藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

国際バブルの果て。

日本の財政赤字を気にする記事は多いし、政府関係者の発言は核心に触れていないものが多い中で、極端すぎず興味深い。

 ただしだ、黒田日銀総裁の唱える2%インフレ目標が現実味を帯びてくる中で、長期金利だけが10年物国債で0.5%の水準に留まるなんて、どう考えてもあり得ない。必ずや2%はおろか、3%から4%近くへまで急上昇しよう。

異次元緩和でインフレ目標が達成されたとしても長期金利がただでは済まないという指摘。そして

 ただしだ、黒田日銀総裁の唱える2%インフレ目標が現実味を帯びてくる中で、長期金利だけが10年物国債で0.5%の水準に留まるなんて、どう考えてもあり得ない。必ずや2%はおろか、3%から4%近くへまで急上昇しよう。

まず身近な金利が上昇する。
自分も社会人になってからは金利は下がり続け、当時は3%くらいあった定期預金の金利もすぐに0.%台になって驚いたものである。
今、住宅ローンでさえあまり気にすることのないローン金利や変動金利貸し付けが5-10倍にもなったらこれまでの借金の概念とは全く違ったものになるのは道理である。
二十年も続いた借金への概念はこの度の金融緩和で全く違ったものになる可能性が高い。

債券相場は一度崩れると、収拾のつかない価格下落に見舞われる。債券は金利裁定商品だから、金利上昇とともに社債など全ての債券価格が連鎖して値崩れする。暴落相場でも逆行高する株もある株式相場のようにはいかない。

国債が一旦未達になり、買われなくなると「誰も買わなくなる」という点も想像しにくい。
自分がリアルで知る限りそんな状態は見たことがないからだ。
過去の歴史がそのままそっくり繰り返されることはないけれど、過去の経験を基に冷静に今の状態を考えてみることは重要だと思う。

ここで忘れてならないのが、われわれ長期投資家の応援企業群である。一般生活者から見て、何があってもなくなっては困る企業群であれば、どんな経済事態に陥ってもビジネスは続いていく。

 たとえ国債が暴落し金融機関が経営難に陥ろうと、たとえ長期金利が急上昇して倒産企業が続出しようと、日本人1億2710万人の毎日の生活は変わらず続くのだ。人々の生活を支える企業群のビジネス活動は、一時たりとも途絶えることを許されないのだから。

バブルの崩壊の中でも「泡と消える部分」と、「実業」とに二分されるであろう中で「泡の部分」で慌てることにはなりたくないものである。
自分の今の仕事とか暮らしとかが、消える部分にいないかどうか、いつ激変が起こっても生活感のあるところで生きていきたいものである。

15年を揺るがす「国債バブル崩壊」の足音(澤上篤人2015/1/25 7:00日本経済新聞 電子版
撮影:大沼正彦

早いもので、もう新年を過ぎて1カ月弱が過ぎようとしている。2015年からは、いよいよ株式投資、とりわけ企業を厳選するアクティブ運用が大きく花開くこととなろう。
どうして選別投資が面白くなるかって? いろいろ理由がある。それらを一つ一つ見ていくとしよう。

金利上昇で多くの産業や企業が脱落する
アベノミクスや日銀の異次元緩和もあり、株価全般は15年も上昇トレンドをたどると思われる。何がなんでものデフレ脱却や景気浮揚に向けて、これでもかこれでもかと成長率を高める政策が打ち出されているのだ。企業活動は否応なしに活発化していくだろうから、株価は上昇トレンドを追って当然である。

ただしだ、黒田日銀総裁の唱える2%インフレ目標が現実味を帯びてくる中で、長期金利だけが10年物国債で0.5%の水準に留まるなんて、どう考えてもあり得ない。必ずや2%はおろか、3%から4%近くへまで急上昇しよう。

そうなると、日本の金利は1992年9月以来、22年ぶりの高水準に入っていくわけで、経済活動のあらゆる分野で相当な混乱をきたすに違いない。何しろ、ゼロ金利状態になってからが長い。金利が上昇することが、どんなものか想像できない人たちが一杯いる。右往左往の大混乱となろう。

