藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

刺激に惑わず。

情報があふれるここ三十年。

米ニューヨーク大教授のクレイ・シャーキーは「人類にはテレビなどを見てぼうっと何もしていない時間が毎年1兆時間ある。例えば(ネットの百科事典といわれる)ウィキペディアの執筆に人々がかけている時間はそのわずか数千分の1。多くの人をネットに動員すれば壮大なことができるはずだ」と話す。

この時間。
これからの人類はこの情報化との戦いではないだろうか。
絶え間ない情報の波との対峙の仕方。
刺激に反応していてはアッという間に時間が過ぎる。
昔の新聞以上の情報とどう付き合うか?という新しい命題である。
情報が得られなかった時代から過多の時代へ。
そんな時代の変わり目に自分たちはいるのに違いない。

絶え間なくニュースが駆け巡る時代に、どれだけ必要な情報と接し、またどれだけ「必要でない情報を遠ざけるか」ということはこれからの自分たちの生活習慣に重大な影響を持っている。
あふれる情報は、実は毒でもある。
一度"隔絶した世界"から今の自分を見つめることも必要ではないかと思う。
本当に大事なことを探すためにも、「立ち止まってみる」という勇気が必要な気がするのである。

驚異 衆知の力 余った1兆時間どう使う
ネット 人類 未来 第1部 巨大データの光と影(2)
 ジョニー・デップマイケル・ジャクソン織田信長イチロー――。古今東西の有名人がインタビューに応じる。
パソコンを1人1台配布する横国大付属横浜中学校(横浜市)
■変わる授業
 「なぜ俳優に?」「次の出演作は決まった?」「明智光秀は許せない?」。容赦のない質問が飛ぶが、聞く方も答える方も、実は本物の有名人や記者ではない。横浜国立大付属横浜中の英語の授業風景だ。
 ここでは教科書と図書館がパソコン。授業に合わせ、インターネットで調べて議論する。中3生の松永芽依(15)は「使いこなすのはたいへん。でもネットはいちばん知識量の多い教科書だから」と話す。
 生徒に流れ込むのは、ネットにつながった24億人の知恵。日本は総務省が2010年度から「フューチャースクール推進事業」として児童生徒に1人1台パソコンを使う実験を全国の20校で進めている。だが、韓国や欧州の一部ではすでに教科書をタブレット端末に移行し、先を行く。遅れは許されない。
 「衆知」の力を生かす。それは教育現場だけではない。
 ▽運転中にデジタル機器を安全に使うことができる方法があれば1万ドル
 ▽新薬開発に行き詰まった。突破口を見つけてくれたら800万ドル
 米ボストン郊外にあるベンチャー企業、イノセンティブ。01年にできた同社では企業や政府、非営利団体などが自分で解けない「課題」を集約。報酬と一緒にネット上に公開して解決方法を募っている。「請負人」として登録するのは約200カ国26万人にのぼる研究者や技術者などだ。
 「自前の組織に閉じこもっていては研究や開発のコストが高く、時間もかかる」。社長のドゥエイン・スプラドリン(46)は話す。問題解決の確率は今のところ、5割程度だという。
「ネット 人類 未来」 ライフログ 人生まるごと記録(日本経済新聞テレビ東京連動企画)
 米ニューヨーク大教授のクレイ・シャーキーは「人類にはテレビなどを見てぼうっと何もしていない時間が毎年1兆時間ある。例えば(ネットの百科事典といわれる)ウィキペディアの執筆に人々がかけている時間はそのわずか数千分の1。多くの人をネットに動員すれば壮大なことができるはずだ」と話す。
 年間1兆時間。これまでは単に費やすことしかなかった時間が、ともに創造する時間に変わる。シャーキーはそんな現代を「思考の余剰時代」と呼んでいる。
 「ウシャヒディ」という名前の無料プログラムが世界に広がっている。07年の大統領選後にケニアで起きた部族間暴動がきっかけだった。
 報道規制があり、どこで何が起きているのかがだれにもわからない。そんな中、1人の弁護士のブログに情報が集まり始めた。「こんなに多いのではとても1人で処理し切れない」。すると2人のプログラマーがわずか72時間で、ネットに寄せられる情報を地図などに書き込んでいくサイトをつくった。
■情報が逆流
 散らばる情報を集め、だれもが見られる場所。便利さが評価され、メキシコの選挙違反の追跡や米ワシントンの除雪状況のとりまとめなど、3年弱の間に世界中でウシャヒディは使われ始めた。
 情報の発信者はもう政府やメディア、企業だけではない。ソーシャルメディアの普及もあり、24億のネット利用者から大量の情報が逆流する時代だ。がらくたもある。だが宝も多い。ネット社会を「砂上の楼閣」にしないために、人類の知恵が試される。(敬称略)