藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

人生の一部


居酒屋やレストランに行く。
何か「その店」に行く理由がある。
そこの料理屋魚が旨いとか、亭主の人柄がいいとか。
旧友と食事に行くことになり「何が食べたい?」と聞いたら「話が出来ればいいよ」と言われて、あっそういうもんかと思った。
そういえば先輩に連れられて行った居酒屋で「ここはサバ煮が旨いんだ」という先輩の物腰に、何とも言えぬ大人の雰囲気を感じたものである。

サバだけを食べに来たのでもなく、話だけをしに来たのでもなく。
けれどどちらも大事にしている。
大人な感じだ。

ご飯を食べるとか酒を飲む、というのはそれ単体でも重要なことだが、実は大事なのはそこで過ごす時間だ。
一人の時も数人で卓を囲む時も「そこで過ごす数時間」は貴重な意味を持つ。
思わぬ騒々しかったとか、食事が今ひとつだったとか、逆に饗応がとても良く思った以上に話が弾んだ、なんてこともある。

自分も定期的に新しいお店を訪問するけれど、実は「本当の名店」に出会って、ほとんどそのお店だけて事足りる…なんていう究極の一軒を探しているような気がする。
そんな店が人生に四、五軒もあれば十分なのかもしれない。
だから段々一人で飲む機会も増えるのだろうと思う。