早い話、住宅ローンを変動金利で設定している人たちは、毎月のローン返済額が急増して返済に大慌てとなる。住宅ローン破綻も続出しよう。
産業界で見ても、超低金利を前提にして商取引しているところが大半といってよい。そういった企業は金利上昇によるコスト負担に追いまくられよう。企業倒産の多発も免れない。
昔から、企業倒産が一番多くなるのは不況のドン底ではなく、景気回復の初期段階と相場は決まっている。景気回復に伴って金利が上昇に転じ、借金まみれの企業が支払い利息のコスト負担に耐えられなくなるからだ。

今回の金利上昇は22年ぶりということもあって、産業界全般へのしわ寄せは半端なものではない。どういった産業や企業への影響が大きいかは立場上、何のコメントもできないが、相当広範囲まで金利上昇リスクが及ぶことになろう。

国債の急落で金融界も混乱
どうして2%のインフレ目標が現実味を帯びてきたら、長期金利は3%から時と場合によっては4%近くにまで急上昇するのか?
この図式は簡単で、物価が2%に近づけば、現在保有している年0.5%前後でしか回らない低利回りの国債では、全くつまらない。一刻も早く、年2%で回る国債に乗り換えようという動きがパッと広がるからだ。債券は売りで値が下がると、その分だけ利回りが上昇するので乗り換え売りが膨らむと、国債の流通利回りはあっという間に2%水準にまで上昇する。

もっとも、ひとたび乗り換え売りが出てくるや、2%の利回り水準では止まらない。何しろ、日本中で大量に保有されている国債が一斉に売られるのだ。一方、そこで買おうとする投資家など存在しない。なぜなら、金融機関はどこも腹一杯に国債を抱え込んでいて、売り逃げに走りたい立場にあるのだから。また、先物の売りも集中するから、国債相場は急落していく。その勢いで、長期金利は一気に3%あるいは4%あたりまで跳ね上がるというわけだ。

その時になって、国債はバブル状態にあったと改めて認識されよう。債券市場は蜂の巣をつついたような大騒ぎとなるだろうし、国債価格の急落で多くの金融機関など国債保有者は押しなべて巨額の評価損に大慌てとなる。

債券相場は一度崩れると、収拾のつかない価格下落に見舞われる。債券は金利裁定商品だから、金利上昇とともに社債など全ての債券価格が連鎖して値崩れする。暴落相場でも逆行高する株もある株式相場のようにはいかない。

日本の金融機関はどこもバブル状態とまでいえるほどに、国債を買いまくってきたから、右往左往の大混乱は金融界全般に及ぶ。売るに売れないまま評価損はみるみる膨れ上がっていく。かといって、売りを急げば価格下落をさらに加速させ、市場金利はどんどん上昇していくことになろう。

■株価も暴落するが、V字形で急上昇する
国債バブル崩壊は株式市場全般の急落にもつながる。ただし、それは一時的な暴落に止まろう。もっとも、国債を大量保有している銀行など金融株の多くは、売るに売れない国債の評価損急拡大で株価の大幅下落に沈んでいく。

その横で、金利上昇を乗り越えて業績を伸ばせる企業群の株価はV字形で急騰しよう。債券相場の崩れで行き場を失ったマネーが、業績の裏付けがある企業の株式へ集中するからだ。
ここで忘れてならないのが、われわれ長期投資家の応援企業群である。一般生活者から見て、何があってもなくなっては困る企業群であれば、どんな経済事態に陥ってもビジネスは続いていく。

たとえ国債が暴落し金融機関が経営難に陥ろうと、たとえ長期金利が急上昇して倒産企業が続出しようと、日本人1億2710万人の毎日の生活は変わらず続くのだ。人々の生活を支える企業群のビジネス活動は、一時たりとも途絶えることを許されないのだから。

東日本大震災を思い出すといい。国は何の役にも立たなかったが、多くの企業が被災地の方々にガソリンや生活物資を届けようと、それこそ不眠不休で頑張ってくれたではないか。そういった企業群に絞り込んだ長期投資を進めていけば、世の中がどんな事態に陥ろうと何の心配も無用である。

むしろ株式は大きく買われる可能性が高い。債券市場が崩れ、金融株などが売られれば、それだけ行き場を失ったマネーが株式市場に集中するという読みだ。


澤上篤人(さわかみあつと)
 1973年ジュネーブ大学付属国際問題研究所国際経済学修士課程履修。ピクテ・ジャパン代表取締役を務めた後、96年あえてサラリーマン世帯を顧客対象とする、さわかみ投資顧問(現さわかみ投信)を設立。
[日経マネー2015年2月号の記事を基に再構成]