藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

問題は問題ではない。

オリンピック開催も相まって、慢性的に人手不足が囁かれているけれど。

自分の半世紀ほどの人生経験で言えば、「危機になればなんとかする」のが人間の力なのだと思える。

典型的な戦後世代の自分で(つまり戦争は知らない)も、オイルショックとか環境汚染とか、貿易摩擦とかバブル崩壊とかリーマンショックとか。
新聞記事だけ見ていれば「日本はもうお終いかな?」と思えるような事態も、ことごとく切り抜けてきている。

プラザ合意なんて、普通だったら「もう貿易は止めようか」と考えてもいいくらいの円高だったろう。

苦しいなら、苦しいなりになんとかする。
というのは日本人の十八番というか、人間って「そういう火事場ヂカラ」を出すもののようだ。

石油が枯渇する、と思えば代替エネルギーとかシェールガスとか。
レアメタルがないと思えば別の鉱物で発明したり。

「課題に対する飽くなき姿勢こそが人間」なのだとしたら、なかなかの"不屈の生き物"というほかない。

課題が見えて、大変大変、と騒いでいるうちは、実は充分克服できるというサインなのかもしれない。

本当の問題のことを考えておかなきゃいけないな、とも思う。

東京五輪へ建設ラッシュ 景気 試される波及力(3) 人手足りず投資抑制も

 2020年の東京五輪関連の建設工事の本格化を目前に控え、現場責任者の採用競争が激化している。

 C4(横浜市)の求人サイト「施工管理求人ナビ」には、秋口に向けた求人が大手ゼネコンだけで2千人以上集まった。「大手ゼネコンは1月ごろから東北被災地のプロパー社員を関東に戻している」(同社)。この余波で東北の震災復興工事は派遣技術者への依存が強まっている。賃金が上昇し、年収で見ると関東と比べて100万〜200万円ほど高くなっているが、それでも人手が足りない。

■物件を選別受注

 「マンションはJR山手線の内側の案件しか受注しにくい」(準大手ゼネコン幹部)。人件費に加え、鉄骨などの資材費も上昇し始める中、ゼネコン各社はコストと工期に見合った優良物件の選別受注を始めた。20年以降に物件の発注を遅らせる不動産会社も出てきた。「都心で新たなプロジェクトを仕込むのを控えている」(不動産大手幹部)

 「20年の東京五輪がもたらす効果は、景気拡大でなく、民間投資の抑制だ」――。BNPパリバ証券の河野龍太郎氏が3月に出したリポートがちょっとした話題を呼んでいる。

 根拠はこうだ。3%を割り込んだばかりの完全失業率が2%まで下がり、さらに今は職を探していないが「仕事があればすぐに就ける」人が全員就業しても、新たに確保できる労働力は99万人。東京都がはじいた五輪の雇用創出効果の194万人の半分にとどまる。

 五輪関連の雇用を優先すると他の業界で生産やサービスが滞り、設備投資を速やかに行えないといった弊害が出て、景気の足を引っ張る可能性があるという。

■サービスを縮小

 人手不足は抑えようがない。働き手に当たる15〜64歳の生産年齢人口はピークから20年かけ1千万人減り7728万人となった。国立社会保障・人口問題研究所の推計では東京五輪までにさらに300万人減る。

 小売り・外食では人手不足の緩和と働き方の見直しに向け、営業時間の短縮やサービスの縮小が相次ぐ。

 ロイヤルホールディングスが運営する「ロイヤルホスト」は、1月までに24時間営業を全面廃止した。黒須康宏社長は「減収は覚悟せざるを得ない」と腹をくくった。

 みずほ証券の上野泰也氏は「長期的な人口減少の見通しがたっていたのに、日本企業は供給過剰の構造を温存してきた」と語る。不採算店舗の閉鎖やニーズの薄いサービスの廃止が「身の丈に合った経営」につながる可能性を指摘する。

 とはいえ人手不足は、日本の経済成長力を少しずつむしばんでいく。三菱総合研究所の試算によると、16〜20年の潜在成長率は0.4%に下がる。放置すれば26〜30年には0.1%に落ち込む。働き手不足が0.5%分押し下げる。

 慢性的な人手不足に悩む介護業界では、外国人労働者の活用が進む。グループホーム大手のメディカル・ケア・サービス(さいたま市)は日本の永住権を持つフィリピン人やブラジル人など約50人を受け入れた。

 人口減は深刻さを増している。女性や高齢者の活用、外国人の受け入れ拡大などを通じ、どんな成長モデルを描くのかが今後の課題だ。

景気動向研究班)