毎年この時期から、就職についての質問をもらう頻度が増えてくる。
・「どんな業界、職種、企業に就いたらいいでしょうか」という問いには
「あなたが'どんなことをやりたいか'次第だよ」というのは常套句になっている。
・先日「どんな保険に入ったらいいのかな」という友人に対し、同席していた別の友人が「お前の人生設計次第だよ」と答えていた。
さらに、休日の喫茶店では不動産屋と思しきスーツの男性と対面する若いカップル。
・「お探しは賃貸ですか、分譲マンションですか戸建てですか、新築ですか中古ですか、駅近ですか郊外ですか、ご予算は?」などと聞かれていた。
話はまとまらず「そういうことをお考えになってからぜひご相談を」と相成っていた。
自分が社会人になったのちの40、50歳でどんな人物になっているのか、出世しているのか、結婚して家族がいるのか、親兄弟はどうしているか、健康か、そんなことをぼんやり考えていると、森の中をさまようような感覚になり、つい「みんなが歩いている方向で」とか「看板が出ているところ」にしか目が向かなくなる。いわゆる思考停止である。
同様のものに
「どんな学校に行ったらいいか」とか
「理科系か文科系か」とか
「留学すべきかどうか」とか
「就職先どうしよう」とか
「転職すべきか」とか
「結婚すべきか」とか。
いろいろある。
何の話か。
軸足というか「芯」が決まらねば、方法論など決まらない。
という当たり前のことを自分たちは知っているのに、しばしばそれを忘れる。
"how to"に走るわけである。
だが「何をやりたいか」という目標の設定こそが難しい。
「それができてりゃ、誰がお前なんかに聞くかい」という怒号が聞こえるが、ちょっと許して。
だから考えることを整理しておこう、というような話なのである。
(つづく)