藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

競争原理。

日本は「勤続年数の長い人が多い」と経済の成長率は低いらしい。

つまり「転職率」が高く、"どんどん転職する社会"の方が成長率が高いらしい。
つまり今のところ「成長するならどんどん辞める方がいい」ということである。

果たして「フリーランス」のように、どんどん自分の価値を計って流離(さすら)うのか。

それとも組織の中で活躍するのか。

例えば内閣府によると、リーマン危機直後の09年1〜3月に日本企業は700万人近くの余剰人員を温存し、多くが社内失業者になった。

つまり、「社内にはいるけれど稼げない人たち」の存在もやむなし、ということがまかり通った。

国の経済の成長率、とかはともかく自分たちが望む「生活の形」が先行するのではないだろうか。
"成長か停滞か"という指標では説明しにくい「共生」とか「停滞」という言葉が日本の社会にはあるような気がする。

転職しやすさ、賃上げを刺激 勤続短い国は潜在成長率高め

 働き方改革の中で企業や仕事を移って働き続けるための環境整備がクローズアップされている。海外では転職のしやすさ(流動性)が高成長につながる傾向が認められ、賃上げへの波及効果も期待できそうだ。完全失業率がバブル期直後並みの水準に低下するなど労働市場が引き締まる今が、雇用の柔軟性を高める好機であることが浮かび上がる。(川手伊織)

南欧3国に次ぐ

 はじめに2015年の中小企業白書から簡単な問題をひとつ。大企業よりも中途入社や離職が多い中小企業にとって人材の確保は大きな課題だ。では中小企業は引き留め策として「安定した雇用の保証」と「賃金の向上」のどちらの効果が大きいとみているだろうか。

 答えは「賃金の向上」だ。70%の企業が取り組んでいると答え雇用安定(63%)を上回る。では労働者の移動がもっと活発になると大企業を含め経済や賃金にどんなインパクトをもたらしうるか。国際機関などのデータから分析してみた。

 まず経済協力開発機構OECD)や米労働省のデータをもとに、日米欧など35カ国の「勤続10年以上の従業員の割合」を調べた。データがそろう12年時点でみると日本は47%。ギリシャ、イタリア、ポルトガル南欧3カ国に次いで高い。

 経済の中長期的な実力を示す潜在成長率では日本は0.3%だった。こちらは南欧3カ国に次ぐ低さだ。

 勤続年数が短い米国やオーストラリアは潜在成長率も高めだ。35カ国全体では「勤続10年以上の割合が10%低いと、潜在成長率は1.4ポイント高い」という関係性が浮かぶ。

 もちろん潜在成長率を左右する要素はその国の人口や投資(資本投入量)、技術革新の度合いなど様々だ。だが労働投入という切り口から見てみると、転職が活発になるほど人的資本が収益力のより高い成長部門に移動しやすくなり、経済全体を底上げするという流れを裏付けているようだ。

 潜在成長率の上昇に伴って経営者は経済成長の先行きに楽観的になる傾向も強い。強気の収益見通しを立てやすくなる分、賃上げにも応じやすくなる。内閣府の分析では、企業が成長率予測を1ポイント引き上げると、1人あたり人件費の前年比伸び率も1.3ポイント高まる。

 野党などでは安倍政権が目指す解雇の金銭解決制導入や「脱時間給」で非正規化や賃金カットが広がるとの反発が強い。だが脱時間給で職務本位の採用が進むなどして転職しやすい環境になれば、経済の生産性が高まって働き手への恩恵も広がりそうだ。

 第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは「労働市場が流動化するほど企業は人材流出を避けるため、生産性に見合った賃金を支払うようになる」とみる。

■ベアに二の足

 裏を返せば硬直的な雇用慣行が賃上げの勢いをそいでいる可能性がある。企業は景気後退期に正社員を中心に雇用を守る。例えば内閣府によると、リーマン危機直後の09年1〜3月に日本企業は700万人近くの余剰人員を温存し、多くが社内失業者になった。この反動で景気回復期に入っても総人件費の高止まりにつながる基本給の底上げ(ベースアップ)などに慎重になりやすい。

 多くの企業が長期雇用を大前提とする日本。流動性は少しずつ高まっているとはいえ、社会で転職を評価する風土は乏しい。賃上げの流れが正社員に及ぶにはまだ時間がかかりそうだ。