藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

残り時間の使い方。

ようやく「医療と人間」のテーマが中心になりつつある、という気がする。
医療と厚生と本人のQOL(生き方)、といった要素がようやくバランスを取れるのではないだろうか。

話題のオプジーボを使った治療は一千万単位の費用がかかり、しかしそもそも「効かないタイプのガン」もあるという。

延命か治療か生活か。
つまり残りの時間をどう使いたいか。
という本筋の議論がようやく始まる。

完治を目指して、まだまだ新しい治験や新薬の開発も続くだろうけど、「今の医術」でどのような選択肢があるのか、ということを正確に捉えるのはとても重要なことだと思う。

これって実は病気になっていなくとも同じ話なのだが、どうも「いざ」という時が来ないと行動できない自分には毎度呆れて仕方ない。
呑気につける薬、はなさそうだ。

抗がん剤治療の存命年数、緩和ケアと比較 経産省など、患者800人生存年数調査

 国立がん研究センター経済産業省は、高齢の患者に対する治療について、薬剤など治療法の違いでどれくらいの延命効果があったかを比べる検証を始める。抗がん剤を積極的に使った場合と、苦痛を和らげる「緩和ケア」に重点を置いた場合を比較。治療法による存命年数の差異などを客観的にとらえ、患者の容体や費用対効果に見合った適切な治療法を探る。

 調査結果は年内にも公表する。2008年度以降に、がんセンターに入院したおよそ800人のがん患者が対象だ。年齢は65歳以上で、手術などの後、抗がん剤、もしくは緩和ケアに重点を置いた場合にそれぞれどのくらい存命できたかを比較する。肺がんや乳がんなどがんの種類別や年齢別に分類する。

 調査費用は医学分野の基礎研究などの司令塔として15年に発足したAMED(日本医療研究開発機構)の研究費でまかなう。経産省はAMEDに参加し、医療の質向上や産業育成にも重点的に取り組んでいる。

 抗がん剤はがん治療に効き目を発揮する一方、痛みや吐き気といった副作用を伴うこともある。高齢者はがん以外の病気を持つ場合もあり、抗がん剤の副作用で体力が落ちることがある。

 一方、緩和ケアで患者の苦痛を減らすことで飲食など日常に近い生活を送れるようになって回復につながるとの指摘もある。米国の研究では、末期のがん患者に対して緩和ケアを積極活用した治療の方が延命効果が認められるといったデータも得られている。

 日本では治療実績などの情報開示がなかなか進まず、高額な薬剤がそれに見合うだけの延命効果をもたらしているか、などを判断する基礎的なデータがそろっていない。日本の当局内でも本格的な比較検証が欠かせないとの声があがっている。

 治癒のデータはこれまで5年生存率で比較されるのが通例。経産省によると、抗がん剤と緩和ケアに分けて存命年数を大規模に検証した事例もこれまでにないという。

 今回はまず存命年数についてデータを集めるが、来年以降は患者の感じる痛みや、日常に近い生活が送れるかといったQOL(生活の質)の違いも調査対象とする方針だ。

 厚生労働省によると、14年度の国民医療費は前年度比1.9%増の40兆8071億円となり、8年連続で過去最高を更新した。抗がん剤は「オプジーボ」など高額な薬品の取り扱いも議論になっている。同省は高額化の一途をたどる医療費の効率化に向け、抗がん剤などの高額薬についても費用対効果を厳しく見極め、適切な投薬などを促していく姿勢を示している。

 そうした判断の基礎となるデータを集める上でもがんセンターと経産省の取り組みは試金石になるが、医療関係者らの間では情報公開に慎重論も強く、同様の動きをどこまで広げられるか不透明な面もありそうだ。