藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

ライフスタイルを選ぶ。


ミニマリストとまではいかないが、二十代とはずい分生活の仕方も変わってきた。
自分だけかと思いきや、周囲全体がそんな感じだ。
バブルの様子を知るものとしては不思議な感じがする。
若者は物も消費も貪欲で、もっともっと、というのが普通だと思っていたが今はそうでもない。

美味しいものがあるとか、高級品やブランドものがあると聞けば、それがどんなに高価でも買いに走っていた人たちがいなくなっている。
そりゃ個人消費も落ちるだろう。
企業や政治家は今でも消費を促しているが、とうに一般市民がそっぽを向いているような気がする。

先日量販店に立ち寄り、パソコン売り場が閑散としていたのはそれとして、帰りにあまりに人のいないテレビ売り場をうろついていたら、店員さんが「4Kテレビの美しさに皆が驚くが、日本人は全然買わない」と嘆いていた。
平日夜の売り場には一組の白人と東南アジアの団体しかいなかった。

思えば、物が欲しい時代には「それ」の所有を欲していた。
量販店には物が溢れていたけれど、それを自宅に持って帰って初めて安堵していたのだと思う。
松下翁は「デパートに預けてあると思いなさい」と説いたというが、「所有」ということへの価値観が全く変わりつつあるのだと思う。

不動産も消費財もレジャー機器も、それを使う段には便利で楽しいが「所有のコスト」というのは欲しい気持ちの時にはなかなか分からないものだ。
戦前生まれの先輩は「妾を持つのが男の甲斐性だった」と仰っていたが、所有するということは案外大変なことなのである。

そんなトレンドにあっては「それでも所有したいもの」をゆっくり考える必要がある。
時間の使い方(ライフスタイル)とか、仕事とか趣味とか友人家族とか、そんな周囲との付き合い方が見直されてくるのではないだろうか。
若い人は草食世代、などというけれど段々バランスが取れている感じがするのは自分だけだろうか。
自分のライフスタイルはまだ揺れている。

必要最小限のモノで暮らす「ミニマリスト」の生活とは?

ミニマリスト」の佐々木典士さんの部屋。寝るとき以外、床には何も置かれていない状態だ(本人提供)
 先月12日に発売された佐々木典士さんの書籍「ぼくたちに、もうモノは必要ない。」が、5万部を突破するヒット作になっている。部屋に置く物を自分にとって必要最小限にする「ミニマリスト」の生活を提案するもので、物を減らすと思考や生き方も変わってくるのだという。なぜ人々は、「ミニマリスト」生活に惹かれるのだろうか。
 千葉県千葉市の大学院生の男性(25)が住む一人暮らしの部屋には、机、本棚、ベッド代わりにも使う長イスがあるのみ。去年まで住んでいた宮城県仙台市の部屋も、机代わりに使えるもらいものの足踏みミシンとピアノが置いてあるだけで、夜は寝袋で就寝していた。食器は茶碗が1個、どんぶり1個、コップ2個、タッパー2個。フライパンと鍋が1つずつ。テーブル代わりには木の板を使っていた。自分に本当に必要なものだけを身の回りに置く生活をして、2年以上になる。
千葉市の大学院生の男性の部屋。長イスをベッド代わりにしている(本人提供)
 以前は家具にこだわりがあって高価なものを買い、服もお気に入りのブランドに月3万円程度のお金をかけていた。そんな生活を見直す契機になった一因は、2011年の東日本大震災仙台市の大学に通っていた男性は、震災で多くのものが失われていく光景を目の当たりにして、「積み上げたものの意味のなさを感じた。物を所有するということの優先順位が下がった」と話す。

 大学を休学して被災地のボランティアで現地に滞在することが多くなり、家に帰ることが少なくなった男性。「意外と物がなくても生きていける」と感じたという。復学した2013年、市内の別の場所に引越した。自分にとって本当に大切なものは何かを考え、部屋に必要最小限の物だけを置くことにした。すると、「自分を律することができ、頭がクリアになった。心が散漫せずに集中できるようになり、考えが整理しやすくなった」と生活の変化を感じた。「身の回りの物について考えることは、自分の心や生活と向き合うことにつながる」と、男性は話す。

「見栄を張らず、他人と比べない生活に」
 「ぼくたちに、もうモノは必要ない。」の著者、佐々木典士さんは「ミニマリズムとは単に物を極端に減らすことではなく、人それぞれが自分に本当に必要な物を考えること。自由な一人暮らしでしか実践できないものではなく、家族がいてもそれぞれが大切なものを軸にして物を減らしていけば、ミニマリズムになる」と説明する。佐々木さんの部屋には洗濯機や冷蔵庫などの家電はあるが、居間の床にはテレビもテーブルもなく、何も置いていない状態。持っている服も全部で合わせて10数着程度だ。

 かつては本が山積みになり、物があふれる部屋に住んでいたという佐々木さん。「ミニマリスト」という言葉に出会い、部屋から必要以上の物を減らしていくうち、少しずつ生活や考え方が変化していったという。

 「自分にとって本当に必要なものを自覚したことによって、『こんな服を持っていなきゃいけない、こんな家に住んでなきゃいけない』など他人の生活と比較したり、見栄を張ったりすることが全くなくなった。他人の生活と比べることがなくなったことで気持ちが楽になり、将来への不安がなくなった」
 
 佐々木さんは「ミニマリスト」の考え方が支持を広げている背景を、「今の時代、誰かと比較して将来を不安に思ったり、現在の生活水準を維持できなくなることを恐れたりしている人が多い。東日本大震災の影響で価値観が変わった人も多く、何か起こったら身軽に行動できる生活が時代に即しているのかもしれない」と推測する。

 物があふれる時代に、「本当に必要な物か」を考えながら物を減らしていく「ミニマリスト」たち。身の回りにある物の意味を考えることが、物を選ぶ自分自身の行動や生き方を見つめ直すいい機会となるのかもしれない。(安藤歩美/THE EAST TIMES)