流通の助けをしてゆくのがこの近い将来の姿ではないだろうか。

ビットコインだけじゃない 「通貨の自由」競演

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2014/4/29 7:00

「漫画同人誌、150モナー時価で約750円)で売ります」「パソコンの中古部品は2000モナー」。20日、日曜日で閑散とする東京都中央区オフィスビルで、ある部屋だけは熱気に包まれていた。約40人の若者らが仮想通貨のモナーコインで買い物を楽しみ、その未来を語っていたためだ。

 モナーコインはネット上でやり取りされる暗号データで、コンピューターで数式を解くことで入手できる。仕組みは仮想通貨の先駆けとなったビットコインと同じ。ネット掲示板で議論が始まり、これに参加した技術者が開発した。2014年1月に発行が始まり、今ではモナーコインが使えるネット通販サイトや円との交換所まで登場した。

 

■「信者」が価値生む

 

 


仮想通貨が続々誕生している。その現状と将来を、専門家と日経ヴェリタス編集長が解説

 高度な技術が必要とのイメージがある仮想通貨だが、実は専門知識のある個人ならパソコン一つで簡単に開発できる。問題はその価値を信じる人がいるかどうか。古代に貝殻が通貨として流通したのも、多くの人が価値を認めたためだ。モナーコインは、掲示板の参加者らが“信者”となって価値を支えている。
 

 ヘリコプターからマネーをばらまくように仮想通貨を無償で配る──。アイスランドで、仮想通貨のオーロラコインを33万人の全国民に配布する社会実験が始まった。「皆が持っている」との安心感をコインへの信頼につなげるのが狙いだ。

 3月25日、まず人口の1割に当たる3万人が配布を希望し、100万オーロラコイン(当時の相場で7億円)がネットを使って配られた。政府は一切関与せず、民間だけで壮大な実験が進む。開発者の一人であるオディンソン氏は「アイスランドの通貨クローナはこの50年間、対ドルで99%減価した」と主張。政府・中央銀行への不信感が開発の動機になったと語る。

ビットコインの大手私設取引所、マウントゴックス(東京・渋谷)の破綻から2カ月。同社は再建を断念し、会社清算の破産手続きに入った。しかし、世界各地で類似の仮想通貨が続々と誕生。勢いは止まらない。

 「通貨発行で先住民族の主権を確立する」。米中西部サウスダコタ州に住むラコタ族は2月、部族内で使われる独自の仮想通貨、マザコインを開発した。慢性的な貧困状態にある先住民族。若者が金融やIT(情報技術)に関心を抱けば地域経済が改善し、米連邦政府に対抗する力を養えるとの狙いがある。

 

■オマケが進化

 

 新たな通貨として広がるのは、暗号技術を駆使した仮想通貨には限らない。顧客の囲い込みを狙う日本企業が「オマケ」として発行しているポイント。全国で年1兆円のポイントが発行され、現金を持たずにポイントだけで生活する人さえ出てきている。

 「さらに『Tポイント高』が進んだぞ」。約7万店で使えるTポイントの運営会社、Tポイント・ジャパン(東京・渋谷)ではアンケート調査などを通じて、自社のポイントと他ポイントとの仮想交換レートを算出している。人気のあるポイントほどレートが上がっていくためだ。北村和彦副社長は「ドルが世界の基軸通貨となったように、より便利なポイントに集約されていく」と話す。いわばポイント発行権の争奪戦だ。

 既存の通貨を使って税金を集め、マネーの量を調整してきた国家は警戒する。しかし、ITとともに我々の生活に浸透する新たな通貨を阻むのは難しい。

 ドルと金の交換が停止された1971年以降、国家への信頼をよりどころにする法定通貨が世界を制した。それから40年余り。通貨発行の独占は崩れ、国家、地域社会、企業、個人が自由に発行を競う時代がやってきた。(詳細は27日付紙面に)


秋山文人菊地毅、菊池貴之、大酒丈典、シリコンバレー=兼松雄一郎、ニューヨーク=蔭山道子、湯浅兼輔が担当した。
 
日経ヴェリタス2014年4月27日付